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名古屋の中学校で防災マップづくり~信州大学の廣内教授が指導
情報通信技術(ICT)を使って防災教育に生かす取り組みが始まっています。
今回紹介するのは、デジタル一辺倒ではなく、中学生たちが歩いて避難できる安全な場所と倒木など危険な場所を撮影し、地図に取り込んでいく取り組みです。
指導したのは、長野市にある信州大学教育学部・自然地理学研究室の廣内大助教授。名古屋市千種区星が丘山手の市立東星中学校が取り組む学区内の防災マップ作りの現場です。
初回は7月5日。生徒会と図書委員約30人が6班に別れて、中学校の裏山や千種図書館付近のフィールドワークを実施しました。生徒たちはタブレット端末を持って、学校周辺の安全な避難場所や災害時に倒木、崖崩れが予想される危険な場所を撮影していきました。
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汗がとまらない暑い日でしたが、私も一緒に歩きました。生徒たちは避難所の看板や倒れそうな古木など見つけると、立ち止まって撮影、そしてすぐ歩き出します。
歩くのが早いので驚きました。ふだん、スマホを見ながら、ゆっくり歩いている若者をよけながら歩くことが多いからでしょうか。
タブレットに入れたアプリは、廣内教授が地元のIT企業と開発したものです。GPSを活用し、タブレット端末で撮影した写真が自動的に地図に落とし込まれていきます。
手作業で危険個所を地図に書き込む必要がなく、防災マップの更新が簡単にできるのが、このアプリの特徴です。
フィールドワークに同行した廣内教授は、この日の講評のなかで「ふだんから安全な避難場所を考えておくなど頭を働かせておくことが大事」とアドバイスしていました。
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生徒たちは夏休み中、学区内の安全な場所や危険な場所を撮影し、地図上に示していきます。9月中には防災マップを完成させます。出来上がった東星中学の防災マップは全校生徒に配るほか、学校に隣接している千種スポーツセンターにも掲示する予定です。
新聞記者時代、愛知県知多半島の工業団地で、有志がハザードドマップの危険区域を実際に歩いてチェックしていることを知りました。現場を見て、ハザードマップを自分たち仕様にブラシュアップしていく。大事な取り組みだと感じました。
東星中学の防災マップも同じです。ICTとフィールドワークとが一体となっているからこそ、生徒たちの防災への気づきがあるのでしょう。
(2022年7月7日)