ロックマンの通しナンバー表記について考えてたこと
ロックマンと自分の関係
最初に、何も前情報を知らない人も読む可能性があるので自己紹介がてらに自分のことを少々
過去にロックマン関係の書籍の編集&構成や監修担当、あとはロックマンの漫画を描いたり、カプコンさんのイベントなどに出演しておりました。
情報過多ですいません。そんな感じでなんだかんだありつつロックマンシリーズに長年、漫画だったり水面下だったりで関わってきた者、と把握していただければ充分です。次から本題に入ります。
ロボット達の通しナンバー
ロックマンに登場するロボットの通しナンバーですが、ロックマン1,ロックマン2,ロックマン3までは取扱説明書で「No~」表記、でした。
ロックマン4からは「DWN(ドクターワイリーナンバーズ)」表記となり、以降はそのフォーマットに乗っ取ってライト製のロックマン1登場ロボットも「DRN(ドクターライトナンバーズ)」と再設定されています。
ドクターワイリーナンバーズはDWN-009メタルマンが最初になり、なんでワイリーロボット第一号が009になるのか?ライトナンバーズと通しナンバーなのはどうして?という疑問が。
私の漫画は当時のロックマン開発者さんとの会話で「ゲームで表現できない漫画ならではのロックマン世界が見たいですね」と言われており、自分でもそれを心がけていました。(前述の大百科の件もあって大阪のカプコンさんに直接伺ってお話する機会がその後も結構ありました)
それでナンバーズに関してはライト博士のコンピューターで管理、参照するために登録された「人間と関わりを持つ(世間や人類に影響しうる)自我を持った思考ロボットの通しナンバー」と定義しました。
自我を持つロボットの試作機であるブルースのDRN-000からはじまり、ワイリーの世界征服事件で現れたライト製以外に自我を持つ思考型ロボット(メタルマン以降)は「思考ロボットの通しナンバーとしての数字」と、事件と関わった開発者の頭文字をつけてDRN、DWN…にしていこうと。
この考え方で漫画を描く時にコサックが起こした第四次事件(ロックマン4)のロボットたちをDWNとするか(ゲーム公式ではDWN)、それともそもそもの開発者としてのコサックを考えてDCN(ドクターコサックナンバーズ)とするか悩ましく、漫画の方ではカプコンさん監修の元、DCNとして了解していただき物語を描きました。
第五次(ロックマン5)の時はワイリー製なのでDWNとして、第六次(ロックマン6)のロボットたちは世界中に開発者がいるけど事件としてはMr.Xが起こした事件に使用されたロボット達なので漫画で描く際にはMXN(ミスターエックスナンバーズ)に。(カプコンさん監修の元、了承済)
本編シリーズが進むと共に設定がズレていく
そしてこの頃からどうもゲームに登場するボス達以外にも自我のあるロボット達がいて当然の世界観になってきたので、私の方で漫画を描きながら考えていた
「ライト博士が世界(世間、人類)に影響を及ぼす可能性を持つ思考型ロボットを通しナンバーで登録、参照できるよう事件毎にナンバーの頭の文字列を変えて管理する」
が設定として成立しなくなってきたんですよね。
そもそも私が考えてたナンバーズのルールでは、ロックやロール、ボス以外のロボットに自我や影響力が無いことになってしまいます。(作業用ザコロボットだけなく、ラッシュやエディ、ビートたちのことを考えると…)
DRNとDWNが分かれてること自体は公式なので、これが通しナンバーになってるということに、皆が腑に落ちる説得力を持たせたいなあ…とかたまに未だ答えが見えないことを考えます。
ロボット達にナンバーが付いていたそもそもの理由
拙著「ロックマンマニアックス下巻」では、ロックマン初代企画マンであるA・K氏とロックマン1,2開発にまつわる対談をしています。
ここで私から各ロボットに付いているナンバーについて企画的にどういう意図をもってつけたのか訊いたのですが
・メディアミックス展開を視野に入れた時に、各キャラクターに通しナンバーが付いていた方が商品展開の面でも良いと考えた
・ナンバーは、ゲームに実装された順(カットマンが最初に作られて、最後にエレキマン)
・ミステリアスなナンバー000とか後から出てきたらワクワクするよね(ブルース)
等々、伺いました。
ロックマン1,2,3のロボットのナンバーがなんで「No」だったのか腑に落ちます。やはり全体の通しナンバーだったんですね。
ロールのNo-002やブルースのNo-000など気になる仕掛けもあってロボット達にナンバーを割り振るのはいかにもロボット的でもあり、凄い発想だなあって思います。
ロックマン1の頃、取扱説明書ではNo-001のロックマンの次がNo-003のカットマンで、No-002は一体どんなロボットなんだろう??と想像していました。
当時の取扱説明書にもロールはおらず、エンディングで少女が出てきますが私はライト博士の孫娘か何かだと思っていました。(ロールが本編でNo-002であることに触れられるのはロックマン3から)
この本に収録されている対談ではファミコンのロックマン1,2の企画について(ロックマンの色が青くなった理由や、武器チェンジ、ステージセレクト、ボンドマン、ボスキャラ公募等々)色々語っていただいています。
ゲームのロックマンファンならば楽しんでもらえる対談になっていますのでご興味がありましたらば新装版ロックマンマニアックス下巻で対談全体を読んでいただけたらば嬉しいです。
紙だと今は重版がかかっておらずプレミアがついちゃってるので(受注数が溜まらないと刷らない)、今から読むならお求めやすくすぐに読める電書版(1320円)がオススメ。
ナンバーズの扱いが変わってきたこと
シュビビンマン3のnoteでも書きましたが、ゲームというのは会社のコンテンツであり、一人の開発者が原作者として世界観をコントロールするわけではなくその時その時でチームに配属されたスタッフ達で作りあげられていくものです。
シリーズが進むことでその時々の開発者のいろんな想いや考えで世界観が多層的に増えていき、奥行きや深みが出てくるのだと思います。
DRNとDWNは通しナンバーですが、それとは別にRKN(ロックマンキラーナンバー)やSRN(スペースルーラーズナンバー)、MWN(メガワールドナンバー)、SWN(スペシャルワイリーナンバー)、KGN(キングナンバー)、などが後に公式で新たに設定されており、頭文字毎に001からはじまっています。
ナンバーがつけられたロボットが増えること自体は世界観が広がってる感じがするので良いと思います。
ですが、このことでDRNとDWNが通しナンバーなのが異質で際立ち目立っています。
いっそ他のナンバーズも頭文字だけ変わった通し番号だったらよかったのかもしれません…今更ではありますが。
※思い込みかもしれないこと
思い込みかもですが…自分が漫画家になる前に作ったロックマン同人誌(1~3マデ)でライトロボとワイリーロボを「DRN」「DWN」表記してたんです。
同人誌版の方でDRNとDWNに分かれてつつ同じ通しナンバーになってることの自分なりの理由付けは「ライト博士が記録している思考ロボットの通しナンバー」というつもりで要は商業版漫画であるメガミックスとほとんど同じで下敷きになっています。
※同人誌自体はギャグ系ショート漫画なので無駄設定
この同人誌は当時のカプコンのロックマン開発者さん達も知っていて(お会いした時に言われました)この表記が逆輸入されたのかな?とは考えすぎでしょうか…
もしそうなら「ナンバーズ、どうしたらいいんだ」という苦しみの根源はひょっとしたら自分が…?
(不穏な曲が鳴りながらフェードアウト)
終わりに
ロックマン話を長く語りすぎました。
お約束の言葉で締めくくりたいと思います。
か、勘違いしないでよね! べ、別にロックマンのことなんかなんとも思ってないんだからね!
おしまい
人の心は難しいのだ。