まいにち楽しい岡田伸一

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ミナシゴノシゴトの仕事│⑪ジャンヌ・デッドキングメイソン

▶ジャンヌはミナシゴの始祖 ここまで主人公の位置づけについても触れたが、同時にメインヒロインのジャンヌにも触れていく。 裏話としては、ジャンヌはもともと金髪のツインテールキャラで、実はアリスと見た目が真逆だった。 しかしメインの中のメインとして、黒騎士とのストーリーを展開すること、また何より、作品のアイコンとしての役割から薄幸の美少女というイメージや、白銀色の長い髪の毛のほうが目を引くと判断して原型が出来ていった。 また冬にリリースする予定があり、「抱きしめたらあたた

    • ミナシゴノシゴトの仕事│⑩ミナシゴが黒騎士を愛する理由

      ▶欠点のある最強 中間管理職として設定した主人公。しかしこれは後に軌道修正し、結果として会長扱いという、最強の存在とした。 中間管理職にしようとしたのは、「体裁」が理由だ。 上にも下にも、また横にも敵やライバルがいるなか、ミナシゴを守る葛藤や成長、変化を描こうとした。 しかしゲームシナリオという分野においては、この葛藤や成長、変化、特に体裁や制限は大きな弊害になると考えた。 僕個人の癖として、「何か制限・不自由のある主人公の成長を描きたい」というものがあった。これは

      • ミナシゴノシゴト│⑨戦史

        ▶戦争の擬人化 ミナシゴというワードを設置する時点で「戦争の擬人化」というネタも決まっていた。 ここも以前、メディア誌の取材で答えたが、僕はDMMゲームスの「御城プロジェクト」が好きで以前プレイしていた。 これは日本や世界に実際に存在するお城を擬人化したゲームだ。 ソーシャルゲームではよくある、「〇〇の擬人化」だ。 これは個人的に良い文化だと思う。 魅力的なキャラクターを得るのと同時に、史実のお城やその歴史を知るきっかけとなり、ユーザーの知識に繋がるからだ。そこか

        • ミナシゴノシゴトの仕事│⑧善悪

          ▶ミナシゴというワード ミナシゴというモチーフを使用することは早い段階で決まっていた。 理由は妄想の件から繋がって「人道支援」というコンセプトにも関わる。 これはユーザーの皆様に、「疑似的な善行をして、その欲求を満たしてほしい」という出発点からだった。 難しく言ってるが、「ファンタジー作品の中で悪い魔王を倒す勇者になって楽しんでほしい」というものと何ら変わらない。 またこの点、「設定上の義理の娘と恋仲になる」という現実世界では物議を醸しだす設定を通らければいけない。

          ミナシゴノシゴトの仕事│⑦ミナシゴがおかえりと言う理由

          ▶妄想を具現化する そもそもミナシゴというモチーフをチョイスしたのは、以前メディアでも記事にしてもらった通り、僕が長年抱いてきた妄想に起因する。 僕は神秘の世界エルハザード世代で、「異世界転移」という、現在ではメジャーになったジャンルを初めて認識した作品はエルハザードだった。 他にも、あかほりさとる先生の作品や久美沙織先生のドラゴンクエストの小説が大好きで、中学生の時に読みまくった。 広義のファンタジー作品に関わる上では上記の作品は少なからず影響を受けていると思う。

          ミナシゴノシゴトの仕事│⑦ミナシゴがおかえりと言う理由

          ミナシゴノシゴトの仕事│⑥感動の再現

          ▶ミナシゴの制作│気持ちよくなってもらう ミナシゴノシゴトの世界観を構築するお話に戻ろう。 楽しくやってきたとはいえ、制作初期から、いくつもの悩みにぶち当たった。 悩みとは大抵『課題』だ。 初期のほうにある、覚えている課題の一つは、「どういう感覚をユーザーの皆様に届けるか」だった。この感覚とは喜怒哀楽の感動・感情だ。 当然ターゲットは早くに把握する。第一のターゲットは自分と同じ成人男性となる。そういった層にどういう感覚をお届けるするか。 本作は美少女が活躍するゲー

          ミナシゴノシゴトの仕事│⑥感動の再現

          ミナシゴノシゴトの仕事│⑤お仕事開始

          ▶ミナシゴノシゴトの開始 話は戻り、ミナシゴノシゴトの企画が通り、さあ仕事の開始だ! という出発からすべてが目まぐるしく動いた。 結果として思うのは、マネージメント、ライターチーム、イラストチーム、音楽制作、声優さん、また面白いゲーム性をはじめ、関わってくれている全ての方が、本当に素晴らしい仕事をして頂いていること。 当然ながら一人で作ってる訳ではない。 多くの方にご尽力頂き、この僕もあくまで原作者というシゴト(役割)であり、皆さまのご寵愛とご尽力の上で今日のミナシゴ

          ミナシゴノシゴトの仕事│⑤お仕事開始

          ミナシゴノシゴトの仕事│④役割の明確化

          ▶出版物の編集 話を若干戻して、僕は漫画、ゲームそれぞれの原作者を経験してきた。 小説や漫画の世界では、基本的に著作物の変更は逐一連絡が来る。 作家本人が添削する場合もあれば編集者が断りを入れてから添削する場合もある。 この辺りはもちろん作業工程による。初稿から赤入れなど、いくつかやりとりする間、はじめは丁寧だが、〆切間近はさっと編集者が手を加えて良くて事後報告などままある。 また作家のキャリアと、編集部の方針、特に編集者の方針によって幅もある。 とにかく書いてる

          ミナシゴノシゴトの仕事│④役割の明確化

          ミナシゴノシゴトの仕事│③炎上と悪い炎上

          ▶炎上と悪い炎上 本題からは全力で反れるし、やや規模が広がるが、ネットの、商業における炎上には2種類あると思う。 解決できる炎上と、マイナスに働く炎上だ。 この境目は何か、クリエイターとして知っておく必要がある。 解決できる炎上は、事後も同じ業界で同じ名義で仕事が続けられる人のことを言う。むしろ商業ではここを『バズり』として狙っている人も多いかもしれない。 マイナスの炎上は、少なくても同じ名前で同じ業界では仕事が続けられなくなるケース。 もちろん、作品表現上の炎上

          ミナシゴノシゴトの仕事│③炎上と悪い炎上

          ミナシゴノシゴトの仕事│②失敗談

          ▶美少女ゲームのお仕事 話が少し変わるけれど、実は20代後半の時にも美少女ゲームのシナリオに関わっていた。 まだ書籍化デビューする直前の26歳くらいの時で、携帯小説で書いていた「奴隷区」という作品を読んだある会社から、スマホの美少女ゲームのシナリオを依頼された。 「何で奴隷区書いてる人間に、美少女ゲームを……?」とは思ったけど楽しそうなので受けた。 ちなみにどちらかというと、デビュー後よりネットで活動していた時のほうが大小いろんな案件の話がよく来ていた。 奴隷区とい

          ミナシゴノシゴトの仕事│②失敗談

          ミナシゴノシゴトの仕事

          ▶企画発足 ミナシゴ企画発足のお題は「ダークファンタジー」だけだった。 「ダーク↑、ダークかー↓……」と無い頭ひねったんだけど、先ずは業界の方にヒアリングして、いくつかDMMのソーシャルゲームについて下調べをした。 売れてるものはすぐにわかるので、どちらかというとダークというパッケージに沿った作品の中でも、残念ながらサービス終了になったゲームもいくつか可能な限り確認した。 詳しいいきさつは省くけど、そこから得たのは、 「暗いだけじゃなく、明るいものがある」 という雰

          ミナシゴノシゴトの仕事