短編小説 冬は寒いが恋は温かい
「さむぅ!」
朝起きたら、窓には雪がついていた。外を見ると田舎で地味なこの町が雪化粧していた。北海道のある町は初雪を迎えた。
「もう起きた?雪かき、手伝ってきなさい。」
下からお母さんの声が聞こえてくる。ずっと布団にくるまっておきたいところだけど、私はベッドから降りた。降りるときにみしみしと音をならした。床は冷蔵庫並みに冷たくて。走って、洗面所に向かった。
***
「行ってきまーす」
お母さんは掃除機をかけていて、返事はない
外に出るとびゅーーと風が吹きコートが震えた。雪はもう降ってはいないけど雪はとても積もっている。うちの家の前は雪かきが終わっている。手伝いに行くって言ってもどこにいけば、、、
私はとりあえず幼馴染の家に向かった。あそこは朝が遅いからきっと雪かきが終わってないだろう。
「あ、早織だ。雪かき手伝って」
幼馴染である涼平が手を振る。手袋をしていなくて、赤くなっていた。
「手伝いに来たの。ていうか、手袋しなよ」
そんな助言に耳をむけず、シャベルを渡してきた。
「なんで寒くなんないかな」
小言をいったって、耳を向けてくれやしない。二人で静かに黙々と雪を集める。さすがに気まずい。何か話そうとしたところで、涼平が先に口を開いた。
「伊崎さんって、好きな人いると思う?」
恋バナ⁉と思って、呆然としていると涼平は顔を赤くした。シャベルを動かす手を止めて、考える。
「伊崎さんねぇー今度、聞いてこようか?」
「いや。大丈夫。自分で何とかするから。」
涼平はそう言ってまた作業を始めた。
涼平に好きな人かぁー。さっきから胸が痛い。
伊崎さんに取られたくない。
こんなこと思うの初めてだった。
私は気づきたくない。
自分の恋心に
完