ミナシゴノシゴトの仕事│⑪ジャンヌ・デッドキングメイソン
▶ジャンヌはミナシゴの始祖
ここまで主人公の位置づけについても触れたが、同時にメインヒロインのジャンヌにも触れていく。
裏話としては、ジャンヌはもともと金髪のツインテールキャラで、実はアリスと見た目が真逆だった。
しかしメインの中のメインとして、黒騎士とのストーリーを展開すること、また何より、作品のアイコンとしての役割から薄幸の美少女というイメージや、白銀色の長い髪の毛のほうが目を引くと判断して原型が出来ていった。
また冬にリリースする予定があり、「抱きしめたらあたたかそう・ふわふわしてそうな恰好や雰囲気」という指示書を作った。
結果、毛皮のコートを着たふわふわした感じの美少女に仕上がったと思うが、どちらかというとその下がすごい恰好をしている点で、本作の美少女キャラとして象徴的だと思う。(ブラウザ版のみ)
ジャンヌはすべてのミナシゴの中で最初期に生まれたキャラクターで、前回語った通り、「何故ミナシゴは主人公を愛するのか」というはじめの疑問を解消する役割も担っている。
その結果、作中に登場するあらゆるミナシゴのバックボーンの基礎や方向性を作った一人だ。
もちろんこれは似たようなパターンでキャラのストーリーを作っているという意味ではなく、ユーザーの皆様の中にある、この世界への疑問を取っ払ってもらう「入口」という意味合いが強い。
▶「ゆ」という喋り方
これはキャラの口癖として設定したが、思いの外好評でビックリした。
辿ると、手塚治虫先生の「ブラックジャック」のピノコというキャラのしゃべり方に近いが、実際はネット上でこの口語を使う一般女性のコラムをたまたま見かけて、「ずいぶん無理のある喋り方だな」と引っかかったのが理由だ。
ここにアテンションを感じ、「~ゆ」という喋り方にした。
もちろんかわいいのも理由だ。
改めてCVの歩サラさんは素晴らしい仕事をしていただいたと思う。さぞかし大変だったかもしれない。感謝です。
ただこの設定を入れるからには同時にその理由も考えていた。実は岡田が設置する前に、S氏が設置してくれて現在の設定になった。
彼女は母親の処刑で、母の舌に関する凄惨なトラウマを抱えた、というものだ。なので岡田が考えた設定はお蔵入りになった。
また「なにゆってんだおめー」という作中の彼女のセリフが好評で、初のグッズ化のTシャツまでになった。
これはそんなに深く考えて設置した訳ではないが、詰まるところネプチューンというキャラクターを活かすためにジャンヌにツッコミをさせた時に生まれた偶然の産物だ。
実はドラコとの関連性を示唆する伏線の役割もあり、ドラコも言う予定だったがそこはボツになった。
前者のジャンヌにおいても添削のやりとりで消されると思ったが、何故か生き残り、現在のように皆様の下に届いたという不思議な経緯がある。
しかしこのセリフが、リリース後の彼女のキャラクターに大きく影響を与えた。
▶薄幸の美少女からの変化
ジャンヌは当初、「盲目的にパパを慕う薄幸の美少女で、世界最強の魔力の持主」というキャラとして構築していった。
また同時に、パパへの疑いから、彼女の世界は壊れ、物語の中枢に関わる新たな展開を見せる。
その中で様々な変化や異変もあるが、ジャンヌとアリスは特に、筆者として意図しない、独自の成長を見せたキャラでもある。
これはもちろん、ライターチームの手腕の賜物でもあるが、この仕事をしている上でよくある「キャラの一人歩き」だと思っている。
最新のジャンヌにはパパだけに見せる「あざとさ」が加わり、より面白い話を展開している。
この辺りは全く意図してなかったが、上記のなにゆってんだおめー事件から枝分かれしていくように、彼女の新たな一面がにょきっと生えて、そこを数々のパパに、大切に育てて頂いたような感覚を覚えた。
つづく