「生まれ」とオーバーブロットの関係~なぜラギー・ブッチはオーバーブロットしなかったのか~
第5章のストーリー配信開始によってまた沸き立っているツイステ界隈ではございますが、今日は自分なりに考えた「オーバーブロットするキャラの共通点」についてお話ししようと思います。
まず、なぜこんなことを考え始めたかと言うお話をしようと思います。
僕は2章をはじめてプレイしている途中で、「オーバーブロットするのはラギーじゃないのね」と思いました。
ブロットの蓄積量が魔法の使用回数と比例するとしたら、純粋にあの章で一番暗躍しているのはラギーです。だから、純粋にオーバーブロットが「魔法の使いすぎ(=ブロットの過剰蓄積)」という基準で起こってないのでは?という思考に至りました。
「なりたいものとなれるもの」
そこから僕は、先のシナリオをプレイしていきながら、オーバーブロットしたキャラクターの共通点を探すことにしました。そこに何か、作品の根幹をなすメッセージがあるような気がしたのです。
まず3章までプレイしてぱっと浮かぶのは、「寮長」という共通点です。ですがそれも4章で違うことがわかりました。(寮長の座を狙いし者=強力なユニーク魔法の保持者であることは確かですが)
その後、4章までの内容を踏まえて僕が至った結論は「“生まれ”にコンプレックスを抱えているか否か」です。
この要素が近年のディズニーの(特にリメイク物の)テーマになっている「なりたいものとなれるものの違い」に通じているように思います。
「自己肯定」と「生い立ちの肯定」
ここからは、一旦2章(レオナ様)は置いておいて、1、3、4章のキャラと「生まれ」の関係を見ていきます。
まずは第1章リドルくん。
彼は半ば虐待ともいえる形で英才教育を受け、勉強を強要されていました。
そして、彼は
「自分がこうして我慢している(きた)のだから皆も決まりを守らなくては不平等だ」
と、自分の過去を肯定するために厳しい規則を寮生に押し付けます。
「自分の過去を肯定するために」というのが味噌で、つまりリドルくんはそんな自分の家での暮らしをどこか心の底からは肯定できていないと思うのです。
幼馴染二人との関係性がぐっと来るのはそれ故だと思っています。
続いて、アズール・アーシェングロット。
第3章は僕は「みにくいアーシェングロットの子」だと思っていて。
彼が一番わかりやすく「劣等感」とシンプルに闘っているなと思います。
「こんなダメな自分を認めたくない」からこそ他人にはタコである自分は見せないアズール。
「外見」と「真の姿」がちがうという設定は、オクタのキャラ全員の魅力の源であるように思います。
そして彼もやっぱり「生まれ」を肯定できていません。
「運命」と書いてさだめと読む
そしてジャミル。
彼が一番前述の「なりたいものとなれるものの違い」と闘っているキャラクターです。
「なりたいもの」の一番近くで、「なりたいものには決してなれない自分」を直視し続けた彼。こんなに酷いことはありません。
彼もまた、自分の出生により決まった運命を呪っています。むしろ、呪わざるを得なかったと言っていいでしょう。
そしてこれらを振り返って、レオナ。
ジャミルもそうでしたが、彼こそがまさに「生まれそのもの」に呪われた存在です。ポジションでも環境でもなく「第二皇子」という時点で人生が詰んでしまった彼。
一生「なりたいもの」には近づけない決定的な運命を背負わされてるキャラなんですね。
彼の場合はもはや「こんな自分は嫌だから!!!」という必死さはとうに無くなっていたりします。
何か「じゃあもう俺はできることをしよう!」とはなりきれない、自分への“諦念”のようなものを彼から感じます。
ラギー・ブッチがラギーブッチである所以
そして、これらを踏まえると、やっぱり2章のオーバーブロットキャラがラギーではない理由が見えてきます。
ラギーは確かに暗躍していますが、自分のハイエナ性(ハイエナたる所以)のことは認められているキャラクターなんですよね。
「もう、レオナさんったら」の一言でレオナの怠惰をすべて片付けるその「熟年夫婦」的な関係性は、自分を追い込むものでは消してないですし、年末には「食わせたい弟たち」のために大量の食料を持って帰っています。
自分がハイエナで有ることも、自分が生まれた土地のことも、どちらも認めて受け入れられているんですね。むしろそのすべてが彼を彼たらしめています。
だから彼は、オーバーブロットすることなく任務を遂行していったのかなと考えます。
ここまでで、「生まれ」へのキャラクターの肯定感が物語の鍵を握っているのでは?という僕の考えはある程度わかっていただけたと思います。
ここまでお話したことの他にも、
そもそもこの世界には「魔法を使える人間」と「使えない人間」が生まれながらにして別れていることや、
所属寮を見極める上で重要なのは「魂の形」であること、
そして主人公が極めてこの世界で異質な存在であること、
など、「生まれ持った運命」によってツイステの物語が動かされているのは言うまでもありません。
そしてオーバーブロット後の全キャラに「性格はそう簡単に変わらない」という「やれやれ」的な描写があるのも好きなポイントです。
ということで今回は、「生まれ」から紐解くツイステのストーリー考察でした。
それでは皆様、良きツイステライフを!
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