装飾と犯罪
装飾と犯罪を読んで思ったこと
この本を手に取ったきっかけは、大学で近代建築論という講義をとっていてその時に近代建築のパイオニアとして紹介されたアドルフロースに強い興味を持ったからだ。
この本は18世紀にアドルフロースによって執筆された長編の装飾と犯罪の中身をかなり抜粋されて文庫化されたもので、建築のことを専門的に学んでいない人でも読みやすいような作りになっている。読み進めていくと、数々の項目に分けられていて1項目の文章量はそこまで多くない。その中で特に面白かったのは「装飾と犯罪」と「近代の集合住宅」だった。
装飾と犯罪は誰でも予想がつくようにこの本の最も重要な項目で最も面白かった。何がそんなに面白かったかと言われればやはり、ロースの人の服装や身だしなみをそのまま建築として捉えたその考え方にあると思う。
人において装飾とは刺青のことであり、その刺青はどんなに素晴らしい人に彫ってもらったとしても、その刺青はまっさらな人間の肌にはかなわないという。そして、刺青を彫るやつなんか精神異常者か犯罪者に他ならないという。ああ〜なるほどだから装飾と犯罪なのかと僕は素直に思った。多少無茶な考え方かもしれないけれど、装飾を建築に施すくらいならその素材の特性をそのまま活かせコノヤロウってことなのかなって思ったりもした。
近代の集合住宅に関してはロースの細かいところまでこだわり尽くす真髄のようなものを見れた気がした。設計課題をする上でとっても参考になる文だった。特に共感できた点として、「こうした集合住宅地の住宅は、将来の住まいの変化に対応し得るものでなければならない。」が挙げられる。住宅は人の成長や家族の増減によって生き方が変わる人間に寄り添うものであってほしいと思ったし、そんな暖かい住宅を設計できるようになりたいと思った。
アドルフロースはロースについての資料が少ないことから、謎の多い人物とされていて、いまだに各国で議論がされているという。確かに。、この本を読んでみてもわからないことが多いいし、その例として僕はロースは装飾は犯罪と言っておきながら自分独自の装飾は持っているようにも感じた。わからないことをそこまで深掘りする知識や根性はないけれど、文章から感じた友への畏敬の念や、建築に対する熱い情熱のようなものからロースの人物像はもい自分の中で出来上がっている。
「装飾がないということは、精神的な強さのしるしである。近代人は自分が適当と思えば、昔の文化や他民族の文化が作り出した装飾を利用すればいい。近代人とは、自分の創意工夫の才を他のものに集中するものである。」