ロシア人が設立したスタートアップLikePayで働く~会社設立・パラレルワークのこと
前回の記事で、ロシア人が設立したスタートアップLikePayで働くことになった経緯はお話しました。
実際に会社を設立したのは2018年8月で、その設立の際の書類準備や起業準備を代表のイーゴリと一緒にやっていました。
私も起業準備は初めてだったし、その上代表になるのが外国人だったので、必要な書類も特殊でした。
中でも苦労したのは、「印鑑証明書」の代わりになる「署名証明書」でした。
外国人の場合だと、印鑑ではなく署名になるので、
本人が直筆で署名し、それを公証人役場で”この署名は本当に本人がこの場で署名した”という証明書をもらわないといけません。
他の国の場合は分かりませんが、ロシアの場合はこれをもらうのにかなり苦労しました…。この署名証明書が一般的にはないようで…。
この証明書は大体外国語で書かれているので(私たちの場合はロシア語でした)このような書類の翻訳なども手伝いました。
ちなみに、2016年から日本に住んでいない外国人でも日本法人を持てるようになりました。
参考:
会社設立準備と合わせて、VCなども回ったり、色々なイベントにも出てきました。
様々なVCを回って感じたことは、日本のVCは、既に存在していてある程度マネタイズも出来ているビジネスモデルに対して主に投資していて、あまり前例のないビジネスに対して挑戦することはあまりないということでした。
打合せの機会をいただけるだけありがたかったのかもしれませんが、その打合せでカベウチをしても「なぜその質問?」といったような、投資する意欲があるとは到底感じられないようなことを言われた記憶の方が多いです。
打合せをして音信不通になるのではなく、せめてフィードバックは欲しいと思いました。
イベントは、本当に様々なものに登壇したりしていましたが、一番インパクトが大きかったのは2019年のSlushです。
イーゴリ本人も、英語ピッチの指導も事前に受けられたりしてとてもためになったと言ってました。
また日本だけではなく、海外のスタートアップ関係者や投資家と接点を持つことが出来るのもとても良かったです。
起業するうえで(起業してからも)必要なことは、同じように起業している方との繋がりや、コミュニティです。
もちろん事業的な面で分からないことも多いですが、会社経営そのもののことで分からないことが多く、一人だと不安になってしまうことも多いです。
LikePayの場合は、住所登記にも使わせていただいていたCrewwさんにとてもお世話になりました。
Crewwさんはスタートアップと大企業の新規事業部などを繋ぐようなサービスを展開していて、特にスタートアップ側の困ったことや悩んでいることに対してコミュニティマネージャーの方が親身に話を聞いてくれます。
LikePayについても、メディアで取り上げたりしてくださいました。
会社設立を手伝った後は、私は主に広報や営業のサポートをしていました。特にスタートアップを立ち上げる上では広報はかなり重要だとよく言われていますが、LikePayも初期からの広報活動の甲斐があり、短い期間で様々なメディアに取材いただいたり、ラジオにも出演しました。
<JETROに取材いただいた記事>
<ラジオ日本に出演しました>
私に広報担当の役割を任せてくれたのは代表イーゴリの考えからだったのですが、これが本当にハマりました。
防衛省を辞めたばかりの私は、自分にどんな職種が向いているのか分かりませんでした。だからこそ色々やらなければならないスタートアップに挑戦して良かったと今は思います。
広報マーケティング寄りの仕事をしていた建材商社との兼ね合いもあり(その時は私自身も自分がやっている仕事が広報マーケティングだと分かっていなかった訳ですが笑)、LikePayではより広報に近い仕事をしていました。
スタートアップの広報でやった方が良いことはまた別記事で書きます!
思えば、実は私の母もテレビ局に勤めてディレクターなどをやっていて、”人に伝える”のを得意としています。
そんな母の背中を見ていて、小さい頃からなんとなく”こう言った方が人に伝わるかな”と考えたり、”こういう媒体で発信すればきっと届けたい人に届くだろうな”と意識するのが好きだった気がします。
遺伝の要素もあるかもしれないですね。
代表イーゴリには、このような才能を見出してくれたことに感謝しています。
ただLikePayでの活動は、建材商社で正社員で働きながらやっていたので、仕事後の夜の時間や土日しか時間が取れませんでした。
(この頃はまだテレワークもなかったため当たり前ですが毎日出勤していました。)
そうすると、本当にフルで1週間働くことになってしまい、その生活が1年間程続いたところでさすがに休む時間がなさ過ぎて身体を壊しかけました。
そこで、建材商社の方の働き方を変えてもらうことにしました。
本来であれば、こんなことはそもそも相談できないと思うのですが、
当時の上司がとても理解のある人で、認めてくれていたので(仕事のパフォーマンスを日々しっかり出していたことが大きいと思いますが)
週に3日は建材商社、2日はLikePayの仕事をやることをOKしてくれました。
日にちを減らしたからと言って仕事のパフォーマンスを今までよりも落とさない自信はありましたし、実際落としませんでした。
この働き方を変更したのが2020年3月です。
ライフワークバランスを重視して、今まで以上にLikePayの方も力を入れていくつもりでした。
そして2020年4月。コロナの影響で、LikePayの導入対象としていた飲食店など、サービス業の休業や廃業が多くなってしまいました。
テイクアウトを行っている店などを対象に広げようとしていましたが、あまり積極的にアプローチも行けませんでした。(飲食店の方々などは、システムの売込みに対して対応する余裕もなかったでしょう…)
そんな感じで売上が立たないので、当然LikePay側からの給料はもらえなくなってしまいました。
直前の3月に働き方を変更してしまったため、建材商社で働いている週3日分の給料しかもらえず、結構苦しむことになってしまいました…。
赤裸々にお話すると、一時期はお金がなさ過ぎて、メルカリでモノを売ってその売上金を食費などの生活費に充てていたことも…笑
日本は原則「時給」のため、通常の企業は成果報酬ではなく「どれだけの時間働いていたか」で判断しますよね。
その時間のパフォーマンスが良かろうが悪かろうが、基本的には毎月の給料に大きく影響することはありません。
この仕事に対する考え方のお陰で、サラリーマンはある程度生活の保障がされている訳です。
ただ、それが「頑張らなくても良い」社会を作ってしまっている気がします。
なんとなくこれって、共産主義っぽいな~と私は思うのですが。笑
コロナの影響もあって在宅勤務やテレワークが普及したので、仕事中の様子を見ることが出来なくなり、日本でもパフォーマンスで評価するようになってきている風潮はありますが、依然としてサラリーマンはこの原則時給での給与体系になっていると思います。
私はこの期間に本当に”お金を稼ぐとは”ということについて考えましたね…。起業で大切なことは、当たり前ですがやはり売り上げを作って黒字にすることです。会社に対してパフォーマンスを出していても、結局売り上げがなければお金は生まれないので。
結局LikePayはビジネスの方向性を変更することになり、そのタイミングで私は抜けることになりました。(その後どうしたのかは、次の記事に…!)
現在、LikePayは”ノーコード”に関するサービスを展開していて、
エンジニアがいなくても、コーディングせずにWebサイトを作ることが出来るツール「Webflow」の使い方を教えたり、自分たちでもサイト制作やアプリ開発などを行っています。
代表のイーゴリは元々デザインのセンスなどもすごくあったので、すごく向いてると思っています。
起業を考えている方で、「エンジニアがいないからWebサイトやアプリが作れない」と悩んでいる人はぜひ覗いてみたり、相談してみてください!
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