がばっと開いてヒョイッ ~フルオープンコインケース~
コンビニでも自動販売機でも、駅の改札を通るときも、スマホでピッ。電子マネーが普及した昨今、現金払いをする機会はめっきり減った。しかし、近い将来完全なキャッシュレス社会になるのかといえば、それは違うと思う。もともと高額品はカード払いが主流だし、安全面を考慮すると大金は持ち歩きたくないものだが、小銭の出番がなくなることはないからだ。
4月の京都旅行を思い返してみる。寺社仏閣の拝観料は現金でしか払えないし、お参りにはお賽銭が必要。おみくじを引くにも千円札をくずさなくてはならず、思いのほかたくさんの小銭を使った。
また、ヨーロッパを旅行した際には、公共の場でトイレを使うのに25~50セントのコインが必要だった。(ちなみに、冒頭の写真はイタリア北部のポルト・ヴェーネレという町の、大聖堂のトイレ入り口。なんと屋外地下にあり、その日は雨。床もびちゃびちゃでヒドイ状態だったけれど、それでも50セント徴収された。)欧米は日本よりキャッシュレス化が進んでいるというけれど、小銭がなくては用も足せない社会なのだ。
つまり、どこにいようがコインの需要はある。だから私は、お札やカードを入れるメインの財布とは別にコインケースを持ち歩いている。
私が愛用しているコインケースは、アニエス・ベーというブランドのフルオープンタイプだ。開閉口がスナップ式で、開けると底辺8×8cm、高さ3cmほどのフチが付いた四角いトレイのような形になる。このタイプのコインケースのメリットは、なんといっても「取り出し易さ」。がばっと大きく開くので何円玉が何枚ぐらい入っているのかが一目でわかり、手早く目的のコインをヒョイヒョイつまみとれる。よくレジの前で、財布からジャラジャラと小銭を手のひらに広げて、ちまちまとつまんでいる人を見かけるが、アレをやる手間が省ける。また、飽きのこない色であること、素材が革であることも、長く使い続けられるポイントだ。一度合皮のモノを使ってみたが、やはり本革が良い。経年劣化ではなく経年変化が楽しめるマテリアルだから。最初は明るい赤だった私のアニエス・ベーも、使っていくうちに落ち着きのある臙脂色に変わり、柔らかくなり、しっくり手に馴染むようになった。
とはいえ、かれこれ使用歴20年。内側の布が剥がれてきたので、二代目の購入を検討している。もちろん、フルオープンで革製のものを。このこだわりは譲れない。