(試し読みアリ)「ようかいとりものちょう乙 古都怨霊篇 第一幕」と「コミスタからクリスタへ」
以前はお知らせや裏話のようなものをTwitter(現・X)のモーメントにまとめていたのですが、現在は編集も更新もできないので改めてnoteに投稿、以降はnoteの方でpostをまとめます。
「ようかいとりものちょう」は1~4巻が【妖怪お江戸篇】、5~8巻が【天怪篇】で、9巻からは新シリーズ「ようかいとりものちょう乙(乙)」となり【古都怨霊篇】がはじまります。
古都怨霊篇壱 冒頭
試し読みはここまで!
裏話、この頃の作画事情
前巻である8巻(天怪篇肆)の作画中に2002年頃から作画に使っていたコミックスタジオがだんだん調子が悪くなってきました。
この頃コミスタのサービスは終了しておりサポートも終わり、OSのアップデートに旧式であるコミスタが追い付かなくなってきたんじゃないかと想像しています。
天怪篇も終盤になるにつけキャラも増え戦闘も増え、複雑なページを描いてる最中に警告なしにコミスタが落ちるのでかなり参っていました。
コミスタが限界なら必然的に作画する場合は後継ソフトのクリップスタジオに移行するべきなのですが、お試しで何度か触ったところコミスタとは制作チームが違う為かどうも描き味やUIが違いすぎて…
試しにTwitter(現X)にアップするつもりでラクガキをしてみたんですが、コミスタなら30分もかからないで描けるような絵がクリスタだと慣れてないのもあって2時間以上かかっちゃって、これじゃ仕事にはまったく使えないなあって。
なんというか、この頃の正直な感想はペン入れの時もヌルーって感じで、そのぶん線の補正やアンチエイリアスは綺麗なんですが、どうもあのヌルっとした描き味が苦手で。
コミスタが紙にシャッシャッとペン入れするような感触だったのに、クリスタはツルツルした表面にマジックでヌルっヌルっと描いてるような違和感を感じて生理的に合わず敬遠してたんです。
…とは言っても今後も仕事を続けるならクリスタを使いこなせるようにならないと駄目だというのはわかってたんですよね。
そこで8巻入稿後にコミスタの後継ソフトであるクリップスタジオを勉強しにヒューマンアカデミーのクリスタ講座を受講しにいきました。週一回の夜間学校で、夜間な為自分以外の受講者も社会人だったので落ち着いて授業を受けれました。
その時の卒業制作漫画はnoteにアップしています。
講座を通じてなんとかクリスタを使いこなせるようになってきました。
あと、クリスタでコミスタの作業工程をそのまま再現をしようとして苦しんでたんですがこれはナンセンスで、鉛筆とボールペンが別モノなように、そもそもコミスタとクリスタのふたつは別の特性を持った別の画材であると割り切って使った方が良いというのも触ってるうちに理解できました。
なんとか9巻(古都怨霊篇)スタートまでに講座を終えて仕事ではクリスタをはじめて使いますが、コン七の等身も上がってるので慣らし運転にはちょうど良いかと思い描きました。
今回のnoteで試し読みでご紹介したのは、クリスタで作画した最初の本、最初の原稿となります。
※背景はコミスタ時代にアナログで筆で描いた原稿をスキャンしたものを再利用。
そんな「ようかいとりものちょう乙【古都怨霊篇壱】」は書店、電子書籍で購入できます。
更に余談
8巻【天怪篇】が終わったあとの打ち上げで大崎さんから
「次は八犬伝をやりたいんですよ」
と言われたのですが、私の方は作画にコミスタが使えなくなるわ、クリスタはまだ習得する目途が立ってないわの時期で
「いやぁ… 八犬伝モチーフだと…
主役クラスのキャラが大量にばんばん出てくるし
めちゃくちゃしんどいですね…
ちょっと今の環境だと描けない(描きたくない)です」
と当時の環境的なこと含めて返答して先送りにしてもらいました。
そして今、「ようかいとりものちょう」は新シリーズ『妖怪捕物帳X(バツ)』【八眷伝篇】を描いています。大崎さんが描きたがってただけあって、シナリオめっちゃ面白いですよ!
「ようかいとりものちょう17【八眷伝篇壱】」は書店と通販で発売中!
更に追記、電子書籍版について
電子書籍版は岩崎書店側の電子書籍に対しての体制も整っていなかったためかこれまでリリース時期がバラバラで、7巻から8巻が出るまでに数年開いてしまったり、11巻から12巻が出るまでまたしばらく空いたりしていました(両方とも次の巻でシリーズ完結なのに何年も待たせるなんてひどい…!)
2シリーズ続けてこれだとせっかく購読してくれてる人からも見放されてしまいます。あまりにも電書版読者に申し訳ないと思って、それで私から頼み冥界彷徨篇以降、4冊毎のシリーズ完結後にまとめて同時にリリースしてもらってたんです。
紙の本と電書を同時に出さないのは出版社から書店に対しての仁義や気を使っているのではないかと推測しているのですが、そもそも紙の読者と電書の読者は層としてかぶってないのではと思うんですよね。
紙で買う人は手元に置きたいから絶対に書店で買うし、棚や住宅事情的に本を置けないけど電書なら読みたいという層もいます。そして購入機会の損失はシリーズを続ける上でよろしくないと私は考えます。
以上から紙の本と同時に電子版配信でも良いのではないかと担当編集さんと今後の電子書籍版について相談しています。
紙の本と電子書籍の件、皆さんはいかがでしょうか…?
岩崎書店の編集さんは私のnoteのようかいとりものちょうマガジンを読んでくれてるので、ここへコメントをいただけると読者の声を岩崎書店へ届ける機会にもなるかと。よろしければコメントでご意見、ご要望をいただければ幸いです。
▲とくしゅうサイトからは紙の本の紹介と購入ページへの導線を作っているのに、電子書籍版についてリリースされていることすら触れていないのはどうかと思うんですよ。
とくしゅうサイトへたどり着く人はスマホにせよパソコンにせよインターネット環境がある人しかいないのですから、購入する際に紙で買うか電子書籍にするかの選択肢はせっかくサイトまで来てくれた人に示すべきだと思います。
うるさい作家ですいません。
(2023年10月21日追記 とくしゅうサイトの各巻紹介から電子書籍版へのリンクが追加されました!ありがとうございます…!)