岸田総理の宏池会スピリット~現実主義者の宏池会(岸田派)解散
公務員クエスト失敗おじさんの「ありのこ」です。
少し前に岸田総理が岸田派の解散を表明しました。
驚きです。
岸田派と言えは「宏池会」。
伝統ある宏池会です。
池田勇人が作った名門派閥です。
芹川洋一「宏池会政権の軌跡」という本を読みました。
岸田派=宏池会。
だから岸田政権は宏池会の傾向が反映されるかと思いまして。
となる宏池会は関係なくなるのか?
ちょっと考えてみましょう。
「宏池会政権の軌跡」によると宏池会は「現実主義=リアリズム」。
理想は理想として、目の前に起こっていることをいかにうまく処理していくかを第一義とする立場。
では岸田総理が考える宏池会とはどうものでしょうか?
宏池会=その時代の現実に合わせた、その結果が〇〇
宏池会は「軽武装・経済重視・積極財政」と言われるが、それはその時代の現実に合わせた結果に過ぎない。
宏池会はずっと「軽武装・経済重視・積極財政」なのではない。
岸田総理は宏池会をこのように考えているようです。
「宏池会=その時代の現実に合わせた、その結果が〇〇」だとすると・・・
今、この現実では「宏池会を解散する」のが一番良い。
岸田総理がこのように「宏池会スピリッツ」を発揮したのかもしれません。
「政治とカネ」は有権者、特に無党派層はみんな嫌悪します。
政治思想や政策に関係なく劇的に嫌われます。
こうなると自民党のピンチとも言えます。
狭く見れば宏池会の解散が「岸田政権にとって」一番良いと判断したのかもしれません。
「うちは派閥解散を言ってますけどなにか?」ですね。
「うちは派閥解消を言っていますよ。ほかの派閥?知りません、そっちに聞いてください」
こうなれば岸田総理に正義があります。
抵抗するほかの派閥が完全に悪です。
「派閥を解消すべきだ」という意見が国民の多数でしょうから。
はてさて、自民党の派閥の解散は進むのでしょうか?
20世紀も自民党は「派閥解消」と言って・・・それが自称・派閥解消だった歴史もあります。
芹川洋一「宏池会政権の軌跡」には宮澤喜一政権のことも書かれています。
宮沢喜一は宏池会のトップでした。
宮沢政権は党内最大派閥に<悪い意味で>振り回されました。
「宏池会政権の軌跡」は次のような記述があります。
安倍晋三元総理が亡くなった時、岸田総理にプラスになるかマイナスになるのかなんとも言えない感じでした。
党内最大派閥の会長が急死。
目の上のたんこぶが消えたと岸田総理にプラスになったとも解釈できます。
しかしマイナスになったとも解釈できます。
何か問題があった時は安倍元総理と話をつければ、解決できました。
安倍派の議員が納得できなくとも「安倍元総理も了解済み」と解釈すれば以後騒ぐことはなくなります。
安倍元総理が亡くなった後、安倍派は集団指導体制に移行しました。
安倍派はトップ1人を決めることができませんでした。
派閥のトップが変わると派閥が分裂する。
これはどの派閥も同じでした。
誰か1人をトップに決めれば安倍派は分裂する。
だから集団指導体制にしました。
このように見えました。
岸田総理から見れば「党内最大派閥100人を誇る安倍派は存在する。だから無視するわけにもいかないが、問題が起きた時に安倍派の誰に相談すればよいのかもわからない」とも見えます。
こうなると岸田総理にとって安倍元総理の急死はマイナスです。
では宮沢内閣に話を戻しましょう。
宮沢内閣では党内最大派閥・竹下派の変動が政権にとどめを刺します。
1992年に竹下派が分裂。
1993年に小沢一郎氏などが自民党を出て行ってしまいます。
小沢一郎氏たちは「政治改革」を旗印にしてましたが、実際は党内最大派閥・竹下派内部の対立です。
党内最大派閥のゴタゴタが政権に大きなマイナスとなりました。
しかし党内最大派閥のゴタゴタが政権にプラスになることもあります。
中曽根内閣は「田中曽根(たなかそね)内閣」と陰口をたたかれていました。
自民党最大派閥・田中派の影響がものすごかったからです。
田中角栄氏の影響がものすごかった。
1985年に最大派閥の田中派で内部で抗争が起きます。
その最中に田中角栄が脳梗塞(のうこうそく)で倒れます。
すると中曾根総理が「脱田中」を図って成功します。
中曾根総理は党内最大派閥のゴタゴタをプラスに転じました・
では、岸田総理はどうでしょうか?
安倍総理急死により集団指導体制を取っていた安倍派に激震が走ります。
「派閥とカネ」問題が安倍派を直撃。
「安倍派5人衆」と呼ばれた有力者はいっせいに身動きが取れなくなりました。
そんな中、岸田総理が「岸田派(宏池会)の解散」を真っ先に表明。
安倍派も解散に追い込まれました。
この状況は岸田総理にとってプラスなのか。
それともマイナスなのか。
後世、歴史はどっちの評価を下すのでしょうか?
*このブログ記事は楽天ブログに書いた2つの記事を1つにまとめ編集したものです。
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