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随分と昔の話になるが、私はとある山深い秘境に建つ、村営病院にいたことがある。 出勤初日。初めて診る象皮病や顔面麻痺、巨人症等々。奇病とも言える疾患の多さに舌を巻いた。奇病の多さもさる事ながら、その守備範囲の広さに驚いた。 山、谷を延々越えて、無医村まで出向いての訪問治療。たった一軒、一人の患者のためにはるばる県境まで車を片道一時間近く走らせて行くのだ。 同行させていただいた先輩が、 「公立病院っていうのは、市民のための病院だから、採算は度外視なんだよ」 と、苦笑いしな