生徒会の一族第5話「歪邪心空間」
生徒会の一族、前回までのあらすじ…。
通学路を歩いていた薩真は、これまで自分の身の回りで起こった出来事を思い出していた所に親友の賀雄がやって来ると賀雄に並行世界って、存在すると思う?と質問を投げかける。
薩真「なんで、あんなこと聞いたんだろう…」
賀雄は、あったら行ってみたいよなと笑い返した所に生徒会長の真江がやって来る。そして、2人の課題としていた生徒会の黙示録について聞くも賀雄は、わかんないッピ♪と言い放つと真江の回し蹴りを喰らうのだった。
賀雄「良い回し蹴りだったなぁ〜あの回し蹴りでどれだけの男を蹴って来たんだろうな」
薩真「親衛隊がいるぐらいだから相当な数の男を踏み台にして来たんだろう」
真江「あら、ここに頭蓋骨が粉々になるぐらい踏まれたいですーと言う人が2人いるみたいね〜」
薩真・賀雄『ひぃー顔が笑ってない』
回し蹴りを喰らった賀雄は、身体を回転させながら正門を通過し、今度は、側にいた薩真に問いただすも薩真は、拒む様子を見せる。
その様子が気に入らない真江は、薩真にはっきりしなさいと喝を入れる。そして、薩真が真江にあることを言い放った瞬間、真江の顔が真っ赤になり、薩真の腹部に蹴りを入れると薩真は、正門の支柱に叩き付けられるのだった。
薩真「言えって、言われたから言ったのに蹴られるとか理不尽過ぎ…」
真江「あんたが悪いんでしょうが」
事情を知り、後から来た葵によって救出された2人は、葵から真江の過去の話を聞かされる。そこで聞かされたのは大切な人を護ることが出来なくて死なせてしまったのは自分がしっかりしていなかったからの責任感と罪悪感から来ていることを知らされる。
そして、しばらく休講となっていた自然科の授業がようやく始まるとそこにいたのは如何にも体育会系の体格も良く筋肉質な人が現れる。その人は、轟と名乗る。
そして、次は、体操服に着替えてこの校舎の裏側にある畑にやって来るとそこで出会ったのは農家の格好をして、背中に大きな籠を背負った男性だった。
その男性は、翠と名乗り、言い渡されたのはここで育った大根達を収穫して欲しいと言うことだった。薩真と賀雄は、その人から貰った軍手と小スコップを使って大根の収穫を始めるも薩真は、慎重過ぎて大根がスコップの先で傷だらけになり、賀雄は、大雑把過ぎて大根が途中で折れたりして売り物にはならないものの翠は、終始和かな表情で見守っていた。
そして、作業が終わった2人にこの学園で起きたある事件を知らせると翠は、2人と別れを告げるのだった。
その時間が終わると次は、眼鏡は、傾き、髪は、乱れ、白衣を着た男性が入って来るといきなり出席を取り始め、生存を確認と言い残し、教室から出て行くのだった。
そして、薩真が水を飲みに行こうとウォータークーラーに向かうとその途中で出席を取っていた先生と鉢合わせになり、そこでその先生の名前を知り、その先生から告げられたのはERRORを見つけたか、君が見ている世界は、本物かなとかを囁かれ、別れ際に四つ折りにされた紙を渡され、夜に生徒会室に行ってと指示される。
薩真「轟先生もだけど、翠先生と言い学先生と言い…変わった人達が揃ってるよな…」
学の言う通り夜の生徒会室にやって来ると扉の傍に薩真と賀雄の鞄が置かれてあった。
薩真がその鞄を取ろうとしたその時、いきなり生徒会室の扉が開き、その中から出て来た手に捕まり、暗闇に包まれた生徒会室へ誘われるのだった。
〜本編の始まり〜
いきなり開いた生徒会室の扉から出て来た手に捕まった薩真は、暗闇に包まれた生徒会室に吸い込まれて行くと勝ってに扉が閉まるのだった。
その様子を見ていた人影がいた。
暗闇の中に引き摺り込まれた薩真は、動けずにいた。
薩真「真っ暗だ…」
すると、どこからか聞き慣れた声が聞こえて来る。
???「不用心なのね、貴方」
薩真「この声は…確か…」
それと同時に眩しい白い光が暗闇を照らす。
薩真「眩しい…」
???「戦闘が常に昼間とは限らないわ。慣れて」
薩真の前に立っていたのはあの時にスナイパーライフル銃を持っていたアオナと黄色の長髪でアオナと同じ様な黄色の戦闘服を身に纏った小柄の少女が立っていた。
薩真「貴女は確か…」
アオナ「アオナ。もう、忘れたのかしら?」
薩真「忘れかけていた…所で、その隣の子は?」
イエリ「初めまして、薩真さん。私は、SATG所属のイエリです。よろしくお願いします」
そう言うとイエリは、自分の太腿と太腿の間で手を組むと薩真に深く頭を下げてお辞儀するのだった。
薩真「こ、こちらこそ…」
薩真も深くお辞儀をするのだった。
アオナ「挨拶も終わった所で何か聞きたいことはあるかしら?」
薩真「ここって、生徒会室ですよね?」
アオナ「ええ、学園の生徒会室」
薩真「アオナさんって…」
アオナ「貴方、現実(リアル)と幻想(ファンタジー)の境界線は、ちゃんとしているのかしら」
薩真「えっ…」
イエリ「薩真さんが仰りたいのはおそらく生徒会の人達と私達が同一人物ではないかと言うことですね」
薩真「は、はい」
イエリ「そうですね…あんな経験をされていましたら混乱なされるのは無理もありません。アオナさんが仰りたいのは現実とここでは見た目は、同じですが、違う時間軸、空間にいることです」
薩真「それって、もしかして、この前に話してくれた歪邪心空間ですか」
アオナ「そこは、ちゃんと勉強して来ているみたいね。ええ、そこは、貴方の言う通り、生徒会室の扉を潜った時点でその空間に入ったの」
薩真「歪邪心空間は、人間(ひと)の欲望が作り出した空間と聞いてます。まさか…」
アオナ「それは、あくまでもあっち側の考えであって私達とは別件」
薩真「どう言うこと?」
イエリ「つまり、向こう…闇の者が展開する歪邪心空間と私達が展開する歪邪心空間は、別物なんです」
アオナ「多分だけど、その説明の後に人としての心が…と言う話、されなかったかしら」
薩真「されました。プレイヤー…俺達特異点とこの空間、歪邪心空間には大きな関係性があると」
アオナ「やっぱりね。私達の知らない世界では闇と戦うためにトラフェイクトフィールドと言う擬似空間を作り出せるテクノロジーがあったみたい」
イエリ「しかし、何かの出来事があり、そのテクノロジーが封印されてしまったんです」
アオナ「なぜ、封印されてしまったのか…なぜ、光と闇の絵が残っていたのか…そして、闇の従者達との関係…まだこの世界には秘密が隠されているのが現状なの」
薩真「ロストテクノロジーの話ですね。俺が着けているこのトライフォンもその1つだと聞いてます」
アオナ「そう、貴方にそれを渡したってことは相当真剣に考えているのね。私達の新しい司令官に」
薩真「別件で動きたいから部隊を俺に任せたいと…」
アオナ「…………まぁ、良いわ」
薩真「変なこと聞くんだけど、それじゃ、アオナさんもイエリさんも…」
アオナ「ええ、私達も貴方やガーデン隊長と同じ特異点なの」
イエリ「隊長からお話は、聞いていると思われますが、特異点を経て、光の者になるか、闇の者になるかが決まります。あの時に薩真さんが遭遇したのは薩真さんが特異点であり、あの壁に貼られていたポスターが闇の者であったため歪邪心空間が発生しました」
薩真「と言うことは、特異点は、人間(ひと)だけに限らないってこと?」
アオナ「そこを説明するためには闇の者のことを知る必要があるからここに来て貰ったの。貴方、あの紙は、持ってるわね?」
薩真「あの紙?」
イエリ「学先生から貰いませんでしたか?」
薩真「あっ、ああ、あれか。忘れてた」
薩真は、財布を取り出し、その中からその紙を取り出すと紙がいきなり動き始め、机の上に張り付くとその紙の面に何か変な文字が浮かび上がる。
薩真「これは…」
アオナ「闇の従者や闇がここに近付けない様に空間を強化する護符なの」
薩真「裏を返せばそれ程危険を伴う…と言うこと」
アオナ「ええ、その通り…下手をすれば殺されるのはその身で察しているはず」
薩真「俺には奴等と戦うための武器か何かは無いんですか」
アオナ「心配しないで、そのためにイエリを呼んで来たから」
薩真「イエリさんは、どんな武器を?」
イエリ「私は、武器と言うよりかは聖典です」
そう言うとイエリは、分厚い本を取り出す。
薩真「聖典って…」
アオナ「イエリは、その聖典からあらゆる古の護神達を呼び出せるの」
薩真「どっかで聞いたことがある設定だ…はっ!まさか、F⚪︎(ファイ⚪︎ルファ⚪︎タジー)!」
イエリ「いえ、FG⚪︎です」
薩真「おいおい、FG⚪︎じゃ、完全に身バレしてるだろ。隠すならF⚪︎Oだろ」
イエリ「それだととある優秀なプログラマー達に気付かれるので…」
アオナ「楽しそうね、あなた達…私、帰って良いかしら」
薩真「あっ、すいません」
アオナ「つまり、今から私が前衛で薩真とイエリが後衛でこの学園の夜を探索するからちゃんと付いて来て」
薩真「はい」
アオナ「それじゃ、行くわよ」
アオナは、右手に拳銃を握り、入って来た反対側の扉を開けると月明かりに照らされた真っ暗な廊下を確認する。
アオナ「大丈夫そうね」
アオナが生徒会室から出て行くとイエリと薩真は、その後を追いかけるのだった。
〜校舎(夜)〜
3人は、周りを警戒しながら先へ進んで行く。
アオナ「…………」
薩真「あ、あの…イエリさん」
イエリ「はい、なんでしょう、薩真さん」
薩真「ここって、歪邪心空間の中なんですか?」
イエリ「いえ、ここは、別の空間です」
薩真「別の空間?」
イエリ「私達がいた生徒会室は、私とアオナさんが展開した歪邪心空間ですが、ここは、別です」
薩真「それじゃ、ここは…」
アオナ「静かに」
その声で薩真とイエリに緊張が走るとイエリは、聖典を開いて待機する。
アオナは、天井や壁、窓硝子を睨み付ける。
アオナ「何か…いるわ。イエリ、掴める?」
イエリ「やってます。……遠ざかって行いきます」
アオナ「来ないの…まるで私達を誘ってるみたい…」
イエリ「そうでは無さそうです。後方、距離300に闇の従者の反応3体」
アオナ「戦闘になれば不利ね…隠れて過ごしましょ」
そう言うとアオナは、近くにあった教室の扉をゆっくり開けて中を確認する。
アオナ「クリア」
アオナが教室の中に入ると薩真とイエリも教室の中に入るのだった。
薩真「なんで、隠れるんですか」
アオナ「闇が奴等に気が付いて逃げたと言うことは…それなりの力を持った奴がいる可能性が高いの。そんな奴等と戦っても負けるのは目に見えている」
イエリ「来ます」
その詞と同時に月明かりに照らされた人影が3体通り過ぎて行く。
薩真「行った…」
イエリ「いえ、その先の所で1体待機してます…今、右に…離れて行きました」
アオナ「つくづくその聖典が凄いと思わされる…それが無かった時、どれだけ奴等に遭遇して負傷させられた人がいたか」
薩真「もしかして、その聖典って…」
イエリ「これは、聖遺物です」
アオナ「行くわよ」
アオナは、扉を開けて周りを確認して、外に出ると2人もその後から教室を出る。
アオナ「あの感じだと闇を追っているみたいね。なるべく、遭遇せずにミッションを果たしたい所」
薩真「ミッション?」
アオナ「後で説明するわ。目的地へ急ぎましょ」
そう言うと3人は、周りを警戒しながら進んで行くのだった。
しばらく歩いているとアオナがまた立ち止まる。
薩真「アオナさん?」
アオナ「何かしら…この妙な静気さ…」
イエリ「そうですね…闇の1体ぐらい遭遇しても良いはずなのにこんなに静かなんて…」
アオナ「とりあえず行きましょう」
3人は、違和感を感じながら廊下を歩いて行くとイエリが持っている聖典が白く光始める。
薩真「聖典が…」
アオナ「この近くね」
アオナは、左手首に着けているトライフォンで周りを探し始める。
薩真「思ったんだけど、夜の学園を探索する理由って…」
アオナ「一緒に来ればわかるわ。見つけた」
アオナが走り出すと薩真とイエリもアオナの後を追いかけるのだった。
薩真「アオナさんは、一体何を」
イエリ「薩真さんは、この学園の闇をご存知ですか?」
薩真「この学園の闇…」
イエリ「この学園にはかつてある宗教団体との激しい争いがありました。大勢の学生や先生達を巻き込んだ痛ましい事件です。ある日、3台の車両が学園に入って来て、ナイフやライフル銃を持った人達がこの学園に侵入して学生や先生達を人質に取りました。彼等の要求は、ここの土地を明け渡すのととある犯罪者の解放が要件でした」
薩真「(いや、この学園…もう、色々怖い…夏の怪談シリーズよりズバ抜けて怖いんですが!)」
イエリ「生徒達や講師達を人質に取ったそいつらは、学園の地下にある倉庫に連れて行き、監禁しました。人質を助けるために交渉をしていると時間稼ぎをしていたんですが、そいつらは、見せしめに1時間毎に生徒を1人ずつ殺して行く事を声明したんです」
薩真「もしかして、要求は…」
イエリ「通りませんでした。そして、声明を出してから1時間…警察や報道陣が取り囲む中で1人の男子生徒が首を斬られ、その頭部を警察の方に投げ付け、お前らが殺したんだよと言って戻って行ったそうです。更にその1時間後、今度は、女性教師を連れて来て、同じ様に首を斬り飛ばし、その頭部を投げ付けました」
薩真「その話の流れからすると…この学園の夜に出て来る闇って、その時に殺された学生達や先生達の…報われない魂達じゃ…」
イエリ「そうなります…今もこの学園の地下で憎悪の塊となり、彷徨っていると言うことです。しかし、その地下の倉庫に通じる道がある結界によって閉ざされているので近付く事が出来ずにいます」
薩真「それと闇の従者が何か関係しているんじゃないかと…こうやって奴らが蔓延る夜の学園で探索していると言うことか…」
アオナ「ここよ」
3人の前には何の変哲も無いただの扉があった。
薩真「ここが…」
その時、あの時に聴いた笑い声が聞こえて来る。
???「あははは」
薩真「この声は! あの時の!」
イエリ「来ます」
すると、前にある扉がいきなり錆びた様に変色する。
アオナ「通してもらうわ」
アオナがその扉に銃口を向けた瞬間、その扉から大きな赤い目をした単眼が現れる。
アオナは、何の躊躇いもなくその眼を弾で撃ち抜くと奇声をあげながら単眼が消え、扉がゆっくり開く。
薩真「なに…これ…」
そこにあったのは赤と黒、紫色が混じり歪んだ景色だった。
アオナ「こんなのまだマシな方よ」
薩真「これが…」
イエリ「!」
イエリがある方向を向くとそこには歪な黒紫色の槍を持ち、黒装束を身に纏った1人の闇の従者が立っていた。
イエリ「危ない…」
アオナ「入るわよ」
薩真「でも!」
アオナは、薩真の手を強引に握るとその空間の中に入り、後に続いてイエリも入って行くと扉が勝手に閉まるのだった。
???「……………」
〜歪邪心空間〜
教室の中に入った3人は、周りを見回していた。
薩真「凄い気分が…寒気がする…」
アオナ「当たりかしら」
???「なんで、僕が死ななきゃいけなかったの…僕が何か悪いことしたの…」
そこに立っていたのはボロボロになった学生服に肌の色が青紫色に変色し、左眼が陥没した少年が立っていた。
アオナ「イエリ」
イエリ「間違いありません、あの事件に巻き込まれた2年生の敷島直人さんです。そして、彼の胎内から戒魔の欠片の反応があります」
薩真「戒魔の欠片って…」
アオナ「後で説明するわ」
直人「帰りたい…お家に…苦しいよ…お父さん…お母さん…助けて…」
直人は、自分の喉を掻きむしり始めるとそこから紫色の液体が流れ出し、地面にその液体が触れた瞬間、赤色の魔法陣が現れ、その魔法陣から赤と黒の無数の手が現れる。
アオナ「来る」
直人「うわあああああああああああっ!」
その悲痛な叫びと共に直人が無数の手に包まれ、魔法陣の中に引き摺り込まれる。
そして、魔法陣から現れたのは右眼は、赤く、左眼が陥没し、全身が真っ黒な啄木鳥の姿をした闇が飛び出すとその周りから前、薩真を襲った人間(ひと)の象った闇が現れる。
アオナ「イエリ」
イエリ「あれは、鳥族の1人、ハーメスです」
ハーメスが叫ぶと闇がアオナ達に向かって走り出すもアオナは、持っている拳銃で闇のコアを撃ち抜き、倒すも新たな闇が地面から現れる。
アオナ「こう言うタイプね」
イエリ「護神を呼びます」
イエリが聖典を開くとある呪文を唱え始め、唱え終わり、聖典を勢い良く閉じると同時にイエリの右手の甲に黄色の光を放つある紋章が浮かび上がる。
そして、その右手を前に突き出すとある人物の名を叫ぶ。
イエリ「護神召喚! テキサス!」
その詞と同時にイエリの前に黄色の魔法陣が現れるとその中からカウボーイの姿をした人物が現れる。
テキサス「よっと…どんな相手でも…MEに任せなサーイ!」
薩真「(不安…しかねぇ!)」
イエリ「テキサス、貴方の銃で報われない魂達を救ってあげてください」
テキサス「YES!マイ、ガールフレンドっ!」
そう言うとテキサスは、腰の両側に着けていたマグナム銃を両手で一瞬で引き抜き、銃爪を引くと迫って来ていた闇を4体を撃破する。
薩真「す、凄げぇ…あの一瞬で4体も」
テキサス「あれが主犯格デスね」
イエリ「的が小さく動きが素早いのでまず相手の闇の心力を減らしてください」
テキサス「OK! よろしく頼むぜ、アオナさん」
アオナ「変な事は、しない様に」
〜D.Nバトルシークエンス発動〜
・SATGチーム
神原 薩真(HP1心力12)、アオナ(HP354心力1023)、イエリ(HP437心力3752)、テキサス(HP2169心力1500)
・闇サイド
ハーメス(HP589心力853)、闇1〜(HP24心力15)
ハーメスは、薩真に向かって歪な嘴を突き出し、突撃するもイエリが展開している光の領域で攻撃を無効にする。(イエリの心力-547)
イエリ「うっ…」
薩真「イエリさん!」
イエリ「大丈夫、これぐらいなら」
アオナは、闇1に攻撃をする。(闇1に-196のダメージ)
闇1は、黒い霧となって消えて行くのだった。
次にテキサスがスキルWショットを発動すると闇2と3に攻撃をする。(闇2に-251、闇3に-263のダメージ)
闇2、3も黒い霧となって消えて行くのだった。
闇4は、アオナに攻撃を仕掛け、闇5は、テキサスに攻撃を仕掛けるも2人からカウンター攻撃を受ける。
アオナ「甘いわ」(闇4に-215のダメージ)
テキサス「Cool!」(闇5に-314のダメージ)
闇4、5は、黒い霧となって消えて行くのだった。(イエリの心力-452)
ハーメスが雄叫びをあげると地面から再び闇が5体現れる。(ハーメスの心力-550)
イエリ「ハーメスの心力が弱っています。もう少しです」
薩真「(みんなが戦っているのに…俺に何か出来ることは無いのか…みんなと一緒に戦える叡智(ちから)が欲しい!)」
その時、薩真の右手の甲に宿る叡智(ちから)の印が浮かび上がり、白い光を放つと薩真の手の中に白い光が現れ、ある武器の形に姿を変えて行く。
薩真「これは!」
アオナ「進化したの」
テキサス「ほほう、心は、確かな様デスね」
薩真の手に握られたのはボウガンだった。
薩真「ボウガン…」
イエリ「薩真さん、それで攻撃出来ますか?」
薩真「やってみる!」
薩真がボウガンの銃口を闇7に向けると銃爪を引く。
薩真「いっけー!」
ボウガンから光の矢が飛び出すと闇7のコアを貫き、黒い霧となって消えて行くと後方にいたハーメスの身体に光の矢が突き刺さり、ダメージを与える。(闇7にクリティカルダメージ-1423、ハーメスにダメージ-214)
アオナ「これは…」
テキサス「ひゅーやるじゃな〜い♪」
イエリ「凄い能力です。まさか、貫通と闇領域貫通を持っているなんて」
それを見た闇が恐怖で弱気になると矢を受けたハーメスは、ふらつきながらも飛んでいた。
薩真「で、出来た…」
テキサス「へ〜い、BOY、後は、任せな」
アオナ「少しは、期待して良いかしら」
イエリ「テキサスさん」
テキサス「OK! 一気に仕留めるぜ!」
テキサスは、乱れ打ちのスキルを使うと闇6、8、9、10を攻撃する。(闇6に-238、闇8に-234、闇9に-226、闇10に-241のダメージ)
闇6、8、9、10は、黒い霧となって消えて行くのだった。(イエリの心力-821)
アオナ「決めるわ。スキル発動!」
その詞と同時に腰部に付けているカードケースから青色の護符を取り出し、持っている拳銃に貼り付ける。
貼り付けた護符が蒼く光り、拳銃の中に溶け込むと拳銃がアサルトライフル銃に姿を変え、銃口をハーメスに向ける。
アオナ「報われない魂よ…今、自然の中へ」
それを見たハーメスは、アオナに向かって飛んで行く。
ハーメス「キュルルルッ!」
アオナ「バーティカルショットッ!」(アオナの心力-35)
アオナが銃爪を引くと青色の弾丸が飛び出し、飛んで来るハーメスに向かって飛んで行く。
ハーメスは、飛んで来た弾丸を避けるも目の前にはさっき避けたはずの弾丸があった。
弾丸は、陥没している左眼に直撃する。(ハーメスに-639のダメージ)
ハーメスは、黒い霧となって消えて行くもその中から小さな白い光の球体が現れる。
SATGチーム勝利
〜D.Nバトルシークエンス終了〜
戦いが終わると歪んでいた空間が元の教室の姿に戻り、アオナは、アサルトライフル銃を拳銃に戻してホルダーに納め、イエリは、テキサスにお礼を言い、聖典を閉じるとテキサスは、白い光になって消えて行くのだった。
薩真が持っていたボウガンも白い光になって消えて行く。
薩真「消えた…」
アオナとイエリは、その小さな白い光の球体の前に立つ。
イエリ「助けてあげれなくてごめんなさい」
アオナ「貴方のことは、私達がちゃんと残して行くわ」
直人「お願い…もう…2度と…僕の様な…人を…生まないで…そして、みんなを…助けて…」
アオナがその光に触れると黒紫色に輝く戒魔の欠片に姿を変える。
アオナは、その欠片を右手で優しく包み込み、自分の胸に優しく当てるのだった。
この時、薩真は、これがこの人達の心なんだと悟るのだった。
アオナ「さて、帰りましょう」
???「そんな簡単に帰すと思ってるの?」
声のした方を見るとそこには教室に入る前にこっちを見ていた黒装束の奴とその左右に刀を構えた黒装束の奴が立っていた。
アオナ「やっぱり、こうなるのね」
???「さぁ、それをこっちに渡して」
イエリ「あなた達だって無益な争いは…」
???「ごめん、時間が無いの」
薩真「待って!」
その3人の前に薩真が出る。
イエリ「薩真さん!」
薩真「聞かせて欲しいことがある」
???「貴方の質問に答える必要は、ないの」
その詞と同時に左右にいた黒装束の奴らが薩真に向かって走って行く。
薩真「!」
その時、教室の窓硝子が割れると同時に1つの黒い影が入って来ると薩真に向かって走っていた黒装束の奴らに攻撃する。
???「…………」
???「早く行け」
薩真「でも…」
???「良いから!」
アオナ「薩真」
薩真は、アオナ達と一緒に教室から出て行くのだった。
???「なぜ、あの人の邪魔をするの」
???「あいつがやろうとしているのは大量殺戮だ。人間(ひと)がやることじゃない」
???「何を言ってるの、貴方達だってどれだけ大勢の人達の生命(いのち)を個を人権を人生を奪って来て金に替えてき来たと思うの。それに助けても言えずに灼熱の鉄の籠の中で苦しみながら死んで行った幼い子供達がどれだけいたと思ってるの」
???「それは、関係無い!」
???「そうやって、逃げるんだ。そして、懲りずにまた同じことを繰り返そうとしている…あの人がやろうとしていることに異議を唱えるなら…まず、あんた達が変わりなよ! あの人は…自分の個を人権を人としての心を何もかも捨てて私達の罪と罰、源罪を償ってくれた人だから!」
???「やるしかねぇか!」
〜生徒会室〜
生徒会室に戻って来た薩真達は、さっき起きた出来事に関して話していた。
薩真「あれは、どう言う事なんですか」
アオナ「見た通りよ」
薩真「見た通りって…闇の従者の奴らもこれを必要としている…なら、なぜ、手を繋げないんだ」
アオナ「色々あるのよ…色々とね」
薩真「もしかして、生徒会長とのことに何か関係があるんじゃないのか」
アオナ「何を聞いたの」
薩真「会長は、先輩を守られなかったって…」
アオナ「そう…そう言うことにしておいて」
薩真「なんだよ、その言い方…」
イエリ「薩真さん、今は、触れないでくれませんか」
薩真「……………」
アオナは、トライフォンを使ってどこかと通信を始める。
アオナ「こちら、アオナ。任務は、完了しました。当たりでした。欠片は、無事に回収しました。今から基地に戻ります」
通信が終わるとアオナは、薩真の方に顔を向ける。
アオナ「貴方」
薩真は、アオナの目を見つめる。
アオナ「貴方のことも含めて隊長に報告しておくから今日は、もう、帰って良いわ」
薩真「このまま帰れる訳が…」
アオナ「イエリ」
イエリ「はい…」
イエリは、机の引き出しの中から小型の拳銃を取り出し、薩真の首元に狙いを定めて銃爪を引くと薩真の首に何かが刺さる。
薩真「イエリ…さん…何…を…」
アオナ「大丈夫よ、薩真くん、これは、全部夢なの」
薩真「ア……オ………」
薩真は、生徒会室の床に仰向きで倒れるとゆっくり目を閉じるのだった。
アオナ「ごめんなさい、薩真くん。貴方をまだ核心に近付けさせる訳にはいかないのよ」
イエリ「まさか、当たりとの接触だけで自我の進化が起こるなんて…」
アオナ「隊長の言う通り今までにない特異点なのは間違いないわ…」
???「彼は、寝た?」
そこに現れたのはアカネやみんなと同じ様に黄緑色の戦闘服を身に纏い、黄緑色の短髪の少女がいた。
アオナ「ええ、あとは、廊下に出してあげるだけ」
???「なら、あたしが…」
アオナ「ミドリは、ここに残って」
ミドリ「やっぱり?」
アカネ「イエリちゃん、手伝ってくれる?」
イエリ「はい」
アカネとイエリは、薩真を生徒会室のに運ぶ出すのだった。
アオナ「ミドリ、私が言いたいこと…わかっているわよね?」
ミドリ「何のことかな」
アオナ「薩真くんにあの事を話したのね」
ミドリ「話した」
アオナ「どうして話したの」
ミドリ「薩真、いずれあたし達の隊長になるんだろ? だったら、先にあたし達のことを知っておいて貰った方が後先ごちゃごちゃにならずに済むと思ったから」
アオナ「まだ決定した訳じゃないの。なんで、貴女は、そう…」
アカネ「はいはい、アオナもミドリもストップ」
そこに薩真を運び出したアカネとイエリが戻って来る。
アカネ「ミドリ、今回の行動は、少し軽率ね。まぁ、軍規には引っ掛かってないから許すわ」
ミドリ「さすが、アカネ♪」
アカネ「アオナ、ありがとう。でも、彼が私達プレイヤーの指揮官になることはアオナも感じ取ったんじゃないかしら」
アオナ「ええ…でも…あまりに危険な存在よ…彼」
アカネ「ええ、知ってる。彼が初登校の時に暴走したラットヌを止めちゃったんだから」
イエリ「それって、本当なんですか!?」
アカネ「ええ、さすがの私も驚いたわ」
アオナ「ますますあっちに渡す訳にはいかない貴重な特異点になった…と言うことね」
アカネ「ええ。そして、彼が進化したことによって闇の従者達が慌て始めたのも確か」
イエリ「そうですね」
ミドリ「色々心配だけど何とかやっていかないとな」
アカネ「良い? もし、彼がこのことを思い出したら説明してあげて」
ミドリ「良いのか?」
アカネ「ええ」
アオナ「学生生活に支障を与える行為は、軍規違反になるわ」
ガーデン「それは、私の方で処理しておくよ」
イエリ「ガーデン隊長」
アオナ「それでは、今までみんなが頑張って来たことは…」
ガーデン「アオナ君。君は、何か勘違いをしているのではないだろうか」
アオナ「それは、どう言う意味でしょうか、大佐」
ガーデン「そのままだよ。彼は、特異点として我々SATGやSATS、SATOに莫大な戦力になることをあれで理解しているはずだ」
アオナ「それは…お言葉ですが、彼が持つ叡智(ちから)の印は、あまりにも危険です。我々だけでは手に負えない可能性が極めて高いです」
ガーデン「ふふふ、心配性な所は、師匠に似たかね。光と闇のことは知っているであろう。彼が進化した時、一瞬だけだがこちらのレーダーである場所から未確認の闇が確認された」
アオナ「そのある場所って…」
アカネ「ええ、おそらく私達が探し続けていた闇の従者達の拠点」
ミドリ「つまり、薩真が持つ叡智(ちから)の印と奴等の拠点に深い関係があるってこと…」
ガーデン「その可能性は、充分にある。そう、危険な存在故に我々にとってこれまで得られ無かった情報を得ることが可能になったと言うことになる。アオナ君、これでもまだ悩むかね」
アオナ「………わかりました。所で、ガーデン大佐、あっちの方は?」
ガーデン「リヴァイアサンの行方か」
アオナ「はい」
ガーデン「大体の居場所は、掴めているが鹵獲は、困難を極める。奴がなぜ、この世界に来たのかもわかってないのが現状だ…これは、あくまでも私の予想だが、闇の従者達と何かしら関係があるんじゃないかと見ている。奴らが戒魔の欠片を集める理由もここにあるのかもしれん」
イエリ「現在、向こうが4つ、私達が今回で5つ…残る戒魔の欠片は、4つです」
ガーデン「奴らとの決戦も考えないといけないな…そのためにも薩真君が持つ、あの強力な叡智(ちから)が必要だと感じる。任務の方、ご苦労であった。みんなも充分に休息を取る様にな」
こうして、薩真の訓練を含めた夜の探索は、終わりを迎えるのだった。
アカネ達がそんなことをしている時、眠りに付いている薩真の身体を背中に乗せ、鞄を持って暗い夜道を歩く賀雄の姿があった。
賀雄「まったく…無茶なことしやがるよ」
そして、賀雄は、薩真の家の前にやって来ると呼び出し鈴を押す。
扉が開くと中から智之と奏衣が出て来る。
奏衣「薩真!」
そう言うと賀雄は、駆け寄って来た奏衣に薩真の身体を預けるとそのまま家の中に入って行くのだった。
賀雄「大丈夫です、寝ているだけですよ」
智之「いつもすまないね、賀雄くん」
賀雄「これぐらいお安いご用ですよ。所であっちの方は」
智之「難航してる…とてもじゃないが僕達が持つテクノロジーじゃ太刀打ち出来ない…」
賀雄「やっぱ、あいつらのテクノロジーがいるのか…今回起きた件に関しては?」
智之「おそらくなんだけど、薩真の心と奴らの心がシンクロしたことによって場所が判明したんじゃないかって考えているよ」
賀雄「その場所は…」
智之「約束の地…」
賀雄「嘘…だろ…でも、あの場所は、あの時に…」
智之「どうやらその場所を守護していた聖人がいたみたいなんだ」
賀雄「俺達が手放してもあいつらは…」
智之「全ての答えは、約束の地にある。そこに行くためには心影獣の先に行った者の叡智(ちから)が必要になる」
賀雄「そこに、薩真の妹さんがいるんだな」
智之「ああ。そして、別の場所で唐突に出現したリヴァイアサン…これが偶然とは到底考え難い…」
賀雄「とんでもないことになるじゃねぇのか…それもこれまでとは比べ物にならないぐらいの戦いが…」
智之「下手をすればこの街ごと吹き飛ばすことになりかねない」
賀雄「………本当に良いのかよ」
智之「やるしかない。妹を助けないと死ぬのは薩真だ…」
賀雄「俺から言えることを話しておきます。奴ら相当強くなってる…下っ端でも俺の叡智(ちから)を遥かにに上回ってる…」
智之「わかったよ。新しい武装の開発を試みる」
そして、今日と言う日が過ぎて行くとみんなに新しい朝がやって来るのだった。
次回:第6話「追憶」
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