同人誌の表紙デザインと装丁メモ2023
2023年に出した二次創作BL同人誌の表紙デザインと装丁のメモです。ジャンルは全てBMBで、カプ要素はB×D。ポスターやポスカ、お品書きなど本以外についても少し。
印刷所はSTARBOOKS、おたクラブ、しまや、アクシス出版です。本以外でグラフィックとペンタローにもお世話になりました。
注釈がない本は全てA5サイズ。紙やフォントの名前など間違いがあったらすみません。
(9冊目から始まっていますが、2023年に出した9冊目の本ということではなく、私が作った本の9冊目という意味です)
↓1〜8冊目の本の記事はこちら。
9冊目「余談ですが!」(特殊紙・ミニッツ)
3冊目のWEB再録本。中身の8割が4コマ漫画です。
以前出したWEB再録は2冊とも2人のイメージカラーである赤青を基調にしていたので、再録本はその流れを汲むか…と思い至りこのような感じに。
さらに、ほぼ4コマ漫画の本ですよ!!ということを全面に押し出したデザインにしてみました。
初めは2色刷りを想定していましたが、メインの絵をカラーにした方が印象が良かったため今回はフルカラーです。
タイトルは4コマ漫画から着想して「四段」=「余談」というダジャレ的な流れで決めました。軽い内容なので中身のイメージにも添えているんじゃないかなと思います。
(「余」の漢字の一部を数字の4に寄せてみたのですが、伝わっていたのでしょうか…!?)
フォントは「余談」「!」がAB-こころNO.3(2かも?)、「ですが」はコーポーレートロゴMediumの角を丸めたもので、モチーフなど追加しつつ全体に軽くシアーをかけてあります。「ですが」は長体もかけたかも。
コーポーレートロゴは初めから角が丸まっているラウンドタイプもあるのですが、こころNO.2より少し太めだったため、ラウンドではない方のMediumを少し太らせて角を丸めています。
ある程度文字組みしたあとに上から手でなぞり書きして完成させたので、全体的に線がヘロヘロしてます。
下の文字はRounded M+のheavyかboldだった気がします。
第一版(特殊紙+CMYKオフセット印刷)
ミニッツは壁紙のような質感の紙で、すごく可愛いです!くせになる手触り。ただ、最初に実物を手にした際にディスプレイで見るより全体的に退色しているような印象を受けました。
同じ赤と青でコート紙に印刷してもらった口絵はとても綺麗な発色だったので、紙とCMYK印刷の相性なんかな?
時間を置いてから改めて見ると普通にこういう色だな〜という印象だったので、あらかじめ色の出方をイメージできていればまったく気にならないと思います。
第二版(特殊紙+RGBデジタルオフセット印刷)
濃い色はほぼディスプレイで見た通りに印刷されている印象です。薄めの色は少し飛んでるかも?下に比較載せます。
用紙は同じミニッツですが、スノーホワイトよりこちらのプラチナホワイトの方が白度が高く、鮮やかなカラーとのコントラストがしっかり感じられて個人的には好き。また使ってみたいです。
●ミニッツ「プラチナホワイト+RGB印刷」と「スノーホワイト+CMYK印刷」の比較
青かぶりしててちょっと実物と印象違うかも…。参考程度にしてください。
ポストカード(クリア素材+白印刷)
本のおまけとして作りました。白版を指定していない部分は後ろがスケスケ。思っていたよりも薄い素材で、ペロンペロンしてました。
10冊目「ビーストくんオールデイズエブリDAY」(特殊紙+特色+箔押し)
主人公のルークと、作中に登場するマスコットぬいぐるみの「ビーストくん」が共同生活を送るというテーマのゆるい日常漫画です。
原作でのビーストくんはただのマスコットキャラクター・ぬいぐるみとして登場し、生物としての描写はないのですが、公式から実際にぬいぐるみが発売されていて、界隈ではいわゆるぬい活の対象として愛でられている…という前提があります。
なので、ビーストくんが生きていても特に違和感なく受け入れていただけるのでは…と思い、「生きてる設定です!幻覚です!」といった注意書き的要素は省略しました。
(↓以下は装丁と全く無関係の、私のビーストくんぬい活厳選写真です)
タイトルのフォントはメガ丸-POP。
本当はメガ丸-Bをそのまま使いたかったのですがAdobe FontsにはRとpopしかなく…。メガ丸-POPにアウトラインをかけ、外側の線だけをダイレクト選択ツールで選んで削除するというセコい手を使いました。
コロンとしたフォルムがビーストくんの丸いシルエットのイメージにもぴったり。
打ちっぱなしでも十分にタイトルっぽくなる可愛いフォントですが、少し手を入れた感を出したくて一部を切り離しています。
また、より丸さを強調するために濁点部分を正円に変更し、位置も調整してみました。
表紙から「ビーストくんとルークの本」という意図が伝わるようにしたくて、はじめは「ウィリアムズ(ルークのファミリーネームです)さん家のビーストくん」というタイトルを考えていました。
いろいろ悩んで「ビーストくんオールデイズエブリデイ」となったのですが、ルークの要素が全くなくなってしまったため、「エブリDAY」表記にし「D」を青色にする…という方法で無理矢理ねじこんでいます。
(作中でのルークのコードネームのイニシャルがDで、イメージカラーが青なため…)
一番最初のラフイメージは↑こんな感じ。
ビーストくんとルーク…というテーマではあるんですが、メインであるビーストくんが目立たなすぎるのでこちらは没にして、中央にビーストくんがデンと構えるデザインに。
特殊紙のサーブルは壁紙みたいな手触りの紙です。ミニッツは規則的なざらざら感でしたが、こちらはラフな感じ。マットPPをかけても質感が損なわれず、なんとも癖になる触り心地…。一生触りたい。かわいくてかなり好きです。
表紙と表2、3の赤は特色「TOKA FLASH VIVA DX350(プルートレッド)」です。蛍光ペン!という感じの明るい高発色の赤!すっごくかわいい!!
周囲に散らしたイラストは基本グレー+ビーストくんだけ特色を乗せる形にしたのですが、鮮やかな赤がかなり効いていて良い感じ。
TOKA FLASHを使うのはこれで3色目です。ほんとに可愛いのでいずれ全色コンプしたい〜。次はオレンジかな。
余談ですが、TOKA FLASHのVIVAシリーズは緑陽社さんでも「NEONカラー」というオプションで使えるみたいです。印刷見本の取り扱いもあり。実物は写真よりもずっと鮮やかで可愛くて最高なので、興味がある方はぜひ!
「エブリDAY」のDは「フレッシュウォーター」という水色の箔にしてみました。思っていたよりも薄い水色かつツヤがある箔で、今回のイメージとはすこし違ったかな…。光が反射していて銀色っぽい。青というより、名前の通り反射してきらめく水面のような感じです。箔は使わず、普通にシアンのみでも良かったかも。
11冊目「はねまわれビーストくん」(B8サイズのパラパラ漫画)
10冊目のおまけとして作った手のひらサイズの小さな本。だいたい名刺くらいの大きさです。
しまやさんのミニ本セットを使ってみました。猫の舌のようなザラザラした手触りになる「ねこじたマットPP」をお願いしたんですが、ほんとにザラザラになっておもしろい〜。
↑の本のサーブル+マットPPと雰囲気が近く、おまけ感が強められたように思います。
あとこれは私の痛恨のミスというか次回への教訓なのですが、このサイズでパラパラ漫画を作るならノド側には過剰なほどの余裕を持たせた方が良いな…と思いました。
自分で実際にパラパラしてみて、一般的にパラパラ漫画として売られている冊子が横に長い形になっている理由がわかりました。
通常の縦長の形で小さい本はパラパラしても本が開ききらないため、ノド側の絵があんまり見えないんですね…。
できるだけシンプルでコンパクトなサイズの絵にするか、特に動きが大きい箇所を小口側に持ってくるなどすると良いのかも。
今回は動きが大きい部分をノド側に配置してしまったので、動いてるのはわかるけど、なんか、重要なとこがあんま見えん…!になってしまいました。
リベンジしたすぎ。
12冊目「マイヒーローオブプリンス」(ホログラムペーパー+マットPP+エンボスニス)
王子様っぽいテーマでなんか描きたいなあ〜というコンセプトで作り始めた本です。
小学生女児向けのキラキラした感じが良いかも!と思い、雑誌や少女漫画などいろいろ参考資料としてチェックしてたんですが、そちらに寄せようとすればするほど王子様というコンセプトがぼやけていってしまい…。
最終的にはアンティークな童話の表紙からイメージを膨らませたデザインに落ち着きました。キャラクター後ろのピンクと水色のグラデは女児向けデザインの名残です。
タイトルのフォントはTrick-カタカナ。字間を調整したくらいで形は全くいじっていません。
エンボスニスを乗せたので表2、3印刷はできなかったのが残念…。見返しに紙を貼ってもらう「きき紙」も検討したのですが、大幅に予算オーバーしたので諦めました。
いや〜〜めっちゃかわいい〜!
あんまりギラギラしたら派手すぎるかなと思ったんですが、もっと思い切り光らせてもよかったです!背景のカーテンと額縁の白版を抜くのもありだったかも。
キャラクター後ろのグラデ部分にニスで模様を入れたりしてみても面白かったような気がします。学びが多い〜。
↓動画は以下に(たまに鍵掛けてるので見えなかったらすみません…)。
●おまけ・着せ替えクリアしおり
↑の本のおまけで作りました。
コミグラ(グラフィック)さんの「クリアしおりセット 4枚綴り」です。これを本の表4の絵に重ねて着せ替えごっこで遊んでもらおうという…。
綺麗に透けて欲しかったので高透度の方を選んでみました。印刷はCMYKですが発色が鮮やかで良い感じ!今回はオンデマンドです。オフセットもあるみたい。
思ったよりしおりが台紙から外れやすくてちょっとドキドキしました。
着せ替え要素を入れるにあたり、厚めの台紙と貼って剥がせるシールをセットにする、クリア素材の名刺を複数枚作ってセット組みする、カット線だけ入れて各自ハサミで切ってもらう…などいろいろ考えたんですが、予算や手間を考えるとどれもしんどいかも…と思っていたところでこのクリアしおりセットを発見して、「これだ!!!!!」となりました。
素体を本の裏表紙に入れ込んだので頒布の際も本1冊+しおりセット1枚で完結させることができ、大変助かりました。
13冊目「犬が真面目に作ったハンバーグ」(銀箔紙+白印刷+マットPP)
ハンバーグがオチの本なので、思い切って表紙もハンバーグにしてみました。
本当は表4に原材料表示などを入れてさらにパッケージ感を強めたかったのですが、イベント前に突発で描き始めたため作り込む時間が足りず…。無念。
ちょっと良いレトルト食品感を出すために銀箔紙+白印刷+マットPPの組み合わせを使いました。
銀箔紙はメタルペーパー系のギラギラした紙で、白印刷を重ねることで光らせる箇所を制御できます。マットPPを乗せると白印刷していない箇所がいぶし銀のような渋い感じで光って、めちゃくちゃかっこいいんですよね〜。
友人がやっているのを見て、いつか私もやりたい!と思っていた加工です。
↓友人の本はこちら。白版だけ抜いて文字とロゴをギラギラさせるの超〜〜かっこいい!!コミケ100のところサイコー!!!!!
【おまけ】本でもグッズでもないもの
●ポスター&設営のようす
2月のポスター。目印になるようTwitterのアイコンをどでかく配置してみました。印刷はおたクラブさん。サイズはA1。
9月のポスター。原作をやってほしくて、作品名を大きく
出しつつ主人公の公式立ち絵を写経した絵を配置してみました(このジャンルは自サークルよりも原作の宣伝をしている方が結構多くて、私も先人に倣いてえ〜!と思い、こうなりました)。
お買い物の際にポスターに言及していただいたり、原作をご存知ない方に足を止めていただいたりして嬉しかったです。
印刷はゆずプリントさん。RGB印刷が標準なのがとても嬉しい〜。こちらもA1。
12月のポスター。年末年始のお休みにぜひやってほしくて…。せっかくなのでお正月っぽいデザインに。
このポスターを作るために、以前からずっと気になっていた鈴木デザインさんのフォント「パンダベーカリー」を衝動買いしました(こんなに良いフォントが8,800円は安すぎる…)。
9月に引き続き印刷はゆずプリントさん。相変わらずA1です。入稿後30分くらいで刷り上がったので発送しますと連絡が来てビビりました。
ちなみに釣り銭トレイを置いている台は↓こちらです。なんか逆向きに組み立ててしまってますね。恥。今回本を撮影するのに使っているブックスタンドもmokumokuさんで買いました。
ポストカードサイズの無配も作りました。印刷はペンタローさん。
特急の場合はCMYK印刷だったんですが、通常締め切り?だとRGB印刷に対応されてるみたいです。
●お品書き
以前はポスターとは別にお品書きも作っていたんですが、頒布物が多くて卓上にスペースがないこと、何より作るのがめんどくさいという理由で2023年からはポスターに組み込んでいます。
以下のお品書きは全て2022年のものです。
黄色好きですね〜。
来年もまた頑張って本作りたいです。