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道徳感情論を読んで

アダム・スミスの道徳感情論。

彼もまたストア派の系譜のようだが、一見すると影も形もない。

徳への道、財産の道などの理論はアディアポラ、善悪無記から生まれた考えであることは予想できる。

決定的な違いは、人間が持つ弱さ(愚かさ)にも社会的な役割を見出している点だ。

社会における物理的な発展は虚栄心のような「弱さ」がなければ実現しえない。

とはいえ「弱さは賢明さの制御を受けなくてはならない」という。

300年前と違い、弱さによって便益品を消費するという役割が、一般層にまで求められるのが現代経済の特異性か。

結果、弱さを制御するはずの道徳観念が崩壊してしまうのは必然である。