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罰金を払う覚悟があれば

私はお金で全てのことが解決するわけではないと思っている。
でも、お金にケチケチしない寛大な心と行動力があれば、得することもあるのかもしれないと思った出来事があった。

それは私がパートナーのジェイと彼の友達のウィルと車でフットボール観戦に行った時のことだ。

ウィルはアメリカから遊びに来ていて、オーストリアのフットボールを見たいとかなり張り切っていた。

車でスタジオまで行くことになったのだが、私達はあまりそのあたりの土地勘がなく車を停める場所を探すのにかなり苦労していた。
「ここら辺に停めて歩いて行こうと思っていたのに。」
ジェイはだんだんイライラしてきていた。
「ここに停めようよ。」
ウィルが駐車してはいけないところを指して言った。
「ここダメなところだよ。こんなところ停めたら罰金払わなきゃいけない」
私は罰金とかでお金を無駄にするのが嫌いだ。
「払えばいいだけでしょ?俺、払うから。いくら払えばいいの?」
ウィルはなんってことないかのようにそう言った。
「いくらか知らないけど、払う金額がいくらという問題じゃなくて、だめだってわかってて停める?」
運転しているのはジェイだが、この車は私の車だ。私は私の名前宛に罰金のその請求が来るのが嫌だった。
「払うのは私なんだから、やめて!」

ジェイはまた車を走らせた。
これ以上スタジオから離れたら歩いて行くのは大変だろうと思った時だった。
「じゃあ、そこに停めよう。」
ウィルが今度はは道路から歩道に少し入ったところを指していた。
そこは明らかに人の家の敷地内だった。
「ここ?」
ジェイはそう言いながらもそこに停めた。
「ダメたよーここ人のうちだし!ここの家の人が怒ったら車が牽引されて持ってかれちゃうかもしれない!」
牽引されたらもちろんそのお金も払わなければいけないだろう。
「やっぱり駅まで行ってそこから電車乗ろうよ。」
「それじゃ、もうゲーム始まってしまうだろ。」
私とジェイがそう言い合っていると
「わかった。じゃあ、ここの家の人にお金払って停めさせてもらおう。聞いてくるから。」
とウィルが車から降りてその家の玄関に歩き出した。
「俺も行く!」
ジェイもその後について行った。

私は一人、車の中でどうなることやら、と思いながら待っていた。

しばらくしてもうすぐゲームが始まるというのには2人は車に戻って来ない。
様子を見に行こうとしたらウィルとジェイがその家の男の人と笑いながら出てきた。
その3人はフットボールの話しで意気投合したようだった。
「ここ停めてもいいだって。」
ウィルが勝ち誇ったように私に言った。

結局、私達はだだで車を停めさせてもらったうえに、その家の人に車でスタジオまで送ってもらった。

ウィルの強引さ、恐るべし。
私はこういう人たちを羨ましく思う。
何か問題が起きても型破りな方法で解決してしまう。

人生、真面目に生きるだけがいいとは限らないのかもしれない。


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