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ライドシェア派生ビジネス①ライドシェアドライバー向け保険サービス



ニーズが生まれる背景


 ライドシェアサービスの普及に伴い、従来のタクシー事業とは異なる新たな保険ニーズが生まれています。日本では2024年4月から、タクシーが不足する地域や時間帯に限って、タクシー会社の管理下でライドシェアが部分的に解禁される予定です。この規制緩和により、一般ドライバーが自家用車を使って有償で旅客を運送することが可能になります。

 しかし、ライドシェアドライバーは従来のタクシードライバーとは異なる立場にあり、既存の自動車保険では十分にカバーできないリスクが存在します。例えば、個人の自動車保険では営業目的での使用が除外されていることが多く、ライドシェア中の事故が補償対象外となる可能性があります。

 また、ライドシェアサービスの特性上、乗客の安全確保や第三者への賠償責任など、従来の個人向け自動車保険とは異なるリスクが存在します。さらに、ライドシェアドライバーの多くがパートタイムや副業として従事することが予想され、フルタイムのタクシードライバーとは異なる保険ニーズがあると考えられます。

 このような背景から、ライドシェアドライバー向けの専門的な保険サービスへのニーズが高まっています。

ライドシェア先進国の事例


 米国では、ライドシェアの普及に伴い、専門的な保険サービスが発展しています。例えば、大手保険会社のオールステートは、ホームページ上にライドシェアリング専用のウェブサイトを用意し、保険契約者等への注意喚起を行っています。

また、ライドシェア大手のUberは、独自の保険プログラムを提供しています。このプログラムでは、ドライバーがアプリにログインしている時間帯に 応じて、異なるレベルの補償を提供しています。例えば、乗客を乗せている間は最大100万ドルの第三者賠償責任保険が適用されます。

 日本国内では、タクシー事業者向けに類似のサービスが既に存在します。例えば、「東京ハイヤー・タクシー交通共済協同組合」などのタクシー共済が、タクシー業界に特化した保険サービスを提供しています。これらの共済は、タクシー業界の特性を理解した上で、事故時にタクシードライバーに有利な条件で保護を提供する傾向があります。

予想される市場規模と収益性


ライドシェア向け保険サービスの市場規模は、ライドシェア市場全体の成長に連動して拡大すると予想されます。グローバルなライドシェア市場は2024年までに年平均約15%の成長率が見込まれており[7]、これに伴い保険市場も拡大すると考えられます。

 日本国内では、2024年4月からのライドシェア部分解禁に伴い、新たな保険ニーズが生まれると予想されます。具体的な市場規模の予測は難しいですが、タクシー事業の市場規模(約1.5兆円)の一部がライドシェアに移行すると仮定すると、数百億円規模の新たな保険市場が生まれる可能性があります。

 収益性については、リスク評価の難しさや競争の激化により、初期段階では高くない可能性があります。しかし、データの蓄積やリスク管理技術の向上により、中長期的には安定した収益が見込めると考えられます。

参入に有利と言える既存の事業種


 ドライバー向け保険サービスへの参入に有利な既存事業種としては、以下が挙げられます:

1. 損害保険会社:既存の自動車保険のノウハウやリスク評価能力を活かせます。

2. タクシー会社:ライドシェアの運行管理を担うため、ドライバーとの接点や運行データを持っています。

3. ライドシェアプラットフォーム事業者:ドライバーや利用者のデータを持ち、直接的な顧客接点があります。

4. テレマティクス企業:走行データの収集・分析技術を持ち、リスク評価に活用できます。

5. フィンテック企業:柔軟な保険料設計や支払いシステムの構築に強みがあります。

まとめ


ドライバー向け保険サービスは、ライドシェアの普及に伴い急速に成長する可能性のある新ビジネスです。以下に、実現性・収益性・意外性をそれぞれ5段階で評価します。

- 実現性:4/5
 既存の保険インフラを活用でき、法規制の整備も進んでいるため、比較的高い実現性があります。

- 収益性:3/5
 初期段階ではリスク評価の難しさから収益性は高くないかもしれませんが、中長期的には安定した収益が見込めます。

- 意外性:2/5
 ライドシェアの普及に伴う自然な展開であり、意外性は高くありませんが、新たなリスク評価手法や補償内容の開発により、差別化の余地があります。

 ライドシェアの部分解禁が迫る中、保険会社やテクノロジー企業は、この新たな市場機会を逃さないよう、早急にサービス開発に着手すべきです。特に、ドライバーの行動データやテレマティクス技術を活用した革新的なリスク評価モデルの構築が、競争優位性を確保する鍵となるでしょう。

 また、ライドシェアプラットフォーム事業者や自動車メーカーとの協業も、サービスの普及と収益性向上に重要な役割を果たすと考えられます。今後、この分野での先行者利益を獲得するためには、迅速な市場参入と継続的なサービス改善が不可欠です。

参考資料

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[1] 日本はライドシェア解禁を検討中?現状と背景、種類やメリット ...
https://www.freee.co.jp/kb/kb-trend/ride-sharing-lifted/
[2] ギグエコノミーとは?メリット・デメリットも合わせて紹介 - PreBell
https://prebell.so-net.ne.jp/feature/pre_23072402.html
[3] 「ライドシェア」とは? サービス概要や課題・国内の現状について ...
https://www.sociac.jp/safety-life-media/detail/85
[4] ライドシェアとは?メリット・デメリット、国内解禁の見通しを解説
https://www.ins-saison.co.jp/otona/oshiete/car/ride-share.html
[5] [PDF] 米国のライドシェアリングの発展と損害保険 - 損保総研
https://www.sonposoken.or.jp/media/reports/sonposokenreport117_2.pdf
[6] タクシードライバーの保険とは? |タクノート
https://www.drivers-work.com/column/knowledge/taxidriver-insurance/
[7] 【2024年】成長するライドシェアの市場規模。各地の拡大の理由と ...
https://service.customedia.co.jp/marketing/rideshare-marketsize/
[8] newmo、大手損害保険3社と各社個別に業務提携契約を締結 ライド ...
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000137033.html
[9] ライドシェア保険から紐解くインシュアテックの今 | GB Universe
https://universe.globalbrains.com/posts/unraveling-insurtech-today-from-ride-share-insurance
[10] [PDF] ライドシェア事業向けの自動車保険を販売開始 - 三井住友海上
https://www.ms-ins.com/news/fy2024/pdf/0419_1.pdf

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