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【Revit】階段の作り方 -階段経路ファミリパラメータ編-

今回はサブ要素の1つである階段経路ファミリのパラメータについて解説します。階段同様、階段経路もシステムファミリとして、あらかじめ多数の組み込みパラメータが用意されています。

今回は階段経路のインスタンスパラメータ、階段経路のタイプパラメータを深掘りします。




階段経路のインスタンスパラメータ

※踏み面描画時にインスタンスパラメータにアクセスするには、[プロパティパレット] > [プロパティフィルタ]から[新しい階段: 階段経路]を選択します。

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[拘束]パラメータグループ

今回は以下の4つを解説します。

  1. 配置基準 

  2. 相対下部高さ 

  3. 相対上部高さ

  4. 階段経路の高さ

⒈配置基準 
●パラメータタイプ
ドロップダウン リスト

●Revit内での表示
「階段のジオメトリを基準とする、スケッチしたレイアウト線の位置です。モデル内の他の要素を基準として階段ジオメトリをレイアウトする場合は、配置基準線が役立ちます。階段経路の左、右、または中央に配置基準線を設定します。」

選択肢は「側桁: 左」「経路: 左」「経路: 中心」「経路: 右」「側桁: 左」の5つであり、それぞれの結果は以下の図のようになります(経路: 右、側桁: 右は割愛)。デフォルトでは中心になっていますが、壁などの要素に沿って階段を作成する際は他の方法を選ぶと便利です。

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⒉相対下部高さ
●パラメータタイプ
長さ

●Revit内での表示
「階段下部の高さを基準とした、階段経路の下部高さです。階段経路を微調整するには高さ調整を使用します。」

このパラメータに数値を入力することで、蹴上げの開始位置を変更することができます。入力した数値は自動で[現在の蹴上寸法]の倍数に変換されます。(例 650→695.7 など)

また、このパラメータは階段経路のドラッグコントロールを直接操作することでも変更可能です。値が変更された場合、それに伴い蹴上数も連動して変更されます。

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⒊相対上部高さ 
●パラメータタイプ
長さ

●Revit内での表示
「階段下部の高さを基準とした、階段経路の上部高さです。階段経路を微調整するには高さ調整を使用します。」

前項の相対下部高さと同様のパラメータで、蹴上の終了位置を変更することができます。

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⒋階段経路の高さ 
●パラメータタイプ
長さ

●Revit内での表示
「階段経路の全体の高さです。(読み取り専用)」

●計算式 [階段経路の高さ] = [相対上部高さ] - [相対下部高さ]

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[構成]パラメータグループ

今回は以下の3つを解説します。

  1. 蹴上げの基準より下に延長

  2. 蹴上げを付けて開始

  3. 蹴上げで終了

⒈蹴上げの基準より下に延長 
●パラメータタイプ
長さ

●Revit内での表示 「階段経路の一番低い蹴上げを階段下部より下に延長する距離を指定します。基準レベルより下に延長するには、負の数値を使用します。」

0で下部高さに位置合わせされており、マイナスの数値を入力することにより階段下部の形状を延長することが可能です。

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⒉蹴上げを付けて開始
 ●パラメータタイプ
はい/いいえ

●Revit内での表示 「階段経路の最初の踏み面を基準レベルに配置するには、このオプションをオフにします。切り込み接合を使用するには、階段経路を踏み面から開始する必要があります。」

1段目の踏み面位置を下部高さと一致させる場合にチェックをオフにします。その場合、現在の蹴上げ数≠実際の踏み面数となり、階段経路の高さも1段分少ない数値になります。
(※図は非一体型の階段経路です)


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⒊蹴上げで終了 
●パラメータタイプ
はい/いいえ

●Revit内での表示
「階段経路の最後の踏み面を上部レベルに配置するには、このオプションをオフにします。切り込み接合を使用するには、階段経路を踏み面で終了する必要があります。」

階段の上部形状に蹴上げを追加する際に使用します。チェックをオンにすると蹴上げのみ追加され、現在の蹴上数と階段経路の高さが1段分追加されます。高さを調整する場合は[相対上部高さ]かドラッグコントロールを使用します。

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[寸法]パラメータグループ

今回は「実際の経路幅」のみ解説します。
「現在の蹴上寸法」、「現在の踏面奥行」に関しては以下の記事をご覧ください。

実際の経路幅
●パラメータタイプ
長さ

●Revit内での表示
「支持要素の内側まで計測された踏み板の幅です。幅の値が[最小階段経路幅]を下回った場合には警告が表示されます。」

階段の幅は階段経路ファミリのインスタンスパラメータからのみ変更可能です。プロパティパレットの他、作成時はオプションバーからも値を変更することができます。


階段経路のタイプパラメータ

[構成]パラメータグループ

今回は以下の2つを解説します。

  1. 下側のサーフェス

  2. 構造の奥行 

⒈下側のサーフェス

 ●パラメータタイプ
ドロップダウン リスト

●Revit内での表示
「階段経路の下面の作成方法を定義します。フラットなサーフェスまたは段状のサーフェスを選択します。段状のサーフェスでは、階段の下面が、踏み面の段と一致するように形成されます。」

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⒉構造の奥行 

●パラメータタイプ
長さ

●Revit内での表示
「階段の踏み面または蹴上げと、階段経路の下面との奥行きの最小値です。下面がフラットである場合、奥行きは踏み面および蹴上げが交わる点で取得されます。下面が段状である場合、奥行きは踏み面と蹴上げの両方で設定されます。」

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[踏み面]パラメータグループ

今回は以下の6つを解説します。

  1. 踏み面

  2. 踏み板の厚さ

  3. 踏み板のプロファイル

  4. 段鼻の長さ

  5. 段鼻プロファイル

  6. 段鼻プロファイルを適用

⒈踏み面
●パラメータタイプ
はい/いいえ

●Revit内での表示
「階段経路に踏み面要素を含めます。」

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⒉踏み板の厚さ 
●パラメータタイプ
長さ

●Revit内での表示
「踏み板の厚さを指定します。」

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⒊ 踏み板のプロファイル
 ●パラメータタイプ
ドロップダウン リスト

●Revit内での表示
「踏み面を表現するために、断面図ビューに表示される形状です。既定のプロファイルでは、四角形が表示されます。別の形状を表示するには、カスタム プロファイルを指定します。」

このリストはプロファイルファミリから取得されていますが、単にプロファイルであれば何でもいいというわけではなく、プロファイルの用途が[階段の踏み面]で作成されている必要があります。

プロジェクト側で識別する方法はほぼないので、カスタムプロファイルを作成する場合はファミリ名やパラメータでわかるようにしておくとよいでしょう。

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⒋段鼻の長さ 

●パラメータタイプ
長さ

●Revit内での表示
「踏み面の段鼻の、蹴上げより先まで延びている部分の長さです。」

段鼻長さを追加した場合、階段の基準位置は蹴込みからではなく段鼻の先端からとなります。

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⒌段鼻プロファイル
●パラメータタイプ
ドロップダウン リスト

●Revit内での表示
「段鼻を表現するために、断面図ビューに表示される形状です。」

踏み面と同様、プロファイルを選択することができます。こちらはプロファイルの用途として[段鼻]に指定されているものがリストに含まれます。

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⒍段鼻プロファイルを適用 

●パラメータタイプ
ドロップダウン リスト

●Revit内での表示
「段鼻プロファイルが適用される踏み面の側面です。」

段鼻プロファイルを既定値以外にした場合に選択可能なオプションです。プロファイルを踏み板のエッジに沿ってスイープするときの範囲を「正面のみ」「正面と左」「正面と右」「正面、左と右」から選択します。


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[蹴上げ]パラメータグループ

今回は以下の5つを解説します。

  1. 蹴上げ

  2. 斜め

  3. 蹴込み板厚

  4. 蹴込みプロファイル

  5. 蹴込み板と踏み板の取り合い

⒈蹴上げ
 ●パラメータタイプ
はい/いいえ

●Revit内での表示
「階段経路に蹴上げ要素を含めます。」

段鼻同様、蹴上げの面が階段の基準位置となります。

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⒉斜め
 ●パラメータタイプ
はい/いいえ

●Revit内での表示
「蹴上げを段鼻に対して傾斜させます。このパラメータは、一体型の経路タイプを使用するときに、その段鼻の長さが0より大きい場合にのみ適用されます。」

段鼻の値によって、斜めの角度が変化します。

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⒊蹴込み板厚

 ●パラメータタイプ
長さ

●Revit内での表示
「階段経路内の蹴込み板の厚さを指定します。」

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⒋蹴込みプロファイル

●パラメータタイプ
ドロップダウン リスト

●Revit内での表示
「蹴上げを表現するために、断面図ビューに表示される形状です。既定のプロファイルでは、四角形が表示されます。別の形状を表示するには、カスタム プロファイルを指定します。」

踏み面のときと同様、カスタムプロファイルへの変更が可能です。
ファミリ編集でのプロファイルの用途は[階段の蹴上げ]を指定します。

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⒌蹴込み板と踏み板の取り合い 

●パラメータタイプ
ドロップダウン リスト

●Revit内での表示
「蹴込み板と踏み板の結合方法を指定します。次のオプションを選択します。1 - 蹴込み板を踏み板下まで延長 2 - 踏み板を蹴込み板下まで延長 3 - すべての蹴込み板と踏み面を結合」

それぞれの勝ち負け、および結合の指定ができます。
○○を××まで延長 = ○○勝ち となります。



まとめ

階段経路でもこれだけのパラメータがあります。各項目の意味を正しく理解した上で操作することで、より精度の高い階段を作成することが可能となります。

覚えることが多く大変ですが、まずはさわってみるのがよいでしょう。

尚、階段の作り方の概要は以下の記事よりお読みいただけます。


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