始まる世界(多田家編)
前回の続き
誕生した世界に現れたのは白い光の球体と黒い光の球体だった。
黒い光の球体と白い光の球体は、逃げては追って追っては逃げてとまるでじゃれ合うかの様にその世界の中を飛び回っていた。
そして、2つの光の動きが止まると先に動いたのは黒い光の球体で黒い光の球体が強い光を放ちながら何かに姿を変えて行く。
その姿は、時間を追う毎にどんどんその大きさを増して行く。
そして、ある大きさに到達すると黒い光は、弾け飛び、そこに現れたのは巨大な大地だった。
しかし、その大地には何も無かった。
次に白い光の球体がその大地に向かって飛んで行き、白い光の球体がその大地の中に溶け込む様にして入る。
そして、しばらくすると白い光の球体が入った場所から緑色が広がり始める。
その緑色の中心に1つの生命(いのち)が芽生える。
その生命(いのち)は、育って行く。
人知れず、刻知れず、育って行く。
風に揺られ、雨に打たれ、陽を浴び、月の光に照らされ、根も葉も茎も育って行く。
軈て大地全ては、緑色に染まり、芽生えた生命(いのち)は、木となり、樹木となり、そして、長い年月をかけてその生命(いのち)は、1本の巨大な大樹となりてこの世界に聳え立つ。
こうしてこの世界にユグドラシルの姿をした生命の樹(セフィトロの樹)が誕生するのであった。
誕生して間もなくしてとある月満ちる夜を迎えた生命の樹は、風吹かぬ夜に黒い光を放ち始める。
そう、何かをここへ誘うかの様に…。
そして、その刻は、やって来る!
生命の樹の根元の近くに黒紫色の魔法陣が現れる。
その魔法陣の中央には北斗7星が描かれ、それを取り囲む様に13個の星を象った物が描かれ、北斗7星の背後には光と闇の紋章が描かれてあった。
その魔法陣から何かが飛び出て来ると魔法陣は、消滅し、飛び出て来た奴は、満月を背後に漆黒の大翼を雄々しく広げる。
やっと繋がったな。
そう言うとそいつは、翼をゆっくり羽ばたかせながら生命の樹の前に降り立ち、翼を消す。
ようやく動き出した世界、この波に乗らない奴はいないよな。
その人は、生命の樹に向かって両手の平を翳すと右手の甲に源罪の叡智(ちから)の印(しるし)と左手の甲に自然の叡智の印を出現させる。
さぁ、行こうぜ、みんな!
その声と同時に右手が黒紫色の光に包まれ、左手が白金色の光に包まれるとその2つの光を生命の樹へと贈る。
2つの光が生命の樹の中に入ると生命の樹と大地全体が白く光り始める。
そして、生命の樹を中心に巨大なヘキサグラムが描かれ、6つある角には多田家、真田家、蒼木家、竜崎家、柳生家、そして、アーカイル家の家紋が描かれ、線と線の間にはアーカイル語が書かれた白金色の魔法陣が展開される。
その魔法陣の中から6つの黒い光の球体が飛び出して来るとその人の後ろにゆっくりと舞い降り、人間(ひと)の形に変わって行く。
そして、黒い光がゆっくり消えて行くと光の中から私服姿の6人の男性が現れる。
ふふ、ここで登場するのは初めてかな
拙者が出ても良かったんだろうか
たまには良いんじゃねぇか。道久さんも立派な頭主なわけだし
まさか、俺がこう言う所に出ることになるとはな
良いじゃないか、和真。忖度なしの1本勝負。まぁ、完全1次創作と言ってもD.Nが作って来たキャラとかが出て来る話なんだけどな
所で…わかってるよね?
ああ、みんなにはこの世界でそれぞれの島を開拓して欲しい
うむ。では、早速始めようとしよう
まず、1人の男性が真紅色のカプセル剤を取り出し、それを口の中に放り込む。
そして、それを飲み込むとその数分後、その人の全身に黒い模様が現れ、眼が黒くなり、瞳が赤く染まる。
はぁ…はぁ!
その掛け声と同時に右手に拳を作り、その拳で地面を思いっきり殴るとその人を中心に黒色の魔法陣が出現する。
そして、その魔法陣から黒い無数の手が現れ、その人を包み込んで行く。
それを見ていた他の人達は、ただただ見守っているだけだった。
しばらくすると包み込まれた手の僅かな隙間から真紅色の光が溢れ始める。
そして、その溢れ出る光を抑えきれなくなった黒い無数の手は、その光に吹き飛ばされると黒紅色の炎に包まれ、焼き尽くされるのだった。
そこに現れたのは禍々しい黒紅色の気迫と禍々しく狂気に満ち溢れた黒紅色の鎧を全身に纏った人物だった。
ふぅ…
あれが…智樹なのか…
ああ、あれが真の6代目闇の王の姿だ
名前は…アーク・ヴィラ・ザ・ラウド…第6代目闇の王のオルナタティブタイプとも呼ばれてる…
オルナタティブは、ラテン語では変わるを意味する
つまり、変革者をイメージしたって所だな。それにしても…見ているだけで凄い寒気がしやがる
智樹がみんなの方を振り向く。
格好良いぜ、師匠
ふふふ、そうであろう。だが、こんな悍ましい姿、彩華や子供達に見せられんさ
智樹、拙者がわかるか?
もちろんさ、道久
自我が闇より上回っているんだな
では、私は、行かせてもらうよ
智樹は、地面を蹴り、生命の樹から展開されている魔法陣のある場所に向かって飛んで行くとその場所にゆっくり降り立つ。
さてと…始めようか
智樹が降り立った場所は、多田家の家紋が映し出されている地面の上だった。
智樹は、右手の平を前に向けると黒紅色の魔法陣が展開される。
そして、左手に黒紅色の光を集めると1つの長大剣を召喚する。
それの持ち手を握ると剣身が黒紅色の光を纏う。
智樹は、その長大剣を左手で振り上げ、展開した魔法陣に突き刺す体制を取る。
ふっ!
そして、剣身が魔法陣の中に入ると魔法陣から7つの黒紅色の光の球体が飛び出し、何も無い空間に飛んで行く。
暫くその何も無い空間を彷徨うと光達は、ある場所に向かって飛んで行き、到着するとその場所で待機する。
解放する!
智樹は、魔法陣に突き刺した剣を鍵で錠を開ける様に右に捻ると黒紅色の光の球体達から無数の黒紅色の線が飛び出し、他の光から飛び出した線と繋がり、点となり、その点に他の線が繋がる。
やがて、その線達が全て点で繋がると島を創り出して行く。
島が完成すると長大剣は、消滅し、智樹は、魔法陣の中に入り、その島に向かって飛んで行くのだった。