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FRASSAÏ | BLONDINE

Threadsで交流のある香水愛好家の方々からの評判がすこぶる良いフラッサイ(FRASSAI)。ブエノスアイレス生まれのナタリア・オウテダ(Natalia Outeda)が創業したアルゼンチンの高級ニッチフレグランスブランドです。

NOSE SHOPのオンラインショップでは品切れだったディスカバリーセットを、偶然立ち寄った店頭のショーケースで発見。スタッフとしばらく話して、このフラッサイには何か特別なものがありそうだと直感し、迷わず購入を決めました。

南米からはるばる日本にやってきた香りを、1本ずつレビューしていきます。

ブランドの紹介は、全本のレビューが終わってからまとめるつもりです。

筆者のひとこと

調香師について

ヤン・バニエ(Yann Vasnier)

ヤン・バニエ(Yann Vasnier)は、フランスのブルターニュ地方の豊かな田園地帯で育ちました。幼少期を過ごした自宅の庭園に囲まれた環境が、香りへの愛着を育むきっかけとなります。

若くしてディナールのディヴァイン社への訪問を通じて調香の世界に魅了され、情熱を注いで調香師試験の合格を目指しました。その努力が実を結び、クエスト・インターナショナル(現ジボダン)に採用され、ベルサイユのISIPCAへの入学を果たします。そこで伝説的な調香師フランソワーズ・カロンの下で修行する貴重な機会を得ました。

ジボダンでは、革新的な調香師として頭角を現していきます。特にマーク ジェイコブスとの関係が深く、「ローラ」(カリス・ベッカーとのコラボレーション)や「バング」といった象徴的な香水の創作に携わりました。

バニエ氏の調香スタイルは、ブルターニュの自然美と香りの芸術性に根ざしています。冒険心あふれる姿勢で、現代的で洗練された作風を確立。香り高い植物への愛着と、調香における芸術と科学の融合から多くのインスピレーションを得ています。

遊び心のある人柄と、常に新境地を開拓しようとする姿勢で、トム フォードやコム デ ギャルソンなど、様々なブランドの香水創りに貢献を続けています。

画像とプロフィール文はFRAGRANTICAから引用させていただきました。

https://www.fragrantica.com/noses/Yann_Vasnier.html

ブロンディーヌ | BLONDINE

https://noseshop.jp/collections/frassai/products/frs-pf-bd

森の中で出会った一筋の光のように、爽やかな香りが空気を切り裂く。柑橘の清々しさの中に、若葉の持つような苦みが隠れている。その瑞々しさが、これから始まる甘美な時間への期待を高める。

そこに溶け込んでくるのは、ホットココアのような温かく深い香り。その上質な甘さに寄り添うように、とろけだした塩バターキャラメルの心くすぐる香りが森の奥から漂ってくる。ジャスミンを思わせるエキゾチックな花々の香りが、その美味しそうな世界をより魅惑的に彩る。バニラのような柔らかな香りは、まるでデザートの仕上げに振りかけられた粉糖のように、全体を優しく包み込む。

不思議なことに、この香りはなぜか単調な甘さに留まらない。木々の間を吹き抜ける風のような清涼感のある緑の香りが、甘美な世界に爽やかなアクセントを添えているからだ。それはまるで、可愛らしいケーキの上に飾られた野花のように。肌の上で、ゆっくりとデザートの物語を紡いでいく香りとなる。

時間とともに肌に馴染んでいく様子は、まるで森の奥深くに隠された宝物を見つけ出すかのよう。そこには、最初の発見の高揚感も、心地よい余韻の深まりも、すべてが封じ込められている。そうして香りは、やがて私たち自身のかけがえのない思い出となって、木漏れ日のように静かに空に溶けていくのだ。

調香師:ヤン・バニエ(Yann Vasnier)
香りの強さ:★★★☆☆
香りの持続時間:★★★★★

まとめ

ココア、ビターチョコレート、バターキャラメル。これを見て「ああ、グルマンね」と思うのは早計です。わずかな尖りを感じるグリーンと、少しジャスミンに似ているタイガーリリーの香りが、かわいいお菓子たちが主張しすぎないよう、気遣っているような作品です。

ムエットと肌乗せで少し印象が変わるように感じました。具体的には、体温が上がると甘めの香料が前面に出てきて、背後にあるブロンドムスクが顔を出せない感じがします。ムエットではムスクは感じられるので、体温に寄り添う調香なのかもしれません。

ブロンディーヌは、人によって香りの感じ方に差が出そうですが、私にとっては新鮮なグルマンでした。グルマンが好きな方はぜひ一度試してみてください。

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