キャラクター誕生秘話(1)/『救わなきゃダメですか? 異世界』
こんにちは、青山有です。
創作秘話ということで、自作品のメイキングに関する秘話や裏話を綴っていこうと思います。
第一回はキャラクター誕生秘話。
題材は『救わなきゃダメですか? 異世界』から、主人公の藤原路永(ふじわらみちなが)。
大まかなストーリーと舞台設定を考えつつ、主要キャラクターを練るのですが、大概はここで四苦八苦します。
ミチナガフジワラを生みだしたときを振り返ってみましょう。
先ずは、主人公に必要な要素を書き連ねました。
例えば、
・特別な存在であること
・特別な力を持っていて、他者を圧倒できるほどに強いこと
※ ただし、最初から圧倒的な強さではない。最初は程ほどの強さであるが、1話の時点で将来最強になれる要素を読者に伝えられること
・若年者、大学を卒業したばかりの新社会人くらいが望ましい
※ 若年設定で内面の成長を描く
・歴史、特に戦史に詳しく、意外と雑学、知識が豊富であること
※ 作中で雑学、知識が豊富であることを前面にださない
・基本、地頭が良い
・ヒーローものの主人公のように善人すぎないこと
等、実際にはここに挙げた何倍もの要素を書きだしました。
主人公が『特別な存在であること』。
特別な存在が何であるかは、初期設定を練る段階で決まっていました。
主人公は女神にとっての切り札。
そう、主人公たちを異世界に転移させた張本人である女神の切り札という設定です。
つまり、異世界の管理者である女神さまにエコひいきされた存在なのです。
女神に愛された男!
実に主人公らしいですよね。
そりゃあ、強くもなりますよ。
そしてこれが主人公が作中で最強である最大の理由です。
しかし、この“特別”、最初の段階では読者に分かりません。
そこで読者にも分かる最強の理由が必要になります。
必須要素である『特別な力を持っていて、他者を圧倒できるほどに強いこと』を読者にも分かる形で伝える必要がでてきました。
加えて、主人公の成長要素も描きたかったので内面の成長だけでなく、純粋な能力や強さの部分でも成長が分かること。
読者へのアピールポイントとして将来の成長が1話の時点で想像できることも新たに必須要素としました。
そこですぐに思い立ったのが『他者の能力を奪って自分の能力とする力』。いわゆる“能力強奪系スキル”です。
設定上、主人公だけが所持するのは不自然過ぎるので敵にも持たせる。
しかし、主人公と敵との能力差は必要。
そうだ!
強奪系スキルを細分化することにしよう!!
結果、
強奪スキルを三つのタイプに分散させ、主人公だけが三つのタイプ全てを取得することに成功。
これで読者にも分かる形で主人公が最強になりました。
しかし、まだ足りない……。もう一押し欲しい!
なぜって?
解き明かされる謎が二つあれば、一つ目の謎を解いて安心する読者の裏をかけるじゃないですか。
そこで白羽の矢がたったのが、お色気要素のために考え出したキャラ。フェアリーのマリエル。
主人公の一番身近にいるキャラですね。
マリエルが側にいることで主人公の力が強化されるようにすればいいんじゃね?
早速採用!
これで主人公の強さに拍車がかかりました。
最初こそ頼りないですが、マリエルのお陰で必要以上にピンチになることもなく、三種類の強奪系スキルがあるので近い将来は最強となることが保証されたのです。
と、ここまでで、裏設定を含む一通りの設定が出来上がりました。
次は名前です。
実はここまで触れてこなかった裏設定があり、『主人公の名前はカタカナにしたとき歴史上の人物であること』が必須要素なのです。
なぜか?
『救わなきゃダメですか? 異世界』はVRMMOに登録した先着100名のプレーヤーが異世界に転移させれられるお話しなのですが。
VRMMOの登録時にプレーヤー名を登録します。
他の99人はそれぞれが思い入れのある名前であったり、適当な名前で登録します。
ですが、主人公は本名でもあるし、歴史上の人物の名前でもある”ミチナガ フジワラ”でキャラクターメイキングをします。
では、なぜそんなことをするか?
秘密です。
でもちょっとだけ。
ミチナガフジワラのプレーヤー名で登録することで、初恋?の相手との出会いが待っているとか、まあ、そんな感じです。
話が逸れたので戻しましょう。
で、主人公の名前をどうするかツラツラと考えながら書棚を眺めていると、
永井路子先生の『この世をば』に目が留まりました!
主人公の名前が決まった瞬間です。
永井路子先生の『この世をば』は藤原道長を主人公とした歴史小説です。
“藤原”は藤原道長から。“路永”は永井路子先生から頂戴いたしました。
これでカタカナにしたときに歴史上の人物となる、という必須条件をクリアしました!
藤原路永/ミチナガフジワラの誕生です。
と、こんな感じで創作秘話を今後も綴っていきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
下記より本作品のご購入/WEB版の閲覧が頂けます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?