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出身地ってどこなんだ問題

ボクは、はじめましての方とか、出会って最初の頃の会話のとっかかりに、
出身地ってどちらなんですか?」
という質問をよく用います。そうすると、話の流れで、
「ありがたきさんはどちらなんですか?」
と、聞き返されることが、なかなかの確率であります。まぁ、そりゃそうですよね。
ところが、他人に質問しておいてなんなのですが、自分の出身地というのが正直言ってよく分からないんですよね。

何故、自分の出身地が分からないかは、後で説明するとして、まず、出身地の定義というものを調べてみると、これがどうもイマイチよくわからないのです。明確な定義を説明してくれているところが見つからないのです。
出身地のことを調べてみたことがある方ならば、おそらく大体はご存知ではないかと思いますが、

国土交通省が『15歳くらいの間に最も長く住んだところ』としている説

が割と幅を利かせているものの、これも90年代くらいにアンケートを取る際に便宜設けた定義っぽく、その後この定義を固定させている痕跡は見当たらないのです。
結論として、出身地の定義は明確になってないのです。

さて、何故出身地が分からないかというと、ボクは転勤族の子供でして、就職して実家から独立するまでに何度か転居をしているからです。

ボクの会社で、毎年提出する身上申告には、以前は本籍地を書く欄があったのですが、いつからかそこは出身地を書く欄にかわりました。
どうも、親の本籍地をそのまま自分の本籍地にしている場合、生まれも育ちもしていない場所であるというケースがあり、身上把握にあたって本籍地が求める情報でないこともあり、代わりに出身地を求めることにしたんだそうなのです。
なるほど、確かに、理にかなってる。かなってるけど…

前述の国土交通省説をあてはめると、ボクの出身地は大阪府になるのです。ですが、それって猛烈な違和感。既にそこに家はなく、親戚もなく、当時の友達ともほぼ疎遠だし…。じゃあ何処になるんだ?

困ったぞ…、わからない。

そこで、思い切って人事課に聞いてみました。すると、

全く縁もゆかりもないトンチンカンな場所にしない限り、自分ではここが出身地だ、と思った所でいいです。

とのことでした。なるほど。ずいぶんとアッサリしてるんだね。

ちなみに、ボクの本籍地は東京都で、実際に東京で生まれたのですが、生後9ヶ月くらいの時に父の転勤で東京を離れて以来、東京には住んでいません。
ですが、我が家のお墓は都内にありまして、父が東京生まれの長男で、ボクはその長男、つまりは2代続く長男の長男であること、それ故か小さい時から東京に強い思い入れがあったので、もう東京を出身地とすることにしました。

ところで、今回調べものをしていたところ、新しい定義を発見しました。

国立国語研究所では、現代人の言葉遣いなど日本語について研究しています。

2013年の「首都圏の言語の実態と動向に関する研究 全国若者語調査地図集」では出身地ではなく、「生育地」を定義し調査しています。

本調査は,当初から地理的分布による分析を念頭に置いているため,調査票では,生育地(本調査では,5歳から15歳まで最も長く住んでいた場所)の回答を,「丁目や番地などの数字の前の部分(以下,大字単位)」まで記入してもらうことにした。

なに?、生育地、だと?
国立国語研究所という、ちゃんとしてるっぽい機関が、2013年という比較的最近に定義したものみたいですが、はて。

ここで述べられている定義の5歳から15歳までに、ボクを当てはめると、東京はまるでカスリもしないじゃないか。で、大阪府大阪市鶴見区が4年11ヶ月で最長なので、ボクの生育地は大阪市鶴見区になるようです。

まぁ、この定義を用いた調査が『全国若者語調査』ってことなので、言葉の基礎になる地域が知りたいのでこういうことなんでしょうね。

ちなみのちなみで、ボクの両親は共に東日本の出身でして、家の中では標準語を使うように育てられていたので、キレイな標準語を使えます。一方で、大阪で生活するに際して標準語を普段使いするというのは、周囲の反発やイジメの対象になりかねない自殺行為。そんな訳で、小学生の頃に一生懸命覚えた北河内方面の大阪弁を使えます。…とはいっても、大阪を離れてからもうかれこれ30年以上経つので、イントネーションは(多分)大丈夫にしても、いまどきの語彙とかにはとんと疎いんでしょうけどね。

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