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【台湾ひとり旅】ただの一度も、

 ピタリと背筋を伸ばして立ち、ただの一点を見つめては、表情ひとつ変えず。なにかを「護る」人の美しさというものは、ただただ立ち尽くすというその立ち振る舞いや静寂さからでも、きちんと感じ取ることができるものなのだと、感心したことを覚えています。

 彼もまた人間で、そして感情のある生き物なのだと理解できたのは、彼の穏やかな"まばたき"からでした。長いまつ毛が上から下へとゆっくり動き、そしてまた下から上へ、ゆっくり戻って行く。彼を観察するわたしに、彼は怪しさを感じていたかもしれませんが、彼を見るわたしのまなざしが敬意に満ちていたことを、また知って欲しかったなと思います。ただの一度も、目は合いませんでしたが。

台湾ひとり旅日記より抜粋
in Taipei Taiwan Dec.2024

どれだけ待っても、目は合いません

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