見出し画像

松山城土砂災害 ⑥ 地耐力不足

地耐力とは地面が擁壁を支えられる力
標準設計を用いる場合条件に適合しているか検証する必要があり
その検証項目に地盤の安定性は当然のように求められる。


令和6年に行われた簡易土質試験の結果から地耐力(長期許容支持力度)を求める。上の図は横断図に着色したも、青い台形型が重力式擁壁で赤い範囲がNd値20以下の不安定土隗の範囲。

補足でN値とNd値は違う単位なので換算表を載せておく


Nd値をN値に換算

「⑤重力式擁壁の重さ」で鉛直荷重66.926kN/m

長期許容支持力度     鉛直荷重
  57.7kN/㎡  < 66.9kN/㎡ ・・・・・ NG

これはNd値20で算出したものでNd値10だと更にNGな結果になる

  39.6kN/㎡  < 66.9kN/㎡ ・・・・・ NG

擁壁が外側に傾いた理由も荷重の偏りで説明がつく

荷重の偏り

  qv1 =ΣV/B (1 + 6e/B) =82.988 (kN/㎡)
  qv2 =ΣV/B (1 - 6e/B) = 6.246 (kN/㎡)

令和6年7月3日


発災9日前の写真
擁壁が大きく前面に傾き沈下している
擁壁工指針に示されている、転倒・支持力不足の状態に陥っていたと言える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?