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【お知らせ】コーナーキャップ施工方法の見直し&建物の伸び縮みのお話

株式会社アーネストワンと申します。
弊社は建売住宅や注文住宅、分譲マンションを主に取り扱う総合不動産住宅メーカーです。


弊社では分譲住宅のお引渡し後、お客様へアンケートを送付しております。
その中で下記のコメントをいただきました。

入居して、購入前の立ち会いの時に気づかなかった、床のキズ、かどに付いてるパーツが接着が甘いのか、元々つけ忘れてるのか、取れる部分がありました。

お客様アンケート・コメント欄より


こちらのコメントにある「角についているパーツが取れる」につきまして、社内会議の議題として取り上げ、調査を行いました。


「角のパーツ」とはそもそも何?

コメント内の「角のパーツ」は巾木(はばき)出隅(ですみ)部分に取付けるコーナーキャップを指していることがわかりました。


巾木・出隅という言葉に馴染みがない、初めて目にした方もいらっしゃると思いますのでご説明します。

「巾木」「出隅」とは?

巾木(もしくは幅木)は「はばき」と読み、床と壁の境目に取り付ける部材です。
壁の下の方に細長い板が付いているのを一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。


壁と天井の境目にも同様の部材が取り付けられており、見た目は似ていますがこちらは廻り縁(まわりぶち)という名前です。



出隅(ですみ・でずみ)とは2枚の壁が交差する角のうち、外側に突き出たものを指します。
反対に、内側に折れ曲がる角は入隅(いりずみ・いりすみ)と呼びます。


コーナーキャップは出隅にある巾木部分にかぶせて、見た目をよくするものです。


全営業所に指導を行いました

お客様からいただいたコメント内容を工事部に共有し、巾木のコーナーキャップを組み付ける際の正しい施工手順を工事担当者に指導いたしました。

仕上げに使用するピンネイル(釘の一種)を打ち込む向きがよくない可能性もございましたので、そちらも合わせて指導しました。

キャップが取れた場合の対処方法

キャップが取れてしまった場合は、市販の接着剤で貼りなおすことができます。
キャップ側がプラスチック素材のため、一般的な木工用ボンドではなく
「プラスチック・ゴム対応」「多用途接着」等パッケージに明記されている接着剤をご使用いただけますと幸いです。



ここまで巾木についてお話してきましたが、そもそもこの部材が何のために取り付けられているのかご存じない方も多いと思います。
巾木の役割について、この機会にもう少しご紹介したいと思います。

巾木の役割とは?


壁に取り付けられている巾木には、2つの役割があります。

①床と壁の隙間を隠す
②壁を守る

「床と壁に隙間なんて、手抜き工事なんじゃないか?」と思った方もいるかもしれません。
実は、隙間を作っているのには理由がございます。

木の家は伸び縮みします

建築中の物件の一例

木造住宅は文字通り、木で造られています。
そして木材には温度・湿度によって伸び縮みする特性があります。
アーネストワンでは伸び縮みが少ない「集成材」を採用しておりますが、どうしても多少の伸縮は避けることができません。

床と壁を隙間なくぴったりと作ってしまうと、木材の伸びを受け止めきれずに床が反ってしまったり、意図しない歪み・隙間が出来てしまう恐れがあります。

その事態を防ぐために下記の図のように「伸び縮みを受け止めるための余白」を壁と床の境目に設けています。

ピンクの部分が「余白」

しかし余白を作っただけでは風が入ってきたり、この空間に細かいゴミが溜まる懸念があります。
そこで、巾木をかぶせることで隙間を塞ぎつつ見た目をよくしています。

巾木は壁を守っています

壁の足もと付近は汚れやすい、傷つきやすい部分でもあります。

もっとも接触が多いのは掃除機のヘッドです。

勢いよくぶつかることもしばしば


家具や、椅子のキャスター、自分の足などを壁にぶつけた経験のある方も多いと思います。

ロボット掃除機もぶつかります

そうした衝突で壁が汚れ、傷ついたときに壁紙を丸ごと交換するのは大変な労力です。
巾木が緩衝材となることで、壁を守る役割を果たしています。


木造じゃない家は伸び縮みしないの?

木造ではない住宅なら伸び縮みしない……ということはございません。

自然界に存在するほとんどの物質は「温度が上がると体積が大きくなる」性質を持っています。

鉄筋コンクリートで作られたマンションであっても、温度と湿度の変化によって膨張・収縮をくり返しているのです。


身近な類似の例では電車のレールがあります。
気温の上昇によってレールが膨張し歪んでしまうと列車事故の原因になるため、わざと継ぎ目を離して設置されています。


日本以外の住宅でも見られます


巾木や廻り縁の手法は日本以外の建築物でも見ることができます。

イタリアの住宅の一例


紀元前の古代ギリシャ時代にはすでに、建物の柱と天井の接合部を装飾する「モールディング」が使われるようになっていました。

代表的な物では、およそ2400年前に作られたパルテノン神殿の柱にモールディングが施されています。

パルテノン神殿

産業革命の時代に、それまで手作業で作っていたモールディング部材を機械で大量生産できるようになったことで一般家庭にも広まったとされています。

普段何気なく目にしている巾木や廻り縁にも、歴史と伝統があります。
興味を惹かれた方はぜひ、西洋建築やインテリアデザインについて調べてみてくださいね。

おわりに

普段は目立たない巾木ですが、暮らしにおいて重要な役割を担っていることをご紹介しました。
建築の歴史にも関わる、奥が深い世界でもあります。

物件の内覧や海外旅行の際には、ぜひ巾木にも注目してみてください。



■関連リンク

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