とっても大人のオモチャ 後編
介護業界で言われている一つの言葉がある。
「小さな親切。大きな下心」
解説しよう。
「やりましょうか~」「お手つだしますよ~」「もう年なんだから無理しない方がいいんですよ~」
と高齢者を甘やかすだけ甘やかすとどうなるか。 高齢者はあっという間に介護度がどんどん重くなっていき、ついには寝たきりになるのです。
そして高齢者が寝たきりになればなるほど、介護施設や介護事業所はどんどん儲かる。介護保険はそういう仕組みになっているのです。
なので優しい言葉で、高齢者を甘やかす。すると、「え~人や~」と高齢者は喜んでくれる。当然お世話をしているスタッフたちも喜んで頂けてうれしい。事業所も実入りもよくなってうれしい。
つまり、小さな親切を繰り返すことで、高齢者の生活能力はどんどんそがれていき、ついには寝たきりになってしまう。ということです。
介護保険制度というのは、寝たきりを作れば作るほど儲かる仕組みなんですね~。
話を戻してリハビリテーション機のお話。つまり、中編で紹介したリハビリテーション治療機等々は、 訓練として使いこなせる理学療法士がいて初めて意味のある道具ということである。
私に言わせれば、訓練用のセラバンドみたいなものである。
素人が使えば、ただのゴム。しかし、プロが使えば寝たきり生活から脱出するためのスゴイ道具なのである。
道具は使い方で毒にもなるし薬にもなる。 今、高齢者施設でつかわれているこの手の道具の使い方は私から見れば、毒の部分ばかりがもてはやされているような気がしてならない。
楽してどうにかできるほど、リハビリテーション治療は安易な治療法ではない。
大学の研究段階では、一部の筋や動作、反射、反応の効果判定を部分的に効果が見られれば、効果ありとするのだろう。
では、そんな一部分の効果を生活行為動作につなぎ合わせる係を介護施設の誰がするというのか?
理学療法士や作業療法士以外の誰が動作や運動を組み合わせて日常生活動作を作り上げるというのか?
介護施設には理学療法士や作業療法士はほとんどいない。 素人がこの手の機械を使っても毒にしかならない。寝たきりを助長するだけ。
施設のスタッフと利用者がやった気になって満足するだけ。 「このゲーム機でいい点とれば歩けるようになる。」 と盲目的に思っておられる利用者が不憫でならない。
「楽しいでしょ~」「座ってできるんですよ~」「安全ですよ~」「一人でもできますよ~」「スタッフがついていなくてもできますよ~」
と、あまーい。甘い言葉が連呼される。しかし、現実的には、そんなリハビリテーション治療は存在しない。
先ほどの言葉を思い出していただきたい。これも、「小さな親切。大きな下心」である。
甘い言葉で、高齢者をその気にさせておいて寝たきりに追い込む。追い込み漁みたいなもんですね。
断言しておきます。このゲーム機で100点満点とっても、寝たきりの人は歩けるようにはならない。
素人が使っても転倒予防にもならない。 施設でのこの手の機械の使い道はただ一つ。「楽しいのでやってみたい」という興味を持たせるツールとしてはとっても有用。
この手の機械は言い換えれば、「と~っても大人のオモチャ」。 しかし、オモチャはすぐに飽きるのが世の常。
なのでオモチャに高齢者が食いつくやいなや、すぐさま日常生活動作につなげるためのリハビリテーション治療プログラムにもっていけるかかどうかが一番大事。
(もちろん、個別処方が絶対的に必要。)
興味を持たして終わり。ゲーム機だけやってればきっといいことがある。と暗示をかけるだけでは、日常生活動作能力は回復しない。維持もしない。
リハビリテーション専門職を雇う等の人件費をかけたくない多くの施設では機械で高齢者を遊ばせて終わり。なのでなにも治らない。
道具はちゃんと使える専門職がいて初めて生きる。〇〇治療器は簡単そうに見えて、なかなかどうして、使い方が結構難しいのです。
そういえば、今日も杖やサポーター的な自助具も買っただけでは使えない。練習しなけりゃ使いこなすことはできない。って口すっぱく言ってきたところです。サポーターを買ってこんなのきかないとか、こんなの使いにくいとか言って新品のまま倉庫に入っているダイエット機器・美容機器、健康機器に福祉用具があなたの家にもありませんか?(笑)