死、とは。(みにみにものがたり39)
人って簡単には死なない、と、思っていた。こんなに突然にいなくなってしまうものなんだ…
あの人が旅立った夜、思わずそう呟いた。
僕は未熟だった。
何にも知らなかった。
産まれてくることは、とてもとても難しいのに。死ぬことは、いとも容易く簡単なことだったんだ。
一生懸命、産まれてきて、
一生懸命、生きて、
一生懸命、生き続けて、
あっけなく死んでしまう。
なんて残酷なんだろう。
あとに残ったのは、姿形が違う骨のかけらのみ。
ぽつん
と、残された僕は、
あの人のことを想う。
″今、何をしているのだろう″
″今、何を思うのだろう″
僕にできる唯一のことは、
記憶の中のあの人を
ただただ、思うことだけ。
思い出は、残る。
記憶には、いる。
ここには、いない。
でも
ここに、いるんだ。
たぶん、きっと。
「ありがとう」
と、にっこり微笑む
あの人の声が聞こえた気がした。
おしまい。
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