長崎のお盆
精霊流しの準備をしているのを、車から見かけた。
あまりに豪奢で、写真を撮った。
車内から写真を撮る時に、お偉い方の挨拶が延々とされているのが聞こえて、他人事ながら大変そうに思った。
夕方とはいえ外は30度はあって、初盆の家の人々はただ外で待っていた。近くにはイオンがあって、その辺りで法被のまま飲み物を調達したり涼んだりしている人もいた。
私というかうちの家は浄土真宗なので、精霊流しはしない。精霊馬も置かない。幼い頃から存在を知りつつも、関係ないことなので特に何も思わなかったし。
遠くから聞こえる爆竹や花火の音を、お盆のものだの認識しながらも他人事。
宗派の違いだと気付いたのは、30歳になってからだった。というか昨日。
お墓参りには夜に行く。これが普通だと思っていたら、広島の人に聞くとどうも朝から行くらしい。
17時か18時頃から墓に提灯を建てて、それから本家や親戚、友人のお墓参りをする。自分の家のお墓に戻って提灯を片付けて帰る。
これが一般的ではない一般的な流れではないだろうか。
初盆の家はお墓の周りを竹や木材でぐるりと囲んで骨組みを作って、それに提灯を隙間なくぎっしり並べるように吊るす。
遠目で見てもすぐに初盆の家だと分かる。
今は禁止になったらしいが、昔は初盆の家はクーラーボックスに冷えたビールやジュースを入れて持ってきて、お参りしにきた人に配っていた。なので墓で飲酒が当たり前で、子どもはジュースを飲んで花火をしていた。
今では自主的に缶ビール片手にお参りに来る年配の方を見かけるくらいだろうか。
子どもの時はやたらジュースがもらえるのが、結構楽しみだった。
13日は墓地へ行くと小雨の気配と雷の音が響く中、周りは慌てて提灯を片付けていた。
そんな中、柱と提灯片手に来たばかりの私たち一家は提灯を建てるのは諦めてお参りだけした。
15日は天気はよく、風もそんなになかったので提灯を建ててまたお参りした。
都会のハイテクで整備された墓地を見ると、地元の墓地は道がなく他所の敷地をがんがん進んで巡るしかないので危なすぎることに気付いた。
普段、お墓に行くのは老人ばかりなのに、これでいいのかと心配になる。ゲートボールとかではなくてパルクールとか練習してほしい。
今年は家の習わし的諸々と、長崎ならではのお盆、どちらもほどほどに体感したように思う。
来年は避けるかもしれないし、分からないけれど……
こうも面倒でも親が生きて元気な内なので、帰れる時は帰ろうと……思ってはいる夜です。