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スマホで車パシャって1500万円、編隊ドローン、ARCore Geospatial APIの話(コンワダさん36週目)
こんにちは、株式会社アーキロイドの津久井です。今週も社内で話題になった事例(コンワダさん)からいくつかをご紹介します。バックナンバーはこちら。
事例1:スマホで車をパシャって1500万!
―――概要
NY州NY市では、車のアイドリング時間に制限があり、超過した違反者には罰金が発生します。違反した商用車に課せられる罰金は350ドル以上で、2019年から一般市民による通報が可能になりました。通報者は違反者が支払った罰金の4分の1を報奨金として受け取ることができます。中には12万ドル(約1500万円)以上稼ぎ出したツワモノもいるそうです。
学校の前では1分以上、その他の場所では3分以上のアイドリングが禁止されているためそれぞれ、1分10秒以上、3分10秒以上のアイドリング中の車の様子を撮影し、通報サイトにアップロードする仕組みのようです。
大気汚染の抑制が大義名分だが、市にとっては美味しい財源でもあり、通報者を雇用しなくても一般市民がそれをにない、通報者には小遣いが支払われる。ウィンウィンな制度のようですが、記事中では密告制度のような雰囲気に違和感はないだろうかと警鐘を鳴らしています。
―――この事例について
以前の8週目コンワダさんで取り上げた、マンホール情報を集めるシビックテック「マンホール聖戦」でも、情報収集者は一般市民であり、賞金というインセンティブが設計されていました。
どちらも都市問題、環境問題といった行政も頭を抱える問題に対して市民×情報技術=シビックテックの力は偉大だという良事例です。この連載で頻出のキーワード「中央集権から自律分散へ」、まさにそれです。厳密には中央集権的な行政が作った制度の実行を、自律分散的なデバイスを持った市民が実現していると言えますが。
建築分野でも、例えば崩壊しそうな建造物の情報を集めるとか、逆に築年数は古いが残すべき良民家を収集するとか、考えられる使い道は多そうです。空き家バンクや、廃虚マニアや提供者が情報を収集しているWEBやSNSなどはありますが、そうした制度側でも趣味でもなくうまいことその間のような…
事例2:事前情報無しで編隊を組むドローン
―――概要
中国の浙江大学の研究チームが開発した編隊を組んで飛行できるドローンです。この編隊ドローンは竹林のようなランダムな障害物がある場所でも、隊形を崩さず互いに衝突したり障害物に当たることはありません。ドローンはマーカーやGPSなどを使わず、各ドローンが深度カメラや高度センサーで取得した情報を互いに共有することで周辺の地図を作成。1機だけでは導き出すことのできない最善のルートを算出することができます。特定の人間など対象を追跡することもできます。仮に1機のドローンが対象を見失っても編隊でそれを補うことができます。ETHのロボット工学者エンリア・ソリア氏も「構造化されていない自然環境で、ドローン群体が飛行するのは、これが初めて」だそうです。
―――この事例について
リアルテックの多くがハードとソフトの両面で進化を遂げているとして、ドローンもその例に漏れないのだと思います。ハードの進化は可搬重量の増量化、小型化、飛行速度の高速化など、対してソフトの進化は独自のマップ・モデル生成、飛行ルート最適化などが考えられるのでしょう。本事例は後者のソフトにフォーカスしていますが、ソフトを開発するために独自のハードを組み上げています。可搬重量を大きくする研究でも、重量や重心に合わせて水平維持、羽の回転速度時の調整などのソフトが欠かせません。
リアルテックは両面が求められるために専門性が高いですが、その分一般的に解決できる問題の幅も広いです。本事例も自然環境維持、軍事、災害支援など様々な領域に展開が期待されます。自動運転技術もポピュラーな例です。近年のデジファブに代表される工作機械の普及、センサの高性能化、コンピュータの計算能力の向上、推論アルゴリズムの高度化、通信の高速化、リアルテックについてのあらゆる機運が高まっています。
当社はWEB上で誰もが住宅設計をできるサービス「archiroid.com」の開発・運営を行っています。住宅は”モノ”であり、archiroid.comはモノ=ハードを情報技術=ソフトを介して扱う、相互に行き来するリアルテックだと言えるかもしれません。
ドローンについてこういう動向がある、こういう事例がある、などの情報がございましたら是非コメント等でご教示ください。
その他の事例:ARCore Geospatial API
先日、Googleが発表して以来話題になっているARCore Geospatial APIですが、Twitter上でちらほら使用例が見られたので主なものを貼っておきます。このAPIは、「Google Earth 3D モデルのデータと Google マップのストリートビュー画像データを利用して、臨場感のあるグローバルなスケールの位置情報ベースの拡張現実エクスペリエンスをアプリに提供」するそうです。
ARCore Geospatial APIはiOS/Android向けのapiで87カ国で提供。Googleが今までスキャンしてきた街のデータを用いて、VPS機能を無償で提供。
— Falcon ◇ メタバース・XR (@makotofalcon) May 11, 2022
なにこれすごくない?どこまで簡単に実装できるんだろ。後一合わせどのくらい時間かかるんだろ。
そして日本からはパートナーとしてdocomo。#GoogleIO2022 pic.twitter.com/TS5fhFrB25
BIMモデル × ARCore Geospatial API
— 龍 lilea / Ryo Fujiwara (@lileaLab) May 16, 2022
iPhoneを現地で掲げるだけで勝手にARの位置と向きがピタリと合う便利さ!
モデルと緯度経度方位の情報あればあとは現場に行くだけでいいっていう。 pic.twitter.com/0RbzIEwhZy
▲コンワダさん19週目で空地に3DCG住宅をAR表示する「build+」を紹介しました。これまで、こうした技術はどうしても現実とモデルがずれてしまう問題が有り、build+はその空間認識技術が高精度であることが強みでした。ARCore Geospatial APIの精度はこれら先行のAR技術を超え得るのでしょうか。技術的にはまったく違うアプローチだと思いますのでそのあたりも含めて注目です。
ARで新宿東口の猫の前を歩く猫を作ってみました。ARCore Geospatial APIで位置合わせをし、PLATEAUの3D都市モデルを使用して建物で隠れるようにしています。 pic.twitter.com/ciNowoorCB
— こりん@VR (@korinVR) May 19, 2022
▲巨大ネコ。ヌコ。
まとめ
ここ最近は住宅回が続いていましたが、今回は近未来回?テック回だとでもいいましょうか。個人的にはARCore Geospatial APIを触ってみたいと思いました。
今週も最後までお読みいただきありがとうございました。最後に「スキ♡」を押して頂けると励みになります。それでは皆さん、よい週末を。
「今週、社内で話題になった事例」 について
株式会社アーキロイドの社内で話題になった事例(ニュース、リリース、書籍、動画、論文などなど)のうち、いくつかをご紹介します。元記事の配信時期は必ずしも今週とは限りません。数ヶ月前、数年前のものもあるかもしれません。
社外にこれを発信することで、
①アーキロイドメンバーが日々どのようなことに目を向けているのか、を知ってもらいたい。
②せっかく読んでもらえるなら有益な情報をお届けするために、自分たちの情報感度をもっと高めていきたい。
という目論見があります。
メンバーも大半が30代に差し掛かってきたので、備忘録という意味合いが一番強いかも。ご笑覧ください。
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