初ライブペイント『ペットの重装歩兵(ファランクス)』
5/21.22のデザインフェスタvol.55で、自身初のライブペイントを行いました。
今回はそのまとめ記事です。
当日は途中経過について写真付きツイートをポンと投げるだけでしたが、テクニック的な小話、準備、成功、失敗、振り返りについてを写真と共に順を追って載せているので、現場を見に来た方もそうでない方も楽しんでいただけるのではないかと思います。
デザインフェスタはおよそ2年ぶりとなる久しぶりの出展でしたが、今まではグッズ販売などを中心としたお店を出していました。
その傍ら、ライブペイントはいつかチャレンジしてみたいなと思っていました。
そして今回いよいよ踏ん切りをつけて出てみることに。
初めてとなるライブペイントは、
『ペットの重装歩兵(ファランクス)』
というテーマで、古代ギリシアの兵隊のような密集陣形を組まされるペットたちを描くことにしました。
2日間の時間制限
高さ2.1m・幅3.6mの広い壁!
ライブペイントの肝はこの短い時間と大きな壁です。
普段使っている画材やいつもの描き方では絶対に終わらないため、やり方やこだわりを大きく変える必要がありました。
絵の内容はあまり捻らず、初めて見る人にも自分の代表的な画風がパッと見て分かりやすく伝わるものにしました。
2日間、自分は貼りつきで必死に描いているものの、見る人にとっては通りすがる一瞬だったり、立ち止まるほんの少しの時間に見るだけとなる場合がほとんどです。
短時間でも「何を描こうとしているのかが分かる」「魅力が伝わる」ことをなるべく意識して、地味な下準備は早めに終える必要がありました。
それでは経過を振り返っていきたいと思います。
1日目
1日目はオープンの約3時間前に会場入りし、11:00までにアタリをだいたい取り終えました。
顔は基本的にどんな絵でも向きを統一(こっちを向いている)しているので、過去作から拡大コピーした顔を決まった間隔に並べて転写、その上から鉛筆で線描きしています。
向きだけでなく大きさも統一しているのですが、その自分の中の「鉄の掟」を今回はついに破ってみることにしました。
まず槍を先に作りました。
槍の柄は黒のガムテープ、穂先はパソコンで作ってきたラベルです。
ひとつひとつ描いていては間に合わないのと、ひたすら単調な作業が続くことになってしまうため、このような形を取りました。
これは狙い通りショートカットに大貢献。
穂先のハイライトと影は手作業で入れて、質感を出しています。
槍の間隔はうっかり不揃いになってしまいました…
いよいよ顔。
先頭の猫、うさぎから描き始めました。
輪郭線や強い黒にはマジックを、毛など柔らかい色合いにはパステル・色鉛筆を使っています。
このライブペイント用の壁は、壁紙の上に耐水性の下地処理が施されているようなのですが、ツルツルしていてハードパステルだとなかなか色が乗りませんでした。
また、色を一度乗せてしまうと重ねていくのが難しく感じた箇所もありました。
持っていったパステルや色鉛筆はほとんどがハードタイプだったため、この点は失敗でした。
15時半。開場から4時間半経過。
とりあえず後列のフェレットまで、登場予定の全品種1匹以上を描き終えました。
この日は17時半に帰る予定(閉場は19時)だったので、このままでは終わらないかも?と少し心配に。
ここで1日目が終了。
なんとか動物の顔の半分くらいは終わりました。
2日目も早めに来て、取り掛かることに。
2日目
手付かずだった盾を進め始めます。
こちらも自宅で作ってきた茶色いシールを中央に貼ります。
撮影した人が飛べるようにウェブサイトやSNSのリンクコードを仕込んだのですが、小さすぎて思うように読み込めませんでした。ここは失敗。
盾の周りの鋲は金色の丸シールです。
だいぶ描き進んできて、絵にもメリハリが効いてきました。
14:50。2日目の撤収予定は17:00。
残り約2時間。
この辺りで「やっぱり終わらせられるかも」と思いました。
16:45 なんとか終わり!
上下は色を塗らず省略しているところがありますが、全体として形にはなっているので良しとします。
というか描く姿勢がキツすぎる(自分に甘い)
最後、左下の黒猫の黒さを出すのにだいぶ苦労しました。
一度グレーっぽくしてから色が乗らなくなってしまい、マジックで無理やり黒くしたのですがぺったんこにならないように気を遣いました。
そんなこんなで初のライブペイントは何とか予定通り、形にすることが出来ました!会場を早めに出ても絵が残り、最後まで見てもらえる点は良いですね。お店のように直接の売り上げは出ませんが。
振り返り
マジック、色鉛筆、パステルで水加減や定着の具合を気にせずガンガン描いていくのは楽しかったです。
時短のためにシールを使ったり。
人に渡すオーダーの作品ではなかなかこうはいきません。
この絵は二日間限りのもので、会場撤去と共に既に壊されています。
もったいないといえばもったいないですが、終わったらすぐに壊されると決まっている絵だからこそ、画材の質やタッチの粗を気にせず、気持ちが守りに入ることなく描くことが出来ました。
こういう「攻めの感覚」を掴みたかったというのが、ライブペイントに取り組んだ理由の一つにあります。
自分は絵を描く際、神経質でこだわりが強い近視眼的なところがあり、それは長所でも短所でもあると思っているのですが、こだわりを守るために絵を描いているような、主従の逆転が起こっている感覚に陥ることがありました。
こだわりの多くはきっと他人からしたら捨てればいいと思う些細なことなのですが、自分としては勇気のいることで、実験的な試みをする上でライブペイントの刹那的・お祭り的な「描き捨て」は都合が良かったのです。
だから、見てくれるお客さんのために完成形に持っていくことはもちろん重要でしたが、自分としてはどちらかというと過程で得る感覚に重要性がありました。
近眼矯正、「木を見ず森を見る」ような感覚が少しは養えたかもしれないなと思います。普段の制作にも活かしたいところです。
手探りで始めたライブペイントでしたが、自分には大きな絵を描くスキルが不足していると反省する一方で、やってみれば意外と出来るんだなぁという好感触も得られました。
今後も是非また挑戦したいと思います。
今回は直前にモデル募集をしようか迷ったのですが、ちゃんと終わらせられる見通しが立っていなかったため、モデル無しとなりました。
次はモデル有りでもやってみたいと思います。
お読みいただきありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
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