松山城土砂災害 ④ 重力式擁壁
要約
土木設計コンサルの評価は設計ミス・設計時の検証不足により緊急車両用通路にクラックなどが発生
令和5年度の設計報告書に下記の記載がある
「斜面の崩壊跡地に盛土された緩い地盤の上に重力式擁壁を構築した為、地盤反力不足による沈下で擁壁が傾き、舗装もクラックが生じている。」
重力式擁壁の問題点として下記の3点を上げている
① 重力式擁壁基礎地盤の支持力不足
② 終点側の崩壊地の影響(表層地すべり)
③ 擁壁基礎底面の傾斜による縦断方向の微少なすべり
いずれも、重力式擁壁設計に検証不足、経験不足が伺える内容。
①の支持力不足は設計上、最も重視すべきであるにも拘らず検証が行われていなかった。発災後の議会答弁で「小構造物」「標準図を引用」等の説明が行われているが、標準図を引用したから支持力の検討を省いて良い訳ではない。下記は道路土工指針-擁壁工指針。「標準設計は地盤全体の安全性について考慮していないので別途検討を行う必要がある」との記載もある。
松山市議会で行った当局の答弁は、標準図なので安定検討を行わなかったと弁明しているようだが、これは単なる言い訳でしかなく、設計基準に準じていない事を公言してしまった結果となる。
ここまでは、令和5年の設計報告書を要約したもの。
次に実際の擁壁構造計算を行い擁壁重量と地盤面の支持力とのバランスについて検証していく。
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