見出し画像

「死ぬなよ」先生の言葉に込められた”想い”とは


およそ一年半前、新卒して就職活動を終えた冬。
内定を辞退することを決め、高校の担任であった
“恩師”に会いに行った。



どうも、アリソンです。

私は大学3回生頃から、メンタル不調に落ち込み、
就職した現在も充足感が無い日々を送っています。

ですが私にも小さな楽しみがいくつかあります。
それは読書や映画を見ることです。
それらに触れている時間は、ストレスや渇きに似た満たされない思いが潤うような気がします。

読書や映画を見るきっかけとなったのは冒頭に挙げた恩師との再会からでした。
先生は生徒や他の教師、保護者からも熱い信頼があり、教師としてだけでなく人として尊敬できる点がいくつもある人でした。

そんな先生が卒業式にA4サイズプリントで作成した6ページの冊子を生徒に渡しました。
そこには、3年間頑張ってきたことを褒め称える文章のほかに、日本の自殺率を表したグラフを載せていました。

資料:警察庁自殺統計原票データより内閣府作成


なぜ日本という平和な国で、自殺する人が後を立たないのか。
先生は日本人のマイナス思考な国民性を取り上げました。

日本人は欧米人に比べストレスを感じやすい遺伝子を持っており、日本人がマイナス思考なのは遺伝子的な要因が強いようです。

また、日本のネガティブ思考の要因はもちろん遺伝子だけでなく、文化的要因と教育的要因があります。
文化的要因は村社会の名残でしょうか。はぐれものになることを嫌い、目立つことを避け、それでいて真面目すぎるといった要因からストレスを感じ、鬱などの精神病につながることは容易に想像出来るのではないでしょうか。

そして3つ目が教育的要因で、「勉強しなきゃいいけない」「やらないと落ちこぼれになる」「大学受験を成功させなきゃいけない」といった強迫観念からくるストレスや重圧は皆さんも身に覚えがあるのではないでしょうか。もちろん学生のみならず社会人になっても経験することでしょう。

先生は、自殺とマイナス思考要因について話した上で、教育に対する想いを私たちに伝えました。


教育的要因なら、教育に携われば何とかできる気がしませんか。国や学校を変えられなくても、少なくとも自分が関わった子なら。もしかしたら減らせるかもしれない。この安全で良い国で、自ら命を絶つ人を減らせるかも知れない。」

「割と真面目にそんなことを考えながらこの仕事をしてる。」

「要は何が言いたいかというと、死ぬなよ


当時何のストレスも抱えていなかった私には、感心こそしたものの言葉の真意を理解できたわけではありませんでした。
思い返せば、授業中に面白い話を雑学を披露したり、楽しそうに仕事をする姿を見せていたのは、こうした思いを体現されていたのかもしれません。

1年半前私が恩師の元を訪れたのは、まさにマイナスの悪循環に陥り、死にたいという思いが脳裏に浮かんだからです。

数年ぶりに再開した先生は、あの時と変わらず気さくにそれでいて真剣に話をして下さいました。
私は先生の言葉に救われました。

しかし、今もまだ辛い状況は続いています。
私には決定的に何かがたりない。

私はとある書籍を読み、それが何かわかったような気がします。

この書籍は「惹句」と呼ばれる、雑誌や映画など様々なコンテンツのコピーライトを生み出す方法をanan元編集長の能勢氏が実証的に解説しています。

その中で、良い惹句を生み出すためにはコンテンツに対する”想い”を持つことが大切だと述べられています。

ここでいう想いとは、こだわり、愛情、執着、情熱、熱意を指すでしょうか。
コンテンツと真摯に向き合い、ひたすら考える。それだけでなくそこに強い”想い”を持つことで、良いものが生まれる。

このことはコピーライトを生み出すこと以外の全てに当てはまるのではないでしょうか。
”想い”を持ってモノゴトに取り組むことは、それだけでやりがいや充足感を得られるのではないでしょうか。

私は幼い頃から飽き性で、モノゴトに対する執着心がない。
受験勉強でする本気でやっていた方と言われたら、首を縦には振れない。
そのくせ、後々色々な後悔を抱えてマイナス思考に陥る。
その繰り返し。

自分の将来に対してもそうで”想い”に欠けている。
その事に気づかされました。

恩師を尊敬してやまないのは、行動力があって他人に流されない、ユーモアがあって人を惹きつける人間性があるだけではない。

”想い”があるから。

教育に携わることで自殺者を減らす。
そんな立派な”想い”を私は持とうとは思いません。
ですが、モノゴトに対して”想い”を持つことは
それだけですごいことだとは思いませんか。

皆さんも仕事、趣味、恋愛や自分の将来に対し”想い”はありますか?


先生は卒業式の日。
自ら命を絶つなという切実な思いの外に、人生に楽しいことがたくさんあることを自分の”想い”を語ることで伝えくださったのだと思います。

先生のような立派な”想い”は持てないかもしれませんが、
自分なりのスケールで、仕事や恋愛、人生に対する”想い”を持つ努力をしようと思います。
大事なのは真摯な姿勢と深く考えすぎないこと。
世界は楽しいもので溢れているという根底がきっと”想い”を手にいれる手助けをしてくれると信じて。

「死ぬなよ」

いいなと思ったら応援しよう!