【クローズアップ現代】どうなる離婚後の子育て 子どもの幸せのために
2月28日、NHKのクローズアップ現代で離婚後共同親権が特集されました。
約30分の番組に、多くの論点が盛り込まれていましたが、以下、印象的だった場面をいくつか紹介します。
「この人が子どもに関わることが危険だと思って離婚を決意した」
(7:25から)
DVや児童虐待を経験したという人たちからも心配する声があがっています
「暴力とか子どもの虐待とかを夫から受けまして、この人が子どもに関わることが危険だと思って離婚を決意しました。協力できるような関係性ではないと思います。」
元夫から20件以上の裁判―共同親権になったら「絶望しかない」
(7:50から)
さらに深刻な事態が起きるのではと心配する人もいます。
親権を持つこの女性は、元夫から子どもとの面会の頻度などを巡り、20件以上、裁判を起こされています。共同親権が導入された場合、子どもの養育を巡り、意見が異なると、また新たな裁判につながるのではないかと不安を抱いています。
「(裁判を)申し立てられることがもう負担でしかない。それにかかる費用も、それにかかる時間も、やっぱり費やされているわけで、(共同になったら)絶望しかないですね。」
オーストラリアでは虐待・DVを見抜けず。訴訟の乱発も。
(20:23より)
法律上は虐待やDVがある場合は共同の養育から除外すると決められていました。しかし、実際は虐待やDVを見抜くことができず、被害が防ぎぎれていません。
さらに、離婚後の両親の平等をうたったことで、意見が対立した際に訴訟を乱発する人も出てきました。
共同の子育てを重視するあまり、裁判所が虐待・DVを過小評価してしまう
(21:09より)
「危険なのは、裁判所が共同の子育てを重視するあまり、虐待やDVを無視したり過小評価してしまうことです。制度によって誰が傷つき、どんな問題が起きるかを、常に問い直していかなければなりません。」
DVや離婚問題に詳しい岡村晴美弁護士のお話
(22:15より)
―オーストラリアの例を見て、どのような印象を持ちますか?
「あれだけ予算をかけた支援策を持っていても、同居している親や子どもたちにとって危険を生じさせてしまうことがあるということは、重視して深刻にとらえなくてはならないと思いました。」
「日本の場合は支援策が非常不十分で、例えば子どもの意見を聞くにしても、決定するときに裁判所の調査官がほんとに短時間、子どもの話を聞くということにとどまっているということがあります。
支援策が不十分なまま、共同親権だけ強制されていくことになると、子どもにとっては非常に過酷なことになると思っています。」
―日本で今後、議論が進んでいくわけですけれども、どう議論を進めていくべきなのかか、岡村さんはどのようにお考えですか?
「法律をつくることで誰に影響があるのかということを考える必要があると思うんですね。協力的な関係の父母であれば、今の現行制度でも共同で養育することができます。意見が対立していて、そもそも離婚するときに、子どもの決定権が一緒に決められないということで離婚している人も多い中で、共同で決定するということの合意すらできないのに、共同で決定しなさいよと法律や裁判所の命令で命じていくいうことになると、人間関係がそれで改善するとは思えないし、むしろ対立を深めてしまう危険性もあると思っています。」
「現場の弁護士からして一番懸念に思っていることは、現在も面会交流という制度があって、裁判所は積極的に面会を認めて命令していく、という制度がある中で、子どもたちにとって面会が強制されてしまっているという実態があります。
DVや虐待は除外すると言ってみたところで、面会するのは子どものためになるんだという理念が強いと、虐待やDVの主張が軽視されていく。先ほどオーストラリアのVTRにもありましたが、現状、日本でも起こっているということがあって…」
―DV・虐待は除外すると理念としては掲げられているけど、実態がともなっていない?
「面会が子どものためになるという理念が掲げられているので、それに反するように見えてしまう、虐待やDVの主張ができにくくなってしまうという面があります」
「現在、そういうことが起こっているのに、さらに、共同でいろいろ決めなくてはいけないという共同親権が命じられるということが、現場からは恐怖感に感じているところです。いま現状、苦しんでいる子どもや同居している親を見ている中からすると、法律の改正が弱い立場に置かれた人が減るものであればいいのですが、そういう人たちを大切にする、安全を大切にする法改正になってほしいと思っています。」
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
この番組は3月7日(火)19時57分まで見逃し配信しています。どうぞご覧ください。