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設計(者)プロポーザルをリ・デザインする#017:質疑回答をどう行うか

プロポーザルを公告した後、最初の大きなステップが質疑回答(質問回答)ではないでしょうか。公表した書類の記載内容を中心に提案を考える事業者が不明点を質問し、行政サイドは回答するものです。今回はこの質疑回答のあり方を考えます。

例によって最初に、私が望ましいと考えるポイントを示します。

  1. 質疑回答は必ずウェブで公開する(メールで個別、あるいは質問者全員に同報で通知しない)

  2. 見解をあらためる勇気をもち、あらためるべき点はあらためる(事業者サイドはより開かれた方向への改善を評価する)

  3. 質疑回答は必要に応じて常識的な範囲で再度の質疑回答を許容する

  4. 要項類に盛り込みきれないが、想定される質疑には事前回答を示す

これまでの経験から考える重要ポイントは、以上の4点です。

1.は言わずもがなな気がするのですが、意外にメールで回答するのみの自治体が見受けられます。質疑を出していなくても質疑回答を見守り、回答状況によっては提案をしようという事業者も必ずいます。また、そもそもいちいちメールで回答するのは行政サイドにおいては無駄な行政コストではないでしょうか。ちなみに事業者からメールする際はメール送信の確認電話を入れるように求める自治体は非常に多いですが、回答メールを送信後に電話を入れてくる自治体は見かけません。決してほめられてことではないですね(メールをしたら電話をすればいいということでもありません)。

2.は#012「行政の無謬性から脱却する」でも述べていますが、入念に準備していても提案者の観点からのご意見をいただいて気づくこともあります。場合によっては従来の見解をあらため、新たな考えを示すことが絶対に必要です。開かれたフェアなプロポーザルを行うこと、対等なマッチングを実現することにはこの振る舞いは欠かせません。

3.は実はあまり実例をみないのですが、神仏ではない私たちが一問一答で互いの考えや思いを理解しあうのは困難です。実際、回答が回答になっていないケースもありますし、その回答と対となる質疑を見返すと質問意図が不明確だったと気づくこともあります。質疑回答はお互いのコミュニケーションであり、対話です。対話は問いかけや受け答えを繰り返すことで続きます。一定の常識は必要ですが、せめてもう1往復程度のやり取りを大事にしませんか。

4.は実は取りんでいる自治体があります。たとえば中央区(東京都)では公告時によくある質問を公開しています。

日本橋中学校改築及び千代田公園整備工事設計業務委託公募型プロポーザルの公募要領の別紙3「よくある質問」の一部

これは素晴らしい工夫ですね。もちろん要項類で説明を尽くせればいいのですが、実際そうとばかりもいきません。また人はときに問答形式のほうが理解しやすくもあります。中央区の取り組みは大いに参考にしたいですね。
中央区 - 日本橋中学校改築及び千代田公園整備工事設計業務委託公募型プロポーザル

繰り返しますが、質疑回答はコミュニケーションであり、コミュニケーションとは対話です。よいプロポーザルを実現するのであれば、コミュニケーションにはコストをかけていきましょう。

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