元新聞記者の備忘録

「世の中のことをもっと知りたいなー」。そんな方向けに。 元日経新聞記者。 流行りの社会問題を中心に事件、行政、企業、教育、医療など幅広く記事を書いてきました。 ジャンルを問わず様々なテーマを解説します。皆さんの仕事や雑学、教養の一助になれば幸いです。

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最近の記事

復活当選は”悪しき制度”か

与党の過半数割れとなった衆議院選挙。今回の総選挙では、小選挙区と比例代表での重複立候補をしないと宣言する候補者が相次ぎました。たびたび批判される「復活当選」に対するアピールとみられますが、比例復活は悪しき制度なのでしょうか。 衆議院選挙、いわゆる「総選挙」では「小選挙区比例代表並立制」が採用されています。有権者は投票所で①小選挙区の候補者の名前(小選挙区)②支持する政党の名前(比例代表)ーーを記入します。 2つの選挙方式が同時採用されている形で、①で候補者自身が選挙区で当

    • 【第5回】「労働党の公約② 新政権が目指すもの」

      今回も引き続き公約を取り上げます。労働党の伝統とも言える環境政策では、太陽光や風力、水素といった再生可能エネルギーを使う公営電力会社の設立を掲げています。 日本の左派政党と異なる点は、原子力発電の稼働も明言していることです。労働党は公約の中で、保守党政権が原発の新設を怠ったと批判さえしています。 ロシアのウクライナ侵攻以降、英国をはじめロシアから資源を調達していた欧州諸国は電気・ガス料金の高騰に悩まされています。英国やEU(欧州連合)環境面だけでなく、安全保障の観点からも

      • 【第4回】「労働党の公約① 新政権が目指すもの」

        14年ぶりに政権に就くことになった労働党とはどんな政党でしょうか。具体的に何が変わるのでしょうか。党が掲げる公約に沿って紐解いていきます。 英国公共放送BBCによると、労働党は、社会主義者やマルクス主義者、労働組合員などの連合が発展し1900年に労働代表委員会(LRC)として生まれた組織と定義されます。労働者階級の利益を代表し、人権や環境保護、国際社会重視する政策を掲げ、日本では「左派」「革新」などとして扱われます。 同党はこれまでの政権運営時の功績として国民保険サービス

        • 【第3回】「英国総選挙とは③ 二大政党政治」

          英国では長らく二大政党政治と呼ばれる構図が続いています。今回政権を獲得した労働党と保守党です。英メディアではそれぞれ Labor、Conservativeとして扱われます。保守党は Toryとも呼ばれます。 伝統的に労働党は政府歳出を増やし、社会保障政策や環境政策を重視し、その原資を賄うために企業や市民、富裕層の税負担を重くする傾向にあります。主に低所得の労働者のほか、都市部や若年層に支持されています。党のカラーは「赤」です。 一方、保守党は歳出を減らし税の負担を軽くする

          【第2回】「英国総選挙とは② 英国議会と選挙制度」

          英国の国会は下院(庶民院・House of Commons)と上院(貴族院・House of Lords)から成り、今回開かれた総選挙とは下院での選挙を指します。下院で最も多くの議席を占める第1党の党首が、国王から首相に任命されます。 今回の総選挙では、労働党が過半数の議席を獲得し、党首のキア・スターマー氏が新たな首相となりました。 上院は貴族や聖職者が任命されて国会議員となるため、一般的な選挙はありません。公選によって選ばれることから、国民の意思をより反映していると言え

          【第2回】「英国総選挙とは② 英国議会と選挙制度」

          【第1回】「英国総選挙とは① 政権交代はなぜ起きたか」

          英国で7月4日、総選挙が開かれ14年ぶりの政権交代が実現しました。下院定数650議席のうち、野党であった労働党が412議席を獲得する歴史的な大勝となりました。英国の政治制度は二院制の議院内閣制の代表例としてたびたび社会科の教科書にも登場しますが、日本での総選挙への注目度はそれほど高くないのが実情です。どんな人物が英国のリーダーとなり、労働党政権が何を目指すのか? そして、政権交代の裏側で起きていることなどについて解説します。初回は「英国の総選挙」です。 政権交代はなぜ起きた

          【第1回】「英国総選挙とは① 政権交代はなぜ起きたか」

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          当ページをご覧いただきありがとうございます。当コラムでは元新聞記者の筆者が時事問題からスポーツや芸術、雑学まで幅広いテーマを取り扱います。 インターネットやスマートフォンの普及とともに誰でも手軽に情報を得たり調べたりすることができるようになりました。一方で、真偽不明の記事や、伝わりにくい表現も散見されます。 私自身、新聞記者やリサーチャーをしている頃、下調べのためにネット検索をよく使いましたが、信頼性の担保された情報を探すのはなかなかの手間でした。生成AIで得られる検索結

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