雨粒。
ざぁーっと降り出した雨に立ちすくむ。
傘を忘れたから、
今、帰るとびしょぬれだ。
周りにはもう誰もいなくて、
しーんとした昇降口で、私は仕方ないから少し待つことにした。
雨のにおいは好きだ。
空から降ってくる雨粒を眺めていると、だんだん粒が大きくなっているのに気づいた。
雨が強くなったのではなく、
雨粒が大きくなっている。
雨粒は、虹色に光っていて、その中にはまあるい粒がたくさんある。
あまりにも綺麗だから、このままずっとみていたいな、と感じる。
気がつくと、
隣に小さな女の子が立っていた。
その子は少しだけ透きとおっていて、白いワンピースを着ている。
髪の毛は淡い紫色。
足元は、裸足。
その子は私の手を取り、
大きくなった雨粒の方へ駆けだした。
促されるまま、私も雨粒の中へ。
みたこともない景色。
言葉で表すことのできない色たち。
輝く女の子。
いや、私も輝いていた。
キラキラの中で、心地よい揺れを味わいながら空高く舞い上がっていく。
雨は空から地面に落ちるのに、
何で私は空に上がってるんだろう?と、不思議に思う。
ぐんぐん上がって、
自分の住んでいる街が小さく小さくなって…。
このままどこに行くのだろう。
でも、帰りたくないな、どこまでも行きたいな、と思ったとき、
バチン!
と音がした。
手に虹色の傘を持ち、
昇降口に立っている私がいた。
雨はもうやんでいた。
おしまい。
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