エリアマネジメントの場をどのように開いていくのか (新刊「エリアマネジメント・ケースメソッド」福岡(Case2)と宇部(Case6)のケースから)
今日はわたしが担当した福岡市(Case2:天神明治通り街づくり協議会)と宇部市(Case6:若者クリエイティブコンテナ)のケースに注目します。
特に今回は本編では詳しく触れることができなかった、エリアマネジメントを進めるための場をどのように開いていくのか、という観点で少しだけ思うところを綴ってみたいと思います。
福岡市と宇部市では都市の人口では10倍以上の差があります。
しかしながら、基本的な方法論(メソッド)には違いはないのではないのではと考えています。
それはこれまで東京(池袋)と広島という大きく規模の異なる2つの都市でエリアマネジメントの初動期に実務者として携わらせていただいた経験からも感じているところです。
特にエリアマネジメントの初動期においては、人数を最小限に絞ったクローズな場から始め、徐々に、そして慎重に、開かれた場にしていくことが非常に重要ではないかと考えています。
それは、その後の活動の軸となるプレイヤーを育てていくこと、そしてその最初単位のひとびとで何でも話しができる関係性を形づくっていくこと最も重要であるからです。「心理的安全性」といったワードもよく聞かれますが、それに少し近いのかもしれません。
それが、福岡の場合は、天神明治通り街づくり協議会が設立に先立って動き出した、西日本鉄道、九州電力、福岡銀行の3社で集まりであり、宇部の場合は、宋さんのパパ友、江本さんとの出会いであったのではないでしょうか。
写真:若者クリエイティブでのDIYワークショップのフライヤー
さらに、そこから少しずつ、周りのステイクホルダーも含めての場を開いていくわけです。
宇部の場合は、DIYワークショップや盆踊りなどのイベント通じて「関わりしろ」をつくり、その運営などに参画してもらいながら、地域のプレイヤーを育て、輪を広げていきました。
福岡ではフォーラムや勉強会を行い、ビジネスパーソン同士の学びを深める中で、各社、そして各担当者にとってエリアマネジメントというテーマを自分事にしていきました。
まちづくりやエリアマネジメントはすべてがオーダーメイドであって、ただ単に他の地域の真似ごとをしても決して成功しません。
しかし、それぞれのケースをしっかりと後追いしながら、丁寧にたどっていく(追体験する)ことで、具体的なアクションやそのスケールは全然違ったとしても、底を流れている大きなメソッドを体得することはできるのではないかと思います。
写真:天神明治通り街づくり協議会での街づくりフォーラムの様子
この考え方こそが、まさにMBA(経営大学院)が採用しているケースメソッドではないかということで、今回の出版にあたっても、ケースメソッドの考え方を採り入れた内容にしようということになりました。
各ケースの中にできるだけ詳しいデータを盛り込むことや、ひとのココロの動きまでも読み取ることができるようテキストを練り上げ、それぞれのケースについて読者の方々に思考を巡らせていただくための課題を設定しています。
本書では15のケースを追体験できますが、この考え方を他の書籍を読むときにも応用することで、これから実務に携わる皆さんや、学習者のみなさんに、たくさんの事例を仮想体験しながら、エリアマネジメントについての学びを深めて欲しいと願っています。
5月14日(金)発刊予定 (予約受付中)
エリアマネジメント・ケースメソッド:官民連携による地域経営の教科書
https://amzn.to/3g7igpM
(文章:山中佑太)
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