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進化とは何か ドーキンス博士の特別講義

「進化とは何か」ドーキンス博士の特別講義(リチャード ドーキンス著)

1章:宇宙

生命はどこから来たのか、私たちはなぜこうして生きているのか
生命が宇宙の中で進化というゆっくりした過程を経て育つ。

・エリート(少数精鋭)だけが祖先になれる
生き残り配偶者を見つけ生殖し食べられてしまわないよう気をつけ食物を探し、良き親でありといった様々なことができる必要がある。生き残ってきたのはこれまで成功し続けてきた祖先の遺伝子を通じて必要な要素をすべて受け継いでいるから。

・私たちの神経細胞
神経系は細胞の数だけでなくむしろそのつながり方にありその複雑さは驚くべきもの。それぞれの神経細胞の突起が別の細胞とつながるようにできている。

・すべての生命体は一つの祖先から由来している
30億年前に生きていた一つの遠い祖先の子孫であり親類になる。もし他の惑星からきた生命体がいるならそれは同じDNAを持っていない。しかし、生きていくために似たような問題を解決する必要があるので、同じような機能を持っているはず。

2章 デザインされた物とデザイノイド(デザインされたように見える物)

・人がデザインしたものと自然が作ったもの。
デザインされたものの共通点はある目的を持って作られていて偶然ではないということ。自然にできたものは偶然の産物。

・デザイノイド(自然に作られたもの)
あたかもデザインされたかのように見えるデザイノイドは、また別のデザイノイドとよく似ていることがある。同じような働きをするので似てくるような現象を収斂進化と呼ぶ。

・自然選択によってデザイノイド物体はデザインされたような形になる
人工的なカメラのレンズと動物の眼球は同じような構造をしている。技術者がデザインしたかのような生物の例が多くある。

・自然選択
自然選択は人為選択とほぼ同じであるが、選択を行うのが人間ではなく自然が行う。自然選択によって進化していく。

・ダーウィン進化論の最も重要な部分は「自然選択の非偶然性」
ランダムな遺伝的突然変異、偶然ではない自然選択のプロセス。

3章:不可能な山に登る

遺伝を伴う再生産では情報がDNAを通してゆっくりと伝わる。唯一の例外は突然変異というランダムな変化が起きること。これにより自然選択の余地ができる。その結果、強い足や良い目といった生存に有利な変化を体にもたらす。カモフラージュは環境による選択。

進化は長い時間の中での幸運の積み重ね。
複雑な器官を作り上げるというのは奇跡に等しい。

4章:紫外線の庭

私たちは人間中心の視点ではなく他の動物の視点からも物が見えるようになるべき。

・花はハチを利用し、ハチは花を利用する
ほとんどの花が自分で交配せずにハチを利用するのは遺伝的理由。花は一つの花がおしべとめしべを両方持っているので実は交配は簡単。でもわざわざハチなどに花粉を運んでもらう。

・DNAは自分の複製

私たちはDNAによって作られた機械であり、その目的はDNAの複製にある。
生物はDNAという複製プログラムを広めるために生きている。

しかし、細胞はちょうど良いところまで分裂を繰り返すとあるところで増殖を止める。止まらずに暴走するとガンになる。

5章:目的の創造

地球上で宇宙をシミュレートするほどの能力をもった脳は人間の脳だけ。しkし、そこに見える現実だと思っているものは脳の中に構築されたモデルであり脳のシミュレーションに過ぎない。(脳で作られた仮想現実)

・脳の進化
人間の脳は短期間で大きくなった。一つの可能性として言語。言語があれば次の世代に伝達していくことができる。しかし言語だけでなく、想像力、テクノロジー、言語がお互いに作用し合って急速に発達した可能性がある。

・想像力の問題点
想像力に長けた脳は、そこにないものを見たり、自己嫌悪に陥ったりすることを避けて通れない。

・言語の問題点
良い情報が言語によって容易に伝わるのはは良いが、悪い情報も容易に伝わる。有害な思考体系や宗教的理由で命を狙われることもある。

・科学はこの宇宙を理解することを可能にする
私たちだけが、意図的に物をデザインすることができるようになり、目的を持つことができるようになった

最後に

利己的な遺伝子のメインテーマは「地球上のすべての生物は遺伝子(自己複製子)の乗り物にすぎず、生物の様々な形質は自然選択による遺伝子中心の進化によって説明できる」というもの

種の存続のためではなく、遺伝子の存続のため。働きアリが女王アリのために働くのはそういうこと。利己的な行動も遺伝子が生き残るため。