誕生日だから

死にたくなっても許してほしい。
誰に許しを請うているのか?わからない。
絶対に報われることない相手に自分の持てる愛情の大部分を注ぎ込んでしまっていることを一年で最も痛感する日である。他の誰でもないその人からのひとことさえあればいいのに、それだけは絶対に手に入ることはない。望むことすら許されていないのだ。だから、誰に?これは相手との関係性から推測される身の弁えというつまらないやつに。

もう何もかも手放したいのに、かつてのたったひとことに縋りつくことをやめられないのだ。覚えているのは私だけかもしれないのに。

私は向こうから走ってくる車を見つめる。あのとき死んでおけばよかったのだ。いま私の足を止めたのがちょうど腕に抱えていた会社の書類でしかないことに笑ってしまう。

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