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続・その右手に忠誠を誓わせてほしい
あー、最悪だ。家に帰るの遅くなっちゃうなあ。
腕時計を見ると22時を過ぎていた。
目頭を押さえながら、よろめく脚を叱咤激励させる。
よろよろと立ち上がるあたしの目の前で強面の青年がほくそ笑んだ。
予備校帰りでくたくたのあたしを襲ったのはこの青年―叔父さんだった。
叔父といっても年齢はあたしのちょっと上ぐらいだし、その実態はまだ社会にも出たことのないしがない大学院生。
親の権力無しでは何
その右手に忠誠を誓わせてほしい
家に帰っても「おかえり」は返ってこなかった。
今日はバイトじゃないはずだし、どっか行っちゃったまま帰ってきてないんだなあなんて呑気なことを考えつつ夕食の支度をする。
彼女が好きな炊き込みご飯。彼女が好きな味噌汁。
家にいると彼女のことばかり考えてしまう。
彼女―同居人の瑞穂がうちに転がり込んでから半年が経過した。
中学生の頃抱いた東京への憧れを捨てきれず、単身で田舎を飛び出し上京してから