ライブ「ハルキ・ハルキ・ハルキ」について
8月10日に行われるライブ「ハルキ・ハルキ・ハルキ」(@高円寺ジュンジョー)について書きます。
このライブはそもそもどういう成り立ちかというと、僕がライブ会場をえいや!とたくさん押さえた時期がありまして、押さえたはいいものの内容をどうしよう、という中、知り合いの洛田二十日さんの顔が、新千円札の北里柴三郎の3Dホログラムの部分に、ぼんやりと浮かんできたのであります。
(注:実際に浮かんできたのは4月ごろなので、時系列的に虚偽の発言)
洛田二十日さんプロフィールは以下に詳しい
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あのアメトーークでもAマッソ加納さんに小説を激賞され、私がディレクターをやった『THE5連覇無双』という番組でも大喜利の猛者としてご活躍いただいた洛田さん。僕は片野さんと呼んでいるが知り合い感をアピールしていると思われたら嫌なので以降、洛田さんと表記。
一日ライブ会場が空いているので、洛田さんプロデュースのライブをやりましょう!となった結果、洛田さんから出てきたのが「村上春樹がテーマのライブをやろう」という案でした。
これが嬉しかった、なぜなら僕は村上春樹を卒論でメインテーマとして扱うほど読んでいたから。(「村上春樹における悪」という卒論で、村上作品に登場する悪が、時代の流れと並行し、リアリズムの悪から非リアリズムの悪へと移行してきましたねという指摘を行った、当たり前だけどボケ無しの卒論)
しかも、定期的にネットで流行っている、「やれやれ、僕は射精した」みたいな部分をずーっといじっているあのやり方にはうんざりしていた。
そんな調子だったから、洛田さんからこのようなお話が出て、僕は思わず茹でていたパスタを神宮球場が映ったテレビにぶちまけ、かえるくんをかえるさんと呼び、妻が失踪し、NHKの集金人にドアを異常にノックされても微動だにしなかったほどに驚いた。(←春樹ファンへの目配せボケの連打)
そういったわけで、ライブに向けて村上春樹作品をデビュー作から読み返しているが、第1作『風の歌を聴け』、久方ぶりに読み返したら、これはかなり純文学というか、日本の近代小説の流れを汲んだ純文学から抜け出そうとしているその最中、といった感触を受けた。春樹といえばヴォネガット、ブローティガン、フィッツジェラルドといった面々の影響を指摘されることが多いが、そういった影響はそこかしこに感じるものの、やはり彼自身意識してそこから逃れようとしていた日本語のじめっとした文体というものを完全に脱却するには至っていなかったのだろう。特に章の「8」は日本の近代小説っぽい描写である。
第二作目『1973年のピンボール』になると、こういっては失礼だけど「めちゃくちゃ上手くなってる」と思うほどに小説の技術が向上して、かつ「村上春樹っぽさ」が格段に上がっている。そして重要なのは「井戸」のモチーフが最初に登場するのがこの作品なのだ。「井戸」は代表作『ねじまき鳥クロニクル』にも重要なモチーフとして登場することになる。
『1973年のピンボール』がまだ読んでいる途中なので、読み終わったら感想をここに書こうと思う、しかし研究対象にしただけあってなかなか真面目に読むこと以外の読み方ができない、いやそれでも『風の歌を聴け』で
僕が三番目に寝た女の子は、僕のペニスのことを「あなたのレーゾン・デートゥル」と呼んだ。
を読んだ時は爆笑したけど。でもこのシーンに関して、洛田さんは「あれも、笑っちゃダメなタイプの女が言ってるのが辛いよね笑」といっていた。その前のやり取りでも「あと父親の靴を磨くのがギャグなんかどうか分かりにくいので、ちゃんとボケを引き立てて書き直すべき。」といっていた。いやお笑いの台本として読みすぎだよ。
そんな洛田さんが全面的に構成をしているライブなので、確実に面白くなります。
谷口つばささん、大久保八億さん、冬の鬼さん、リョーターナー田中さん、シマノくんという稀代のプレイヤーたち(全員、春樹の「僕」っぽいということで洛田さんが召集)が集まっているので、これは確実に面白い。僕もその面白の輪にひと匙の甘味を追加できればと思い参加いたします。(甘味・・・?)
予約は以下のサイトからお願いします!