理学療法活用法。「83才でもスプーン曲げができるのか?」
当時我が部署で大活躍されていた、リハビリテーション部のエース。看護師歴50年を優に超える、超神級ベテランナース御年83歳にスプーン曲げをしてもらったときのお話。
ある時、リハスタッフの一人が、「先生!スプーン曲げは生体力学と運動学を用いれば、理論的には80才を過ぎている方でも可能ですよね。理学療法でスプーン曲げやってみて下さい。」と突然言い出した。
さてさて、理学療法でスプーン曲げとな。ユリゲラーのやつね。子供のころよく見ましたよ。最近では、DAIGOもやってたかな。あれを力学でですか…。理論的には可能である。
そこで、我が部署のエース。超神級ベテランナース御年83歳に忘年会でスプーン曲げをしてもらおう!
ってことになった。
スプーンの素材の検証から始め、支点と力点・作用点の計算。対象となるナースの握力測定、テンションメーターで主要筋筋力測定、測定の結果、方法論の選択となる。
(基本的には体重移動と固定方法だけで可能だが、面白いので、いろいろ測定してみた)
方法論が決まれば、彼女に合わせた体幹の固定法や体重移動練習である。
さー準備万端。
「脇を絞めて、持ち手を伸ばす!」
「弓を引くように!」
と休憩時間にスプーン曲げの特訓が始まった。
忘年会当日。
各部署のお偉いさんが取り囲む中、彼女は腕をまくり、スプーン片手にゴクリと一息入れる。
緊張の瞬間である。
「えい!!!!」
83才大姉ぃ、の気合の雄たけび!!
その刹那、スプーンは見事ぐにゃりと変形していた。
お見事!!
83歳のユリゲラーの誕生である。忘年会はやんややんやの賑わいとなった。
彼女は、皆の喝采がよほど嬉しかったのか、オーストラリアに住んでいる一人息子に曲がったスプーンを送ったのだそうな。
息子さんもびっくりしただろうなぁ。日本からわざわざ送られてきた封筒の中に曲がったスプーンが入っていたら。説明がなかったら、なんじゃこりゃってなっちゃうよ。
(; ̄Д ̄)なんじゃ こりゃ?