金融不安が米国経済に与える長期的影響
投資猫レイです。
シリコンバレー銀行の破綻に端を発した金融システム不安は、マーケットにとって完全に想定外でした。
金融当局の迅速な行動によって、金融危機は阻止されそうです。
例えば、FRBはシリコンバレー銀行の預金全額保護や市中銀行への緊急資金供給を公表しました。スイスでは当局主導で、UBSによるクレディスイスの買収が決定しています。
しかし、長期投資家にとっては、今回の金融不安が経済に与える長期的な影響こそが重要です。
まず、今回の金融不安の完全終息が簡単ではない点を確認します。次のチャートの通り、米銀は証券投資ポートフォリオに大幅な含み損を抱えています。
シリコンバレー銀行が破綻した理由の一つは、まさに、金利急騰によって生じた多額の債券評価損でした。
この巨大な含み損は、長期に亘って米銀の収益を蝕み続けます。
さらに、今回のシリコンバレー銀行の破綻によって、中小銀行に預金を預けるリスクが明らかになりました。結果として、中小銀行からの預金流出と大手銀行への預金流入が引き起こされています。
バンク・オブ・アメリカには、僅か数日で、150億ドル(2兆円)の預金が流入しました。JPモルガンやシティ・バンクといった他の大手銀行にも大量の預金が流入していると見られます。
それと同額の預金が中小銀行から流出していることになります。
中小銀行の預金流出は、米国経済にとって、何を意味するのでしょうか。
実は中小銀行は、米国経済にとって、極めて重要な役割を果たしています。
次のチャートの通り、米国における銀行貸出のうち約40%は中小銀行によって実行されています。中小銀行は米国経済の成長をファイナンス面から支えているのです。
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