ご当地カレー愛知で次々と~知多牛、でんポーク、あかうま、みのり君
愛知県内のJAが相次いでレトルトカレーを販売しています。いずれもJA管内の特産品を使っているのが特長です。
では、最近の発売のものから「食リポ」を交えて紹介します。価格はいずれも税込みです。
■家康好み? 大豆とナスのカレー
徳川家康出生の地、JAあいち三河(岡崎市)は、管内の特産品の大豆とナスを使った「みのり君カレー」(540円、190㌘)を9月16日に発売しました。JAあいちグループ記者会で試食したところ、ビーフでもポークでも野菜カレーでもありません。大豆とナス中心の具材にこだわった地産地消カレーでした。味は大人向けの中辛で、大豆とナスは形しかっり、しかも軟らかく食べやすくなっています。
パッケージは、JAあいち三河のキャラクター「みのり君」と、ご当地の家康との組み合わせ。企画した販売課の山田貴司課長は「通年で栽培、出荷している産地を知ってもらいたい」と話します。
JAあいち三河管内の5か所の産直施設で販売中です。10月13日の日本農業新聞「JAキャラクターランド 大物産展特集」でも売り出し中です。
■西尾市のブランドミニトマト使ったカレー
JA西三河(西尾市)は6月、地元のブランドミニトマト「赤美味(あかうま)」を使ったレトルトカレー「完熟あかうまビーフカレー」(580円、180㌘)を発売しました。試食したところ、「ばかうま」(これは名古屋弁です)。
海に近い西尾市吉良地区を中心に4人が土耕栽培している希少品で、土のミネラル分によるうま味が自慢です。房のまま赤く完熟させて収穫するため、甘みと酸味豊かなミニトマトです。
カレーには規格外の赤美味4個を使い、スパイシーながら食べやすく食欲をそそります。栽培品種のドラマもありますし、地元で名君と称えられている吉良上野介の愛馬が「赤馬」であったことなど物語性も申し分ありません。吉良公は赤馬にまたがり、水害を防ぐために築いた堤防を見回っていたと伝わっています。
■本格派の知多牛カレーと「日本のデンマーク」のカレー
今年は、愛知のご当地カレーの審査員を務めました。全国農業協同組合連合会の「国産国消」運動の一環で、サイトに1品紹介するためです。
登場したのが、JAあいち知多の「農協が作った知多牛カレー」(700円、180㌘)と、JAあいち中央の「食育ソムリエと一緒に作り上げたでんポークカレー」(500円、180㌘)でした。
知多牛カレーは深みがあってプロの味。一方の日本のデンマークと教科書で紹介された安城市のブランド豚「でんポーク」を使ったカレーは、子どもも食べやすい万人向けの味でした。
審査は地域性や食味、パッケージなどの見映えも含めた総合判定です。全国に売り出すという意味で、販売実績がある知多牛カレーに軍配を上げました。値段は高めですが、2022年度は4万1000個を販売しています。
一方の「でんポークカレー」は、地域の産直施設中心に昨年度約5000個の販売でした。
ネーミングも知多半島をイメージする知多牛に対して、でんポークは銘柄豚とはいえ、まだ浸透度は高くありません。「日本のデンマーク 安城のカレー」なら年配客へのインパクトもあったかもしれません。
■私流の判定基準
このほか、私流の判定基準として食塩相当量を加えてみました。日本人は塩分を取り過ぎで、減塩の工夫は審査の最後の決め手でした。
知多牛カレーは180㌘あたり2.1㌘。でんポークカレーは同3.4㌘でした。ちなみに「あかうま」は同1.9㌘、「みのり君」は180㌘換算で約1.5㌘。新顔二つは、トマトや野菜のうま味成分もあって塩分が少なくてもおいしく感じられました。
■地産地消の一品を添えて
今後もご当地レトルトカレーの新顔に期待しています。販売するときには、地元の一品を添えるといいですね。例えば、JAあいち三河のみのり君カレーなら、地元限定の「岡崎茶」のペットボトルなど。
消費者は、新鮮さとともに、おいしさも求めています。地産地消は、地元の逸品とのタイアップ作戦がより効果的です。
(2023年10月20日)
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