コーヒー屋が浅煎りに焙煎する理由を考えてみた。
コーヒーは嗜好品。
深煎りが好きな人もいれば、浅煎りが好きな人もいて良い。色んな好みがあるってことは、色んなコーヒーに出会えるから、素敵なこと。
「十人十色」の言葉と同じで、色んなパーソナリティの人がいるから面白いし、色んなコーヒーがあるから、コーヒーはもっともっと盛りあがっていくはず。
最近は、浅煎りに焙煎するコーヒー屋さんが増えたように感じる人も多いかもしれません。どうして、浅煎りに焙煎するコーヒー屋さんが増えているのか?について私なりに考えてみました。
サードウェーブって?
浅煎りコーヒーと聞くと、「サードウェーブ」を連想しますよね。
サードウェーブについてのこれ!といった明確な定義はないですが、1990 年代半ばに、スターバックスが推進する「グルメ」コーヒーの産業化に対する反動として登場したものだと考えられています。
「サードウェーブ系」と呼ばれる人達は、自動化されていくカフェ文化の中で生き残っていくために、大手のカフェチェーンよりも良質なコーヒーを仕入れて、販売することが必要でした。
美味しいコーヒーを求めて、コーヒー生産地へとコーヒー屋自らが足を運び、生産者と連絡をとりあうようになったのも、サードウェーブの大きな特徴です。
日本でサードウェーブと聞くと、思い浮かぶのは「ブルーボトルコーヒー」ですよね。
ブルーボトルコーヒーが日本に上陸した際に、私も清澄白河の1号店に並んでコーヒーを購入しました。出てきたコーヒーの酸っぱさに驚いて、全部を飲み切ることができなかったのを今でも覚えています。
今は、浅煎りも深煎りも気分に合わせて楽しみますが、その当時は、浅煎りのコーヒーの味に慣れていなくて、美味しいと感じる事ができなかったんですね。
「酸っぱい」のに浅煎りにするのはなぜ?
コーヒーは、もとをたどれば、「コーヒーチェリー」とよばれるさくらんぼのような赤い実。作物なんです。赤いコーヒーチェリーを生産国で加工して、「生豆」とよばれる焙煎前の状態にしてから、それぞれの消費国へと送られます。
消費国へと送られたコーヒーは、それぞれのロースターさんやカフェで焙煎され、よく目にする「黒いコーヒー」になります。
「浅煎りのコーヒー」は、短い時間で焙煎したもので、色は明るい茶褐色。「深煎りのコーヒー」は浅煎りよりも時間をかけて焙煎するため、色が暗めの茶色〜黒色です。焙煎度合いが深いものだと、油がテカテカしているのも特徴です。
浅煎りから深煎りにかけて、味わいは、酸っぱい→苦いへとかわっていき、コーヒーの香りも、フルーツ系の風味→焙煎によるカラメル風味へとかわっていきます。
カラメルソースを想像するとわかりやすいかも。焙煎はカラメルソース作りに似てます。砂糖が少しずつとけて、焦げて、甘苦いカラメルソースにかわっていくような感じ。
カラメルソースを苦めにするために、長めに火にかけるか、ちょっと苦味を抑えるために、早めに火からはずすか、と基本は同じ。
ロースターとよばれる人たちは、その塩梅を吟味しながら日々焙煎しています。
前置きが長くなってしまったので、そろそろ本題に。
コーヒー屋が浅煎りにする理由はひとつ。
「生産者さんが端正こめて作ったコーヒーの風味を楽しんでほしいから。」
実は、美味しいコーヒーって深煎りにしても美味しいのですが、深煎りにするとどうしても味わいが似通ってしまいます。
生産者さんが作ってくれてコーヒーの個性が1番わかりやすい、焙煎度合いを考えた結果たどりついたのが「浅煎り」というだけなんです。
きっと、色んなコーヒー屋さんがある中で、「浅煎り」の焙煎度を選ぶコーヒー屋さんが増えてきているのは、そんな理由から。
美味しいコーヒーを作ってくださる、生産者さんへの感謝の気持ちと、生産者さんが作ってくれたコーヒーをその風味が1番わかりやすく感じる状態でお客様にお届けしたい。という気持ちから、浅煎りにしているんです。
浅煎りコーヒーも深煎りコーヒーもどっちも美味しいし、好きなものを選んで飲める文化は素敵なこと。
色んなコーヒーを試して、自分に合うコーヒーを見つけられたらもっとコーヒーが楽しくなるはず。
まだまだコーヒー屋として伝えれていないことがたくさんあるので、これからも発信していきます!!
参考文献
『スペシャルティコーヒー物語』マイケルワイスマン著
Coffee makes people smile.
Arisa Higa
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