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「おじさんのようなおばさん、おばさんのようなおじさん」 〜ジェンダーを渡る人々〜(6)
はじめに
後日このコンテンツは動画化予定です。
過去の動画はこちらからご覧いただけます。
第1話: 新しい一歩
第2話: 揺れる家族の絆
第3話: 亀裂と受容
第4話: 世代を超えた理解
第5話: 試練と絆
第6話: 新しい日常
数週間が過ぎ、ミチルの生活は新たな局面を迎えていた。
カフェの火災の際、命がけで避難していたミチルとリエを家族の手で助け出したことで、勇次とリエ、そして直子の三人は、ミチルが心の中で男性であることを完全に受け入れる決意をした。
自分の本当の姿を隠し続けてきた重荷から解放されたミチルは、今までにない開放感と安堵感に包まれていた。自らのジェンダーアイデンティティーを家族に認めてもらえたことで、これまでの重い矜持から解き放たれた気持ちになっていた。
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「ふぅ、今日もいい天気だね」
リビングでくつろぐミチルの横においでついた勇次が、庭の方を見ながら適当に独り言をつぶやいた。
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「そうですね。散歩でも行きましょうか」
ミチルが勇次を見やると、勇次は優しい表情で頷いた。言葉にはならないが、この笑顔からは心からミチルを受け入れる気持ちが伝わってくるのがわかった。
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二人で散歩を済ませた後、ミチルは庭で一人ベンチに座っていた。リエが大人しく近づいてきて、隣に座った。
「おじいちゃんのおばあちゃん」
リエが呼びかけると、ミチルは照れ臭そうに微笑んだ。リエは以前からこう呼んでいた。ミチルはそんなリエの呼び方が心地よかった。
「リエちゃん。気分転換になったかな?」
「うん、すっごく良かった。おじいちゃんは、やっぱり女の人なのかな?」
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リエのストレートな質問に、ミチルはしばし考え込んだ。
自分が本当は心の中で男性だったことを家族に打ち明けた後、外見は確かに男性的になってきている。しかし全てが男性になったわけではない。
「そうだね、今は男性の体になってきてはいるけど、中身はおじさんでもおばさんでもないかもしれない。私は私自身としか言えないなあ」
リエはミチルの言葉を理解しようと、まじめな表情で考え込んだ。
「なるほど。性別関係なく、おじいちゃんはおじいちゃんで、おばあちゃんなんだね」
「そういうことよ。わかってくれてありがとう」
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ミチルは心から安心した。リエはただの子供とは思えないほど、高い理解力を持っていた。多くの大人が理解できないジェンダーの話を、こうしてすんなり受け入れてくれる。本当に有難いことだった。
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「でも、おかあさんにはよく説明したほうがいいよ。おかあさんもおじいちゃんのことを受け入れてくれるようになったけど、まだ少し戸惑っているみたい」
リエの的確な指摘にミチルは頷いた。確かに直子にも、もう少し理解を求める必要があるかもしれない。
「そうだね。機会を作らないと」
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その頃、台所ではミエコとハルオが料理を手伝いながら会話を交わしていた。二人はカフェが一時閉鎖になったため、しばらくの間はミチルの家に寄宿することになっていた。
「ミチルさん、本当に落ち着いた様子ですね」
ハルオが見るからに明るくなったミチルの様子に感心していた。
「そうですね。ミチルさんが家族に受け入れられたことで、この落ち着きようなのでしょう」
ミエコが料理に合わせて味見をしながら答えた。
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「私も、ミチルさんを見習わないといけません」
ハルオの言葉に、ミエコは首を振った。
「そんなことはありません。あなたは私とはまた違う過程を歩んできたのですから」
「そうですね。ただ…」
ハルオはしみじみと外を見やった。ハルオは周りの目が気になり、外出時の服装にも細心の注意を払う。ミチルほどには自由に振る舞えないでいた。
「私にはまだミチルさんほどの居場所は見つけられていません。でも、ミエコさんやこのお宅のおかげで、だんだん見つけられそうです」
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ミエコはハルオをしっかり受け止めるように、優しい目で見つめ返した。
「いつかあなたの居場所は完全に見つかるわ。私にもあなたを受け止めさせてもらいます」
二人はそれぞれに、互いを支え合う仲間として、前を向いて歩み続けることを改めて誓い合った。
そんな有り難い仲間がいることで、ハルオは確かな手応えを感じていた。まだ外の世界からは疎まれがちな存在かもしれないが、少しずつ、きっと、本当の自分でいられる居場所が見つかるだろう。
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その頃、ミチルは直子を庭に呼び出していた。最近の直子は、少し距離を置くような素振りを見せており、ミチルは直子の本音を聞く機会を作ろうと考えていた。
「直子、あの日のことで心配だったわね」
ミチルの問いかけに、直子は首を横に振った。
「いいえ、大丈夫です。本当に、受け止めた覚悟はできています」
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第7話: 共に歩む仲間
第8話: 偏見と寄り添い
第9話: 新たな旅立ち
第10話: 受け入れられる居場所
おわりに
このコンテンツは主にAIによって作成されました。
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作業データ
製作時期:2024年5月
文書作成ツール:Claude Sonet
画像作成ツール:DALL-E
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