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87:金色の夢に包まれて

2022年9月3日。
私はこの日のことを忘れない。
34年越しの夢がかなった日。

■午前10時、心折れる

『TM NETWORK TOUR2022 FANKS intelligence days Day8』。
東横線で友達と合流して向かったぴあMMアリーナには、既に800人近い人が集結していた。

そう、グッズ販売である。

10時から整列開始だから間に合うでしょ、という舐めプをかましてしまった我々、「物販のための整理券配布は8時から」という情報を知らず、あえなく整理券を入手できずに轟沈。
整理券無しの列に並ぶも、11時前に「ペンライト以外は要らんのに(通販で買うから)、あと2時間近く並んでるのもちょっと…」と心折れて離脱。

向かいのビルの窓辺(から廊下を挟んだところ)にあるドトールに避難したのは、午前11時頃。
レシートにツアータイトルが入っていたのが、とてもうれしかった。
開店したばかりの店内に、客は私たちのみ。その後に入ってきたお姉さんと、喫煙所でおしゃべりをしてみたり。
疲れた足をしばし癒しながらおしゃべりに興じ、中華街へ!

■中華街に向かう道すがら、脳内妄想が垂れ流しになる

前日は、超スーパーウルトラスペシャル忙しい日だった。
ちなみに翌日も、「休み時間どこよ?」なシフトとなっている。
疲れがあったことは否めない。何せ私は、肉体労働2か月目の初心者。
「時間は作るものだ!」と叫びながら、電チャリを漕ぐ者である。

異国情緒あふれる街並みを歩きながら、「横浜ってTMと親和性が高いのでは?」と思ったら、口からポロリしていた。

「どんなとこが?」と友達が笑いながら言い、「だってほら『永遠のパスポート』とか、分離帯を歩きだしたりしてるやん。あれも海やん」とか「『カリビアーナ・ハイ』も海やし、それこそ『8月の長い夜』だって海出てくるし」と言ったら、更に笑われる羽目になった。

だって『永遠のパスポート』は、サーファーたちが見てるから横浜じゃないし。私の脳内でも「むしろ湘南ちゃう?」って言ってるわ。
帰宅してから気づいたよね、むしろ『1/2の助走(Just For You And Me Now)』だって。

スタイリッシュで異国情緒にあふれている横浜という街は、古いものと新しいものが共存していて、過去の曲たちも含めて常に変化し続けるTMの音楽とマッチしているんじゃないか、と言いたかった…んだと思う。たぶん。

■ペンライト買えた!!

中華街で優雅に飲茶でランチをし、帰りはタクシーで楽々みなとみらいまで。
Twitterで情報を見ていたら、まだ物販も行けそうだということで突撃し、無事にペンライトとリボンチャーム、アクリルチャームをゲット!!
ガチャを回したところ、『Self Control』の缶バッジと紫色のチャーム2点。
(ほかのグッズは通販で注文済み)
そして再度舞い戻るドトール。
え、だって近いし喫煙ブースあるし。

またしても喫煙ブースで、今度はお兄さんに話しかけられ、『Self Control』の缶バッジとお兄さんの『Get Wild』の缶バッジを交換することに。
いやー、ご縁ってあるものですね。

いよいよ近づいてきた開演の時を前に、緊張性腹痛に襲われる40代後半の我々。
コーヒーをたくさん飲んでるので、トイレも近くなって当たり前。
化粧を直し、ぴあMMアリーナ前で写真を撮ったりしながら、さあホールへ!

■金色の夢

『金色の夢、みせてあげるよ』という懐かしいキャッチコピー。
定刻通り開演したライブ。初手から涙腺が崩壊する私。

あの頃よりも少し細く感じはしても、衰えと呼ぶには些細すぎる、あまく伸びやかなウツのボーカル。
木根さんの弾くギターもキーボードもハーモニカも、優しく耳に響く。
そして、過去の曲であろうと決して懐メロにさせない、小室さんのアレンジ力。

これが金色の夢でなくて、何だと言うのだろう。

同じ空間にTM NETWORKの3人が居てくれる。
ただの懐古趣味な再起動ではなく、「現在」の彼らを見せてくれる。
1984年でもなく、1988年でもなく、1994年でもなく、2022年の彼らだ。

私が観ているものは、紛れもなく金色の夢。
中学生だった私は1988年の彼らに出会えなかったけれど、40代後半の私が2022年の彼らに出会っている。

喜びのままに身体を動かして踊り、ペンライトを振り、マスクの内側で歌った。
身体の内側から何かがあふれてくるような、そんな感覚があった。

彼らは過去なんかじゃない。
ピークアウトしたアーティストなんかじゃない。
常に最高値を更新しようと挑んでくる、現役のアーティストだ。

そのことが私は、たまらなく嬉しいのだ。
幸せをもらった分、還元したいと思うのだ。

私はもう不自由な子供じゃなくて、少女ですらなく、人生の終章が見え始めた年齢になったけれど、まだ音楽を聴いて涙を流す感性を持っている。

私はまだ終わってなんかいない。
金色の夢に包まれて、自分の人生に挑む力をもらって、私はまた前を向いて進んでいく。

次の夢は、また彼らに出会うこと。
その時わたしは、何を思うのだろう。










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