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シェアハウス暮らしで教わったこと

はじめに

4年半前、コロナ禍の影響もある中でシェアハウスに入居するという決断を下したことは、今振り返ってみると自分にとって非常に貴重な体験となりました。
このコラムでは、シェアハウスでの生活を通じて得た気づきや教訓を、いくつかの視点から振り返っていきます。


コロナ禍での「拡張家族感」

シェアハウスに入居したのは、コロナの緊急事態宣言が出されたタイミングでした。
当時は「なぜこの時期にこんなに濃厚接触がある場所に住んでしまったのだろう」と不安に思っていましたが、振り返ってみると、この時期だからこそ得られた「拡張家族感」があったと思います。
外に出ることが難しく、社会全体が閉じていた時期に、一緒にキッチンを使い、日々を共有することで生まれた親密さは、通常の時期では体験しにくいものでした。

住人同士のつながり

つい先日、シェアハウスの住人同士の結婚式にも招待されました。
ここで出会い、付き合い、恋愛相談やプロポーズの準備を相談するなど、まさに「拡張家族」と呼ぶにふさわしい関係が築かれていました。
住人が持つスキルをシェアし合い、指輪やTシャツを一緒に作ったり、ネイルをしてもらったりと、生活を支え合う関係がありました。
プライベートな領域において、仕事のつながりよりももっと深いところでの絆が生まれていたのです。


異なる価値観の共存

シェアハウスでは、キッチンの使い方一つをとっても、住人それぞれが異なる解釈を持っていることに気づかされました。
例えば、「すぐに片付ける」というルールも、ある人にとっては10分後、別の人にとっては2〜3時間後、なんなら数日後だったりします。
また、廊下に私物を置かないという基本的なルールも、人によっては「ちょっとくらいならいいだろう」と思う人もいます。
こういった些細な違いが、その人の背景や個性、常識の違いを映し出していて、生活を共にする中で様々な価値観に触れることができました。

自身のスタンスの変化

ルールを守らないことが悪いというような発想ではなく、自然とそうなってしまうのには理由があるんだなというふうに考えが及ぶようになりました。
ちなみに、私は自分に無理のない範囲で、誰かの洗残しはそっと片付けさせてもらっています。
当初は「仕方ないから片付けてあげている」感だったものが、今は「自分はきれいなキッチンが好きなので片付けさせてね」といった感覚に変わってきました。


お酒と自制の開放

シェアハウスのラウンジは、まるで「閉店しない居酒屋」のような場所です。
時折あるパーティーでは、終電を気にせず、ワイワイお酒を楽しんでいる光景がありました。
そこで何度も見てきたのは、お酒が人間の自制を解放する場面です。
アドレナリンが放出され、楽しい時間を過ごす一方で、羽目を外したり取り乱したり、人間の動物っぽい部分が現れる瞬間を見ることで、私はお酒が持つ二面性について考えさせられました。

お酒を飲まなくても楽しめる工夫

コロナ禍で一度お酒をやめた後、久々に飲んでみると、自分の体質には合わないことを再確認しました。
それ以来、基本的にお酒を飲まないと決めましたが、そうすると「どうやってお酒を飲まなくても楽しめるか」を意識するようになりました。
お酒がなくても楽しく過ごせる方法、振る舞い方について日々模索しています。


シェアハウスが映す未来

シェアハウスは、ある意味で時代を先取りしている場所でもあります。
コロナが明けてからは、海外からの住人の割合が増え、今では全体の4割近くが外国から来た人々です。
円安の影響もあって、海外の人々にとっては割安に感じられるため、さらにその比率が増えていくのではないかと感じています。

彼らはIT系のエンジニアや外資系企業に勤める人々が多く、シェアハウスの生活がグローバル化しています。
今後、日本人は都心の家賃の高騰に押されて郊外に移るかもしれませんが、日常的に海外の人々と生活を共にする機会はますます増えていくでしょう。
シェアハウスはそうした未来を少し先取りした空間なのかもしれません。


秋の別れと感慨

最近、シェアハウスでも住人の入れ替わりが増え、秋の季節とも相まって少し寂しさを感じています。
特に、コロナの時期から一緒に住んできた長らくの住民が去っていくと、シェアハウスの変化とともに、自分の生活や人間関係の移り変わりを改めて実感します。
住人が去るたびに、彼らとの思い出や過ごした日常が貴重なものだったことに気付かされます。


終わりに

シェアハウスでの生活は、単なる「家」ではなく、生活や価値観を共にし、共存する場所でした。
それぞれの違いを受け入れ、共に暮らし、酔っ払い、関わり合いながら過ごす日々は、基本コミュ障な私にとって非常に貴重な経験となりました。
今では、この決断をした自分に感謝し、そしてこれからもこの経験を糧に、少しずつ自分のコンフォートゾーンを広げていきたいと思っています。

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