第11話 エッセイ『祖母のあじめし』
「わ、わ、わし、い、いつ死ぬかわからへんでな」
吃り癖のある祖母は、皿を差し出しながら、ニカっと笑って言った。
おにぎりがいくつか乗っていた。
「あ、あ、あじめし炊いたぞ。ほれ、焦げのおにぎりや」
あじめしとは、炊き込みご飯のことだ。
ガス釜で炊くので、あじめしでもお米はつやつやと立った。
祖母は釜の焦げを集めておにぎりを握り、私や弟に出してくれた。
祖母の作るあじめしは、味が濃くて実に美味しい。
焦げの部分はこんがりと醤油が照り付き、頬張ると、口いっぱいにふくよかな香ばし