【意匠設計者に伝えたい!】構造コストダウンを円滑に行う方法
技術書『建築構造の経済設計』で使える「構造VE、コストダウン案 50選」として、コストダウン手法を紹介しました。
これに書かれている通り、構造設計者に「この部分の配筋を減らせますよね?断面を小さく出来ますよね?」と伝えても、「それは出来ません。」と答えられてしまうと思います。
構造設計者も自分の設計にプライドがあります。明らかにコストダウンの対応が出来る内容でも構造設計の専門外の人に言われて、簡単に認めることは出来ません。おそらく、意匠設計者が理解出来ない専門用語を並べて、出来ない理由を説明するでしょう。
逆の立場で考えてみて下さい。例えば、構造設計者から「デザイン的には変わらないので、こう変えましょう。」、「建築基準法的には、これでOKですから、この寸法しましょう。」と言われたら、どうでしょうか?
「貴方にデザインの何が判る?基準法は最低限の規定で基準法を守れば良い建物になる訳ではない!」と思うでしょう。
構造設計者に「今回は先生の拘りを無しにしてもらって、必要最低限の構造でお願いします。」などと言うのも、へりくだっているようですが印象を悪くするだけです。
言われた構造設計者は「拘りではない。必要だから、このような設計をした。常に必要最低限だ。」と思うでしょう。
「前に設計した別の建物では出来た」などは絶対に禁句です。
構造コストダウンを円滑に行うには、構造設計者の気持ちを理解する必要があります。建物が何も変わらず、構造を下げてくれと伝えても、構造設計者は対応しません。
以下にその方法を伝えます。
1.構造体への負担が減る提案を行う。
構造体への負担が減る提案とセットで「構造VE、コストダウン案 50選」を伝えましょう。
まずは荷重が減る提案です。技術書『建築構造の経済設計』の中でRC手摺を乾式手摺にしても荷重の減少は誤差程度と解説しましたが、少しで良いのです。
荷重が減ったから断面、配筋が減らせたとの流れを作りましょう。他にも階高を詰めるなど、意匠的に許容できる少しで良いのです。
2.意匠的な仕様を変更する提案を行う。
「柱断面を大きくしてもらって構わないのでコンクリート強度を下げられませんか?梁を小さく出来ませんか?」のように意匠的な仕様を下げる提案をセットにしましょう。それが直接的に関係ないことでも良いのです。
3.施工に係わる仕様変更とする。
施工を行う●●建設さんが「その法は得意としていないので、この方法として下さい」と言っているとの伝え方をしてみましょう。「それでは仕方ない」となるものです。
でも、一番効果的があるのは構造設計の知識を専門外とは思わずにある程度、習得することです。優れた意匠設計者は構造設計の知識もある程度、習得しているものです。逆に構造設計者も構造設計だけ判れば良いでは建物の設計は出来ません。
優れた意匠設計者と優れた構造設計者が協力することで建物も経済的になるのでしょう。
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